相手を尊重しようとして、自分が無理をする内容だったとしても相手の意見を受け入れてしまったことはないでしょうか。
相手は気分よくその意見を進めることができるものの、一方のあなたはストレスを抱えることになりかねません。そして、その結果、その相手との関係はうまくいかなくなることも……。
相手を尊重しつつ、関係をうまく保つ方法は、自分の意見もきちんと相手に伝えることです。
本記事では、尊重の意味、相手を尊重しすぎてもしなくてもダメな理由、そして相互に尊重し合える方法をご紹介します。
尊重とは?
まず、「尊重とは?」とはどんな意味の言葉なのかを見ていきます。
小学館のデジタル大辞泉によると、
価値あるもの、尊いものとして大切に扱うこと。
を表す言葉と記されています。
人に対して使用する場合は、相手の価値を認め、その存在を大切に扱うこと、という意味になります。
相手を尊重しすぎても、しなくてもダメな理由
冒頭で触れた通り、相手を尊重しようとするあまり、自分を犠牲にしてまで相手に合わせようとする人がいます。そうすると自分の中に不満が蓄積していき、関係は悪化していく可能性もあります。
一方、相手を尊重せずに自分のことばかりになってしまっても関係は悪化をたどります。
ここでは、相手を尊重しすぎても、しなくてもダメな理由についてお伝えしていきます。
1.意見が一方通行になる
相手を尊重しすぎている人は、たとえそれが自分の意見と反対だったとしても、相手の意見を受け入れます。逆に、相手を尊重しない人は相手の意見を聞かずに自分の意見を押しつけます。
上記のことからわかるように、意見がどちらか一方通行になってしまうのです。
話し合いの場などでは、互いの意見のいい部分を取り入れてより良いものにしていくことを目的にしているはずなのに、これでは話し合う意味もなくなってしまいます。
2.理解し合えない
意見というものには、その人の価値観が深く関係しています。意見は、その題材についての自分の考えです。自分の考えには、自分の価値観に基づいているのです。
相手を尊重しすぎる人は、自分の意見は相手から受け入れられないという思いが根本にあります。なので、意見を伝えることができません。
一方の相手を尊重できない人は、自分の価値観を相手に押しつけます。さらには、相手の意見が自分と違うとわかると、その意見を批判したり、否定することもあります。
意見を伝えることができなかったり、価値観を押しつけは、どちらか一方が我慢していることを意味します。我慢を強いる相手とは理解し合えることは難しくなるのは当然だと言えるでしょう。
3.次につながらない
1、2で取り上げたように、相手を尊重しすぎる人は自分の意見を伝えることができず、相手を尊重せずに自分ばかりになってしまう人は、相手の意見を聞き入れずに自分の価値観を押しつけます。
相手を尊重しすぎる人は、周囲から自分の意見がない人に見えてしまい、いざというときには対象外になってしまいがちです。
一方、相手を尊重できない人は、何でも勝手に物事を進めてしまうので、相手に攻撃的な印象を与えてしまい、協力対象からは外されます。協力できない相手とは今後一緒に何かをしようとは思われず、次につながりません。
相互に尊重し合える方法
相互に尊重し合えなければ、相手と良好な関係作りは難しくなります。そのためには、相手のことを尊重しつつ、自分の言いたいことはしっかりと伝えることが大切です。
ここでは、相互に尊重し合うために必要な考え方のコツをご紹介します。
1. 物事を客観的にも見るクセをつける
原因でも触れたように、意見とはそれぞれの異なる価値観に基づいています。その価値観を拒否したり、相手の価値観ばかりを受け入れて自分のことをないがしろにしていては、いい関係は作れません。
まずは、対象となる物事や意見などを客観的にも見るクセをつけましょう。“にも”と付けたのは、主観で見ることも忘れてはいけないからです。
意見に対しての自分は考えを持ちつつ、「この意見を伝えてきた人はどのような立場があってその意見を伝えてきたんだろう」と考えてみてください。相手の立場になってその意見を考えてみることで、意見を一切受け入れずに拒否するという気持ちが薄れていきます。そしてそのことが相手を尊重していることにつながります。
2.聞き役を担う
こちらは、自分の意見を押しつけるタイプの人に身につけてもらいたいことになります。
自分の意見を押しつける人は相手の意見を聞き入れず、自分の主導で物事を進めがちです。それをやめるためには、相手の話を聞くことを意識してみましょう。
相手の意見を途中で言葉を挟むことなく、まず聞くことです。そして次に、1の客観性を持ってその意見を考えてみる。あなたの意見を伝えるのはその後です。
聞き役になることで、相手からはちゃんと意見を受け入れてくれる人という印象を与えることができます。
3.意見を伝えるときは「アイメッセージ」で伝える
自分の考えてを相手に伝えるときには、「私(I)」を主語にした表現(アイメッセージ)を使うようにしてみてください。例えば、「私はあなたの意見とは異なり、こういう意見です」というように。
アイメッセージのほかに、主語を「あなた(YOU)」にしたユーメッセージというものがあります。上記を言い換えると、「あなたの意見は私とは異なります」というようになります。
アイメッセージは、ユーメッセージよりも「自分はこのように思っている」というソフトな表現で伝えることができます。
文・構成/藤野綾子