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女性の悩みをレモンの価値で解決!ポッカサッポロの「キレートレモンMUKUMI」はなぜヒットした?

2024.10.14

2022年8月、ポッカサッポロから一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減する機能性表示食品として『キレートレモンMUKUMI』が発売された。飲み会や推し活の前に同製品を購入する層が多く、今年の売上は昨年の2倍以上で推移。また、テーマパーク近くの店舗では品薄状態になるなど、大ヒット商品に成長している。

今回は、『キレートレモンMUKUMI』の開発担当、ポッカサッポロ フード&ビバレッジ株式会社マーケティング本部ブランドマネジメント部担当部長 室 晃司さんと、リーダー河崎尚之さんに、同商品の開発経緯やヒットの要因についてお話を聞いた。

*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。

レモンの価値を極める会社が着目した「レモン由来モノグルコシルヘスペリジン」

ポッカサッポロフード&ビバレッジでは、これまでもレモンを使ったさまざまな商品を開発・販売してきた。今回、新たに登場した『キレートレモンMUKUMI』は、レモンを研究する中で発見した新たな価値を提供するものだという。

「我々は『レモンの価値を極める会社』として『ポッカレモン』『キレートレモン』の商品開発や、機能研究を行なっています。レモンに含まれる皮の成分で、ポリフェノールの一種であるレモン由来モノグルコシルヘスペリジンが、「一時的に自覚する顔のむくみ感と脚(ふくらはぎ)のむくみを軽減する」機能を持っていることがわかり、『キレートレモン MUKUMI』の開発が始まりました」

市場調査をする中で、キレートレモンのターゲット層である30~40代の働く女性が、むくみに悩んでいることがわかったと室さんは話す。

「大多数の女性のお客様がむくみに悩んでいることを知り、何とかそれをレモンの価値であるレモン由来モノグルコシルヘスペリジンで解決ができないかと研究を重ねました。サッポログループの研究の中で、『一時的な顔のむくみを低減できる飲料』に行き着いたんです」

『キレートレモンMUKUMI』を飲むシーンについて、河崎さんはこう話す。

「明確にいつ飲むのがおすすめとかはなく、お客様が顔のむくみ感が気になるタイミングで飲んでいただければと思っています。SNSのつぶやきなどを見ていると『夜に飲むことで、次の日のむくみ感が解消された』という声をよく目にしますね」

従来の『キレートレモン』とどう差別化したか?

開発はコロナ禍にスタートしたこともあり、市場のニーズが掴みづらかった一方で、そこに商機も見出していた。

「オンラインの会議がとても増えた時期で、男性も女性も会議で毎日のように自分の顔を見ることが増えていました。自分の顔にこんなにも注目が集まる時はないという状況と、マスクが徐々に取れてくるであろうという予測も含め、『キレートレモンMUKUMI』のコンセプトは可能性があるのではないかという結論に至りました」(室さん)

これまでにない、まったく新しい商品の企画を通す上では「情熱」が最後の一押しになったと室さんは振り返る。

「世の中にない商品は、失敗と隣り合わせです。会社を代表する商品で失敗するわけにはいかないため、企画を通すのはとても苦労をしました。企画担当者としては、ロジックで左脳的に考えて組み立て『これは絶対売れるんだ』と押し通したいですが、それは同じくロジックで打ち負かされてしまうこともあります。やはり最後は『情熱』が大事だと感じています。『このブランドをこうしていきたい』『ターゲットのお客様にこういう価値を届けたい』という熱い思いがセットになっていたことが、商品の企画を通すうえで大切だと感じた部分です」(室さん)

従来の『キレートレモン』との違い、『キレートレモンMUKUMI』ならではの特徴について、室さんはこう続ける。

「『キレートレモン』は、1個分の果汁を使った“レモンの価値体感飲料”として定義付けていますが、『キレートレモンMUKUMI』にはレモンの果皮から取れるポリフェノールの一種『レモン由来モノグルコシルヘスペリジン』を使用しています。レモン由来モノグルコシルヘスペリジンには、血流の促進とナトリウム量の調整機能があります。この二つの働きによって顔のむくみ感の軽減に繋がるということがわかり、機能性表示食品として届出をしました」(室さん)

開発を進める上では、レモン由来モノグルコシルヘスペリジン特有の苦味や薬くささと、おいしさの両立に苦戦したという。

「人によっては『苦味』『薬くささ』を感じる方もいるようです。レモンの爽やかなおいしさとは、相容れないものです。かなり工夫をして、それらを感じさせないよう開発を進めてきました。ただ、SNSの声を聞くと『苦くて薬くさいけど、なんかそれが良さそう』という声があったんです。ドキドキもしながらも、ポジティブに受け止めてくれていると解釈しています」(室さん)

これまでの商品との違いを消費者に伝えるため、パッケージにもこだわりを詰め込んだ。

「パッケージもかなりこだわりを持って、デザイナーの方とディスカッションしながら作ってきました。ターゲットを30~40代女性に設定していますので、化粧品も参考にしながら、紙のラベルにキラキラとしたラメを配置し、あまり飲料では使われないピンクと青の組み合わせを採用しました。ピンクだけだと美容系ドリンクに見えてしまい、我々が訴求したい新しい価値とは違うものになってしまいます。そのため、反対色の紺で締めることで、結果的にレモンが引き立ち、新しさも出せるものになりました。店頭では美容系カテゴリーにも配置されているので、『何者であるか』がしっかり伝わりやすくなったと思っています」(室さん)

令和は「チート思考な商品名」がカギ!?

こうして発売に至った『キレートレモンMUKUMI』は、現在では品薄になるほどのヒット商品になった。

「発売から1か月ほどは、なかなか商品が認知されていませんでしたが、SNSの反響もあり、売上が徐々に伸びていきました。直近の数字で言うと昨年の2倍を超える数字で推移しています。お客さまの声として、推し活の前や飲み会の前に飲むという声が非常に多いです。コロナが明けて、イベントや外出が増えてきたところに、『キレートレモンMUKUMI』が必需品のように捉えてくださっている方が多い印象ですね」(河崎さん)

30~40代の女性をターゲットとしているキレートレモンブランドだが、『キレートレモンMUKUMI』は10~20代の購入者の割合も高いという。

「推し活やテーマパークに行く前に飲まれていることから、10代から20代の女性の構成比が他の商品よりも多くなっている点が特徴的です。今までキレートレモンに馴染みのないお客さまが『キレートレモンMUKUMI』によってブランドに触れていただけていると見ています。SNSの動画広告で、どのようなシーンで飲んだらいいかを伝えてきたため、それによって認知が広まり、SNSで自然発生的に投稿していただいたのが、ヒットの要因の一つだと考えています」(河崎さん)

さらに、20代男性の購入も他の商品に比べて多いという。

「キレートレモンの別の商品の調査によると、若年層の男性は、女性から美容情報を取っているということがわかってきました。直接的に男性をターゲットにコミュニケーションを取らなくても、女性に向けてコミュニケーションを取っていくことで、そこへ繋がっていくのではないかと。男性は美容の先輩である女性から学んで、成長しているのではないかと仮説を立てています」(室さん)

「キレートレモンMUKUMI」という商品名は、現代の傾向を考慮し、敢えてストレートなものにしたと室さんは語る。

「『チート思考』と言われるように、近年は『直接書いてあるほうがわかりやすい』という傾向があるように感じます。例えば、『疲労感軽減』と書いてあったら、疲れている人はすぐ手に取れる。難しいことが書いてあっても読まないし、面倒くさい、興味を持たないところがあるので、直接的に『MUKUMI』としました。昔であれば『MUKUMI』と悩みが書いてあるものを机の上に置いていたら、恥ずかしいという思考が働いていたところだと思いますが、今の時代は逆なのかなと。それもあり、ド直球な商品名にしました」(室さん)

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