パリ五輪の〝誤審〟を見て、投資の世界と似てるなと思いました
8月は日経平均株価がブラックマンデー超えの4451円安となる日もあって、大荒れの相場になりましたね。「どうでしたか?」とよく質問されるのですが、ブラックマンデーは1987年でだいぶ前なので、今の金融システムでは〝リーマン・ショック以上、ブラックマンデー未満〟くらいを想定しておくのが正解なのかなと思っていました。ただ〝ブラック・マンデー以上〟もゼロではないと想定していたので、今回の大暴落にもとても冷静でいられましたね。
ただ、今回はふと「これはもう感覚が麻痺しているのか、それともきちんと対策が取れているのか、どっちなんだろう?」と考えてしまいました。株式投資は、過去の自分の経験や感情から「みんなの感情」を推し量って取引をします。だから自分の感情の起伏がなくなると「みんなの感情」が汲み取れなくなるわけで、それは避けたいのです。今回、平常心を保てたのが果たして「投資家としてのスキル」が上がっているからなのか、それとも「一般の人の感覚との乖離」が生じているからなのか……立ち止まって考えてみないといけないと思いました。
スポーツでも株式投資でも、間違った情報や感情論が一気に拡散するのはSNS時代ならではのものか?
スポーツの世界と投資の世界の共通項
8月はパリ五輪も見逃せなかったですね。海外開催で最多の金メダルを獲得した一方で、審判の〝誤審疑惑〟も話題でした。
面白かったのは、柔道混合団体のフランスとの決勝の最後のあのガチャ。みんな90キロ超級で止まるんじゃないかと思ってたら本当に止まったから、「おいっ!」ってなっちゃいましたね(笑)。
ただ、3年前の東京五輪も同様の抽選方式で決めていたというのに、当時は騒いでなかったけど、今回こうなるとめちゃくちゃ騒ぐのはなんだろうなと思いました。
サッカー・スペイン戦での細谷真大選手のオフサイド判定もそうですが、ちゃんとルールに則った判定でも自国に不利なことが起こったらみんな「ルールがおかしい」と言い出すので、スポーツは感情が先行するんだなと感じました。
ルールをちゃんと調べればわかるけど、そこまでしない人が圧倒的多数で、SNSの時代にはそれがさぞ正しいことのようにすごい勢いで拡散されてしまう。一度落ち着いて精査して、「本当に正しいのはどっちなんだ」と裏付けを取らなければいけないのに、今のSNSはそれがなく、間違った情報や感情論が流れてしまうっていうのは、おもしろいけど気をつけないといけないなと思いましたね。
日本対フランスのバスケットボールの試合でも、河村勇輝選手のファウル判定は誤審だと言われました。たしかにあれは、ファウルではないかもしれません。でも、あのシーンだけを切り取って感情的に「誤審だ」「あの誤審がなければ勝っていた!」って言うなら、「ほかにも試合中に誤審はいっぱいあるんじゃないか」と考えられる人のほうが株式投資には向いているのかなと思いました。
投資の世界でも間違った情報で株価が動いてしまって、それが訂正されるとすぐに株価が戻ることもよくありますし、みんな自分で調べていないんだなというのをすごく感じます。時間軸が短くなればなるほど、人は感情で判断しがちですから。スポーツの世界と投資の世界は、感情とか集団心理の面でも似ているな~、なんてことを感じた8月でした。
流行を斬る!
【1】「ブラックマンデー以上」もありうると想定すべき
【2】時間軸が短くなればなるほど、人は感情だけで判断しがち
【3】投資に向いているのは「他にも誤審があるのでは?」と考える人
文/テスタ
テスタさん
2005年、300万円を元手に株式投資を開始。主にデイトレードで利益を上げ、6年目で億トレーダーに。2015年からは中長期投資も始める。収支は19年連続プラスで、株の生涯獲得利益は100億円を超える。
構成/向井翔太
株式投資家テスタとパリ五輪ブレイキン代表Shigekixが本音で語る「勝ち続ける人は何が違うのか?」スペシャル対談動画配信中!
一貫してモノ・ヒト・コトに関するトレンドを深堀りして、ヒット商品やトレンドの背景に何があるか取材してきたビジネストレンドマガジン『DIME』とWebメディア『@...