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株式投資家テスタとパリ五輪ブレイキン代表Shigekixが本音で語る「勝ち続ける人は何が違うのか?」スペシャル対談動画配信中!

2024.10.12

一貫してモノ・ヒト・コトに関するトレンドを深堀りして、ヒット商品やトレンドの背景に何があるか取材してきたビジネストレンドマガジン『DIME』とWebメディア『@DIME』は、本誌連載陣や第一線で活躍する著名人・ビジネスパーソンがテーマに合わせてディスカッションするカンファレンス「DIME Business Trend Summit」を開催した。第2回となる今回のテーマは「Well-Working」。

急速に変容する世界で生き残るために、企業も個人もイノベーションが欠かせない時代に何が必要なのかを考えていく。ここでは株式投資家のテスタさんとパリ五輪のブレイキン日本代表のShigekixさんによる「勝ち続けること」についてディスカッションした内容を紹介していく。

【プロフィール】

テスタ
株式投資家。2005年、300万円を元手に株式投資を開始。主にデイトレードで利益を上げ、6年目で億トレーダーに。2015年からは中長期投資も始める。収支は19年連続プラスで、株の生涯獲得利益は100億円を超える。

パリ五輪ブレイキン代表
Shigekix(半井重幸・なからい しげゆき)
パリ五輪ブレイキン代表。2002年3月11日大阪府生まれ。7歳からブレイキン(ブレイクダンス)を始め、ダンサーネーム「Shigekix」として世界中で活躍する。2018年ブエノスアイレスユースオリンピックで銅メダル、世界選手権では2022年に銀、2023年に銅メダルに輝いた。2024年パリ五輪では日本選手団の旗手を務めた。

テスタさんとShigekixさんが考える「勝ち」とは?

今回のカンファレンスで、株式投資家として生涯獲得利益が100億円を超えるテスタさんと、パリ五輪で正式種目だったブレイキンに出場し話題になったShigekixさんという異色の対談が実現。接点がなさそうだが、SNSを相互フォローしていたり、テスタさんはパリ五輪でのShigekixさんの活躍に注目していたりと意識している部分も多かったようだ。

テスタさんがパリ五輪についての感想を聞く場面では、ブレイキンの競技性についてShigekixさんは「アートとスポーツの融合みたいな競技。アートの部分は何回転したら何点みたいな採点の競技ではないので、表現力や独創性の要素がちゃんとあってその基準は良くも悪くも明確ではありません。単純に比較できないので、”ゴッホとピカソの絵を勝負させている”ような感覚です。ブレイキンは、オンリーワン同士のナンバーワンを決める戦いと表現しています」と語った。

今回のテーマでは「勝つ」ことに関する考え方では、同じような感覚を持っていることも判明した。テスタさんは、長年の株式投資においてほとんど勝っていると感じることはなかった。

「最初の頃はデイトレードでマイナスになった日は悔しくて次の日は勝とうと考えていた。それが資金10億円を超えて勝ち負けの時間軸が伸びました。でもピークのプラス時から減っている状態は自分の中でなにか気持ち悪いと感じてしまう。1年間で40日か50日ぐらいしかピークの日はないので、残りの日はピークから下がっている状態=負けている状態が続きます。だから年間300日ぐらいは負けている感覚なので、ずっと勝ち続けていると思われがちですが、気持ちの中では負けている日が多いです」(テスタさん)

「それでいうと僕は7歳から始めて、小さい頃から世界中で知られていて、ずっと勝ち続けて上り調子で最前線にいるみたいに言われることが多い。でも僕の感覚だとテスタさんと一緒でほぼ勝ってない。大前提として、実際の勝敗数は関係なく勝った嬉しさよりも負けた悔しさのほうが刻まれています」(Shigekixさん)

成功にいたるまでの努力は、どちらも相当なものだと推測できるが、ふたりともいまの仕事を頑張れるのは、好きで楽しいからだと語る。

「大負けしたり苦しかった記憶もたくさん出てきて、楽しい瞬間の方が少ないかも知れない。それでも根本で好きだという気持ちとトータルで楽しさを感じているからこそ続けることができる。それはどのジャンルでも同じだと思います」(テスタさん)

テスタさんの発言を受けてShigekixは、後輩に対して「ブレイキンで同じ経験をしても好きじゃなかったら悔しくないはず。悔しいと感じるのは、それだけ本気で取り組んでいる」からとアドバイスを送っているという。テスタさんからはブレイキンの競技に関することや選手としてのピークについての質問も多く出たが、Shigekixさんの的確で分かりやすい説明によって、競技としてのブレイキンの魅力も伝わってきた。

自分の中の負けの定義とプレッシャー

勝ち続けることを目指しているテスタさんとShigekixさんが「勝てていない状況」についても説明してくれた。

「資産がマイナスになることも負けですが、タイミングが遅れて株が買えなかったことも、僕の中では負けです。お金自体は変化がないから金額だけでいうと引き分けに見えるけど、実際に株を購入できて得られた利益があるならば、僕の中では遺失利益として負けに感じます。普通の人は、金が増えたら勝ちでお金が減ったら負けと思うかも知れないけど自分の中では違います」(テスタさん)

「その感覚と似ているなと思うのは、僕自身も大会の勝ち負けがすべてだとは思っていないということ。それよりも、『挑戦しないことが負け』という感覚が大きい。挑戦して勝ったら本物の勝ちだけど、挑戦して負けてもそれは次に続く挑戦の勝ちに必要なプロセスとして受け止めます。挑戦しなければ勝ち負けもないけど、それが本当の負けかなと。何もしないのは何も失わないけど何も得ることができないと思います」(Shigekixさん)

一方で勝てない時の対処法についても意見が出た。株式投資の世界では、資金がなくなることが引退とイコールになることも多い。勝ち続けるためには、常に自分と向き合えるかも重要な要素になる。

「勝つべくして勝っているのか、自分の力が本当に通用しなくなって負けているのか。これを自分が判断しないといけないのが株式取引の業界。勝てない時は焦って取り返したいとかパニックになりやすいけど、それが一番やってはいけない。冷静にいまの状況を分析して、また良くなる時を待つことが勝てない時期の正しい過ごし方でしょう」(テスタさん)

「勝てない時に冷静に考えることは僕も大事にしています。ブレイキンでも周囲はそう見てなくても自分の中ではうまくいってない時期はあります。負けている時も自分の実力不足で勝ててないのか、やることをやっているのに勝ててないのか。そこを敏感に判断するのは大事で、自分自身をコントロールしながら的外れなことを受け取らないようには考えています」(Shigekixさん)

テスタさんもShigekixさんも長く活躍しているが、自分でやっていけるかも知れないと思った時期やブレークスルーについても語っている。さらにプロの株式投資家とブレイキンのプロ選手としてのプレッシャーと対処法にも示唆が多くビジネスパーソンの考え方にも参考になりそうなコメントが多く飛び出した。勝つことに関する感覚など共感する部分も多かった二人がプレッシャーに対しては思考が正反対だったのも印象的だった。

そして勝つことへの満足感についても貴重な意見があった。

「満足すると勝てなくなるので、過去の最高記録を出すとか自分に勝つとか常に自分を満足させない状態にしています。でもモチベーションの維持が難しいのはここ何年かで感じています。いまの自分は株で勝っているからいろいろなオファーがあって、そこから好きなものを選んで貴重な機会や好きな仕事だけやっています。初めてテレビのロケに行ったときは、何もできなかった。それでも、何もできない自分が勉強になったり、難しかったなと思うことが楽しかったりする。いまは自分に満足させないところに身を置くことを大事にしています」(テスタさん)

「めちゃくちゃいい話ですね。僕も満足しちゃうと生きている心地がしなくて。僕の感覚だと一生満足はしない。限界も決めるとそこまでしかいけないので、決めず挑戦していきたい。勝ち続けることではなく、挑戦し続けることが僕にとっての価値です」(Shigekixさん)

対談では、初対面にもかかわらず「勝つこと」に関する考え方など共感することも多く、意気投合している様子だった。Shigekixさんも今回については「自分が知らない世界を聞くことは勉強になるし、対談は違う世界の人同士の縁の重なりを見出して深堀していく感じので、僕もすごくうれしかったです」とコメント。そしてテスタさんは最後にこんなことを発言していた。

「僕は共通項として話していましたが、Shigekixさんを同列だと思っていないし、同列にしゃべることもおこがましいと思っています。見ている人は、オリンピック選手と対等に話していると思わないでください。本当にShigekixさんとお会いしたくて、聞きたいことだけで進めたかったけど、共通項を探るという編集部のオーダーだから僕の仕事もはさんでいました」

ともに自分の業界の第一線で活躍するもの同士だけあって、まったく分野の違うフィールドながらお互いの考え方を共感できることも多い対談となった。

動画でチェック!

取材・文/久村竜二 撮影/小倉雄一郎

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