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「ハングリー精神」という言葉の意味
「ハングリー」は英語で「空腹」あるいは「飢えている様子」という意味となります。直訳すると精神が飢えているという状態となり、これをもとに「ハングリー精神がある人」とは、目標や夢の達成のためにチャレンジする姿勢がある人、あるいは現状に満足せずにより高みに向かい続ける人、といった意味で用いられる言葉となりました。ちなみに同じ意味を持つ言葉として「反骨精神」があります。
日本人は「ハングリー精神」が足りない?
現代の日本人はハングリー精神が足りないとしばしば言われますが、それはある意味自然なことだといえます。アメリカの心理学者であるマズローは、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されており、低次階層が満たされるとより高次の階層の欲求を欲するとしました。
これが有名なマズローの5段階欲求説で、低階層から「1.生理的欲求=食欲・睡眠欲など本能的欲求」「2.安全欲求=雨風をしのぐ家や健康を保持して安全な生活を求める欲求」「3.社会的欲求=集団に属したい、仲間が欲しいという欲求」「4.承認欲求=他者から認められたい、尊敬されたいという欲求」「5.自己実現欲求=自分の能力を引き出し創造的活動がしたいという欲求」と定義づけられています。
幸いなことに、現在の日本社会では生まれた瞬間から2階層の「安全欲求」までは、ほぼすべての人が満たせている環境にあります。いっぽう低階層の欲求が満たされていない環境の人は命の危険があるわけですから「今の環境から抜け出したい」というエネルギーは非常に強くなりますのでハングリー精神も当然旺盛になります。
つまり、幸いにも安全欲求が脅かされることはない現代日本社会が、ハングリー精神低下の一因だと考えられるのです。
ハングリー精神は必要なのか
では、ハングリー精神はそもそも必要なのでしょうか。生き方や価値観の多様性が認められるようになり、組織に属していない生き方も、ほぼ誰ともつながらない生き方も、現状が維持できればよいという価値観も否定されなくなりました。
しかし、そうした生き方は実はアイデンティティの崩壊につながっていく危険も孕んでいるということは忘れてはいけない概念です。アイデンティティとは、自分が誰であるかという認識・他人と区別される独自の存在であるという認識のことです。突き詰めると「自分が自分として生きている意味」です。
自分が何者で、なぜ生きているのか、を見失ってしまうと行きつく先は孤立と絶望です。そう考えるとハングリー精神を失わない姿勢は、人が生きていくエネルギー源として必要なものといえるのではないでしょうか。
ハングリー精神を持つためには
ここからは、ハングリー精神を持つために意識して実践していただきたいことをお伝えしていきたいと思います。
1.明確な目標を持つ
「〇〇の資格を取る」「マラソン大会で〇分以内に完走する」「新車を一括購入するお金を貯める」など達成度が見える目標をたててみましょう。
この時のポイントは、自分が好きなものに対して目標を立てることです。そもそも運動が大嫌いなのに、マラソン〇分以内という目標を立てても挫折する可能性が高くなりますし、車に興味がないのであれば、お金を貯めるモチベーションもあがりません。「好きなものを極める」という意識で目標を考えてみてください。
2.目標に向けて計画を刻む
たとえば「〇〇の資格を取る」と決めたときに必ずしも次の試験での合格を狙う必要はありません。2年後の試験での合格など、現状の自分の力と照らし合わせ、目標到達までの時間は焦らないようにしましょう。その代わり、1か月後、3か月後、といったように到達度を刻んで計画を作ることをしてください。
3.目標と達成度を公開していく
目標を立てたらブログ、SNSなどで「〇〇達成への道のり」などとタイトルをつけて公開していくことをおすすめします。SNSの匿名性には良い面も悪い面もありますが、この場合はSNSの匿名性は良い方向で使えます。
公開していくことで、マズローの5段階欲求説の4段階であるところの「承認欲求」が満たされますし、同じ目標を持つ仲間と繋がる機会ができることで、3の「社会的欲求」もさらに満たされていきます。
4.達成度に応じてご褒美をあげる
常にストイックに自分を追い込み続けていたら、誰でも疲弊してしまいます。心身を壊してしまったら元も子もありません。ダイエットにも「チートデー」と呼ばれる日があり、あえてこの日は食べたいものを食べてストレスを和らげます。
目標を刻んだ地点でそれが達成できたら自分にご褒美をあげましょう。好きな食べ物を食べる、思い切りダラダラする、など自分を甘やかしてあげてください。