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「ブランド価値」によるグローバルランキングTOP100が発表、自動車ブランドは明暗分かれる結果に

2024.10.16

世界最大のブランディング専門会社インターブランドから、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2024」(以下BGB 2024) が発表された。

このランキングは、グローバルに事業展開を行なうブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化するもので、レポートの発表は2000年から今年で25回目となる。

本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

なお、このランキングにはブランドが顧客に対して提供する価値だけではなく、現在そして未来の社会に対する役割や責任に関する活動の評価として、環境・社会・ガバナンス (ESG) データも導入されている。

Top100にランクインしたブランド価値総額は3兆4261億ドル

Appleが12年連続でランキング首位をキープ

香港・Appleフラッグシップストア

Appleは依然として最も価値のあるブランドだが、そのブランド価値は22年ぶりに前年よりも低下する結果となった (-3%) 。

インターブランドのブランドエコノミクスのグローバルディレクターであるグレッグ・シルバーマ氏ンは、Appleについて次のように述べている。

「他社がAIへの参入を急ぐ中、Appleは自社の価値観に合致したAIをリリースするため、より慎重な道を歩んできています。スピードでは他社に及ばないものの、より深いブランドの観点を持ったAppleのリーダーシップは、短期的な収益よりも長期的な信頼を優先しています。

このようなブランドの動きを受けて、Appleの株価は年初来約20%上昇しており、2025年のランキングではAppleの価値が再び上昇することが 期待されます」

■明暗分かれた自動車ブランド

業種別で最も多くの14ブランドがランクインしている自動車業界では、ラグジュアリーブランドでもあるFerrari (62位 +21%) を筆頭に、Kia (86位 +15%)、Toyota (6位 +13%)、Hyundai (30位 +13%) 、Nissan (59位 +10%) などが、大きくブランド価値を伸長させた一方、Tesla (12位 -9%)、Mercedes Benz (8位 -4%)、Ford (56位 -3%) などと明暗が分かれている。

グローバルで業界に大きな構造変化が起きている中で、アジア・アフリカなどの新興市場への対応力・展開力など、日韓のブランドの強みが現れた結果となっている。

■革新性でブランドを強化するラグジュアリーブランド

ラグジュアリーのブランド価値は上昇基調 (昨年の +6.5%から +7%)を維持している。デジタル・タッチポイントの拡大を含め、新たなブランド体験を通じてブランドと生活者の関連性を深め、人間の心理に訴えかける力強い創造性を示している。

Ferrari (62位) は、ブランド価値成長率 +21%で、今年上昇率トップの座を獲得した。またHermès (22位 +15%) とPrada (83位 +14%) は、今年特に際立ったブランド価値の伸びを示したラグジュアリーブランドとなっている。

インターブランドのグローバルチーフストラテジーオフィサーであるマンフレディ・リッカ氏は、次のように述べている。

「ラグジュアリーとは、もはや購入することだけでなく、ブランドを取り巻く体験そのものを意味しています。ラグジュアリーブランドは、革新性を備えた顧客体験がいかにプレミアムな成長につながるかを示し続けています。

Louis Vuittonは昨年、各領域で顕著な業績を収めました。ハンドバッグだけでなく、“カルチャーを売る”能力を実証したこのブランドは、世界中にレストランやカフェを次々とオープンさせています。Louis Vuittonが、豊かで多様なブランド・ハウスを伝えると同時に、それ自体がブランドとして共鳴するというのは、稀な快挙です」

■初ランクインブランド

Nvidia (36位) 、Pandora (91位) 、Range Rover (96位) 、Jordan (99位) が新たにランクイン。Jordanはパーソナリティ・ブランドとして初のランクインとなった。Uber (78位) とLG (97位) は再ランクインとなる。

前出のシルバーマン氏は、この件について、次のように述べている。

「Jordanは、ハードワークとコート内外の勝利という古典的なスポーツの価値観をグローバル化したブランドです。ソーシャルメディアが需要創造に果たした役割を巧みに利用しています。

顧客は様々な情緒的なレベルでJordanブランドとつながっていることに気づき、それがビジネス的にうまく機能して、Nikeの企業ブランドとは別の世界的な地位を切り開くことを可能にしています」

TOP3ブランドに関する分析

■Apple:1位 4889億ドル (-3%)

Appleは、製品やユーザーエクスペリエンスのデザイン、クリエイティブな表現など、あらゆる面で非常に個性的なブランドだ。 革新性、シンプルさ、高級感に基づくその独特なブランドパーソナリティは、主力製品であるiPhoneに対する顧客ロイヤルティを促進している。

またApple Musicはその没入感のあるシームレスなストリーミング体験により、加入者維持率が62%となっていることが示すように、高いロイヤルティを獲得しながら、他のサービスとともにエコシステムを構築して、Apple全体の“アリーナ”を広げている。

さらには、膨大なユーザーベースを収益化するためのApp Storeのターゲティング機能への投資や、自社デバイスを所有していないユーザーからの収益力強化など、より多様な収益基盤の構築を進めている。

■Microsoft:2位 3525億ドル (+11%)

サティア・ナデラCEO兼会長のリーダーシップのもと、Microsoftは中核のソフトウェアおよびデバイス事業から、より収益性の高いクラウドコンピューティングサービスへの事業展開を進めている。

ブランドは引き続き変革を続け、Microsoft AIを製品に統合することでAI分野での主導権獲得を目指している。 Azureを新たなAIオペレーティングシステムと位置づけ、Microsoftはベンダー、ソリューションプロバイダー、開発者によるエコシステムの構築により、Microsoft WindowsやOfficeの成功の再現を目指しており、 OpenAIとの提携はその基盤として、Microsoft製品群全体のイノベーションを支えている。

Microsoftのブランドミッション「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」のもと、ブランドが人々に力を与える行動が明確に示されている。

■Amazon:3位 2981億ドル (+8%)

Amazonは、米国、英国、カナダ、ドイツなどの主要市場で、広告付きのPrime Videoを導入した。他の定額制動画配信 (SVoD) サービスとは異なり、Amazonはこの新たなサービスを基本プランとし、広告なしの視聴を求めるユーザーには特別料金を設定している。

このAmazonのセグメンテーション戦略により、ユーザー一人当たりの平均売上 (ARPU) が増加、広告収入を押し上げており、今後各国に展開を広げていく予定となっている。

また10年目を迎えるAmazonプライムデーは、ショッピングとプライムビデオの両面からAmazonのエコシステム構築の重要な手段となっているほか、Amazonの最も急速に成長しているセグメントである広告サービスでは、ユーザーデータ活用によるターゲットを絞った広告を提供するなど、消費者の好みが進化し続けるにつれAmazonのエコシステムが強化されていくと、アナリストは予想している。

日本ブランドに関する分析

■Toyota:6位 728億ドル (前年比+13%)

Toyotaは2023年、4年連続世界販売台数1位となった。その成功は、ビジネス戦略とブランド戦略の巧みな連動性にあると考えられる。「すべての人に移動の自由を」を理念とし、自動車会社からモビリティ企業へ、着実にその歩みを進めている。

最近発表されたコンセプトモデルであるバッテリー式電気自動車 (BEV)「KAYOIBAKO」は、異なる移動ニーズに対応するため内装を交換可能にした。

2024年のパリオリンピックおよびパラリンピック競技大会では、大会をサポートする専用モビリティ「アクセシブル・ピープルムーバー (APM:Accessible People Mover) 」と車いす利用者向けに、車いす用電動けん引モビリティ「e-puller」を提供。し選手や家族・スタッフ・ボランティア・観客と、誰もが自由で安全に移動できるツールを提供するなど、顧客起点のイノベーションを着実に進めている。

■Honda:26位 267億ドル (+9%)

2023年4月、Hondaは、グローバルブランドスローガン「The Power of Dreams」を23年ぶりに再定義して、新たに副文「How we move you.」(日本語訳「夢の力で、あなたを動かす」)を発表した。

解放(Transcend) と拡張 (Augment) と創造力 (Create) で、Hondaの原動力である一人ひとりの夢を実現する力が、人と、人の心を動かすことを示している。

2024年のCESで「Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」という新たな開発思想を軸にグローバル新型EVシリーズ「Honda 0 Series」を、JAPAN MOBILITY SHOW 2023において、GM Cruise社と共同で、2026年初頭に日本国内で「Cruise Origin」を活用した自動運転タクシーサービスを開始する計画を発表。

新しい空の移動手段「Honda eVTOL」や、「時間の価値最大化」と「身体能力の拡張」を目指す「Honda アバターロボット」の開発など、ブランドスローガンを体現し、独自性のあるブランドの構築を進めている。

■Sony:34位 208億ドル (+9%)

Sony グループは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurposeのもと、「感動を創る」ことに貢献する企業であることを目指している。

2024年度から始まった第五次中期経営計画では、「境界を超える〜グループ全体のシナジー最大化〜」をテーマに、グループ間シナジー実現への取り組みの強化と、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画のエンタテインメント3事業とイメージング&センシング・ソリューション (I&SS) 事業の成長に注力。

Sonyの10年後の具体的な到達点を示した長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」や、多岐にわたるサステナビリティ課題に対して目指す方向を明確にした「Sony’s Sustainability Vision」も発表され、感動創造企業へと邁進している。

■Nissan:59位 139億ドル (+10%)

2023年12月に90周年を迎えたNissanは、創業以来「他がやらぬことをやる」という精神のもと、イノベーションをドライブし続けてきた。そして、よりクリーンで安全で、よりインクルーシブな世界の実現を目指し、人々の生活を豊かにするような、ワクワクするドライビング体験や革新的な技術を提供している。

「セレナ」が2024年次「RJCカーオブザイヤー」、2023-2024「日本カー・オブ・ザ・イヤー」において「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したほか、都市生活に焦点を当てた印象的なEVコンセプトカー「ハイパーアーバン」を発表、

「アリア」では、Amazon Alexaを搭載、プロパイロットアシストやプロパイロットパーキングなどの先進技術を披露するなど、 DNAとパーパスを商品やサービスで具現化しており、独自ブランドを追求している。

■Nintendo:70位 115億ドル (9%)

Nintendoは、娯楽を通じて人々を笑顔にする会社として、誰でも直感的に楽しむことのできる「任天堂独自の遊び」を提供することを目指している。

2023年4月に全世界で公開された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は世界的なヒットとなり、同年10月に発売された『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』は、最初の2週間で全世界累計販売数430万本を達成した。

また、米国のユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに「スーパーマリオワールド」を、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにはドンキーコングのテーマエリアをオープン。ワシントン州シアトルでは「Nintendo Live 2023」を開催するなど、キャラクターたちをデジタルとリアルの幅広い分野へ展開することでファンとの接点を増やし、ファンの愛着を深めている。

そして、Nintendoアカウントを通じて、ユーザーとの長く良好な関係を保ち続けることで、エコシステム全体にわたって強固で忠実なファンベースを築いている。

■Panasonic:98位 64億ドル (-4%)

Panasonicは、創業者松下幸之助の「物心一如の繁栄」(人々のくらしが物と心の両面で豊かな理想の社会)の実現を目指し、多種多様なつながりとデジタル技術を掛け合わせて、一人ひとりに合った価値を届ける「くらしのソリューション・プロバイダー」として、世界中の人々の「幸せの、チカラに。」なり続けることに邁進している。

2023年7月、新部門「PanasonicWELL(パナソニックウェル)本部」を発足させ、2021年設立子会社のYohanaを通じてシアトルで開始した家族向けコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」を2024年6月からは日本全国での展開を開始している。

また社内報を刷新し、社外にも広く読まれるオープンコミュニケーション誌として、インターネット上で「Live Your Best」の発行を開始し、顧客やビジネスパートナー、関心のある方々とのより活発なコミュニケーションを加速している。

また、後の世代のために地球を守る“Panasonic GREEN IMPACT”も掲げ、グループ全体のCO2排出削減貢献量の約60%を占める車載用電池事業に大規模な投資を行なうことを決定。7つの事業分野のチカラをあわせ、持続可能な幸せをつくりだしている。

関連情報
https://www.interbrandjapan.com

構成/清水眞希

 

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