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製造業や建設業の現場に寄り添う、防災・減災のためのレジリエンス強化システム3選

2024.10.21

自然災害が相次ぐ中、企業においても防災や減災の取り組みが深化している。万が一のときこそ、事業を継続できるレジリエンス力が試される。

本記事では、2024年7月に開催された事前防災・減災の展示イベント「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024」出展企業3社のシステムをもとに、防災・減災の課題と解決策を探った。

AIが事前に異常をアラート MODEの「BizStack Assistant」

「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024」は、製造業や建設業における生産設備を維持管理する保全や社会インフラ、各種災害対策を意味する「メンテナンス」と、あらゆるレベルで備えておくべきリスク対応能力や危機管理能力を示す「レジリエンス」に焦点を当てた展示イベントだ。

出展していた企業の一つMODE, Inc.のIoTと生成AIを組み合わせたAIアシスタント「BizStack Assistant」は、建設現場や製造現場で役立つシステムだ。

生成AIは、センサーで集めてきた現場のあらゆるリアルタイム情報と、事前にインポートしておいた固有のナレッジとを組み合わせ、たくみに現場の状況を報告してくれるという。

「BizStack Assistant」画面イメージ

また異常時には緊急のアラートを出してくれるため、メンテナンスのみならず、レジリエンスにも寄与する。

かつてGoogleやTwitterのエンジニアとして従事した経験のあるCEO/Co-Founderの上田 学氏は、開発経緯について次のように話す。

「シリコンバレーのIT企業では、経営やユーザー、プロダクトに関するあらゆるデータが大きなダッシュボードで掲示されていました。データを活用することで企業が成長する様子を目の当たりにし、IT以外の業界もIoT技術を使ってデータ活用すれば、ビジネスに変革を起こせると感じました。

そうした思いのもと、開発したものの一つがIoTプラットフォーム『BizStack』です。現場の状況をモニタリングするシステムですが、パソコンがない場所や普段、スマートフォンしか使わない方でも、『BizStack』を使えるようにしてほしいというお声は、以前から多くいただいていました。そんな中、2022年に生成AIが登場したのを受け、2023年春に生成AIアプリの開発に乗り出しました。こうしてIoTと生成AIを融合させるアイデアが生まれ、ローンチに至ったのが『BizStack Assistant』です」

すでにパナソニックや西松建設をはじめ、ビルマネジメント業や製造業など多種多様な業種に導入されているという。特に人手不足に悩む現場を中心に急成長を遂げている状況だ。

シニア事業開発マネージャーの道間健太郎氏は、現場の導入状況について次のように話す。

「我々のお客様は、ヘルメットが必要な作業現場で働く方が非常に多いです。例えば、建設現場や建物のメンテナンス、工場、鉄道の保線。人の手で見回りや点検業務が行われていますが、それらはセンシング技術が最も得意な場面。センサーが常に計測をしてくれますし、取得したセンサーデータをクラウド上に集めることで、リアルタイムで現場の状況を把握できます。

『BizStack Assistant』に“データを見ておいてね”と話しかけるとモニタリングしてくれます。なにかあれば、“この現場に異常があります”と報告してくれます。このように会話をしながら、現場のリアルタイムデータが活用されています」

今後の機能拡充など、展望について上田氏は次のように述べた。

「『BizStack』はIoTデータを収集・可視化を実現できますが、『見える化の価値は?』『ROI(投資利益率)は?』から先に進まないこともあります。『BizStack Assistant』では、見える化の先を行くような、欲しいデータをもっと簡単に入手でき、現場の状況を素早く把握できるデータ活用の促進を期待しています。今後は溜まったデータからの予測なども検討しており、それに向けて機能強化を図っているところです」

最新技術を取り入れながらも IT系以外の業界におけるスマホ利用や会話型など、現場での使いやすさが考慮されている特徴は、今後さらに活躍の幅を広げるだろう。

モーターなどの異常検知 バルカーの「VHERME(ベルム)」

産業用シール製品の大手メーカーである株式会社バルカーのAI 技術を搭載した、設備異常検知システム「VHERME(ベルム)」は、製造現場のメンテナンスとレジリエンスを強化する。

同製品が予知保全の対象とするのは、モーターやポンプなどの回転機器。連続的に動作するため、作動中であることをシステムが判断して、作動中だけの振動データだけを利用し、異常検知を行える仕組みだ。

「VHERME」センサーと管理画面

同社の技術総合研究所 開発担当の佐藤央隆 氏は、製造現場の課題について次のように話す。

「回転機器は一般的に、日常点検において機器の電圧、電流、回転数、圧力、温度などをチェックし、状態監視することで保全されています。しかし、これらのチェックを行っているにも関わらず、実際の現場ではこれらの数値に大きな変化が現れた直後に機器が故障するという事例もあり、保全や修理が間に合わないという事象も多く発生しています。

振動は故障のかなり前から変化が現れるといわれており、振動データを用いた保全も行われていますが、振動データは非常にデータ量が多く、複雑な解析作業が可能な専門的な人員を要するため広くは普及していません」

こうした課題を受けて開発されたのが、「VHERME」だ。

「お客様から『振動センシングによる機器の状態監視をしたい』との要望を受け、当初はタブレット端末での点検を行えるものを開発。IoT化が進んでいく中、現場に行くことなく、事務所にいながら現場に設置した機器の異常検知ができる形になりました。

あらかじめ正常状態を定義しておき、未知の状態との差異を統計的手法や機械学習を用いて『異常度』といった指標で示すことができます。ここにしきい値を設けることによって、正常・異常判定ができるようになっています」

事前防災や減災の観点からは、どのように活用できるのだろうか。

「生産現場における機器の故障や異常は、単に生産に影響を及ぼすだけではなく、事故や火災などの災害につながるケースもあります。異常前に予兆をとらえることで、計画的にメンテナンスにつながると考えています」

将来的にさらに増強することを想定している機能など、展望を聞いた。

「保全担当者でない方でも使いやすい、AIクラウド型の「VHERME」予知保全システムや、必要な場所で必要なときだけすぐ使える、各種耐環境型センサー・映像モニタ・位置情報など選択型の遠隔状態把握システムも、顧客の要望や市場のニーズを組み入れながら検討してみたいと考えています」

回転機器という汎用的な機器を対象とした、現場の知見を要するシステムは、現場をよく知る同社ならではの仕組みだ。今後、さらに現場のレジリエンス強化につながる機能を期待したい。

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