事業の立ち上げフェーズから、事業継続において常に必要不可欠なものは「営業」。
しかし「営業=ノルマ」のようなイメージから、「向き・不向き」という感覚的なものを感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
今回は識学的に見た「営業職がすべきこと」をお伝えいたします。
営業職のイメージとは
「営業職」のイメージはどのようなものでしょうか?
「コミュ力が高い」、「元気で声が大きい」、「お願い、口がうまい」、「粘り強く何度も訪問する」、「押しが強い」、「いつも笑顔」、「体育会系」などでしょうか。
営業会社といわれる組織では「結果を出す営業パーソン=スーパースター」のように表彰されたり、出世するためのわかりやすい指標となることもあります。
新卒の方、別の部署で活躍しながらも初めて営業職に異動になった方もおられることでしょう。書店には数々の営業スキル本が並び、ネットにも数多の情報があふれております。
意識が高い方ほど、あれもこれも取り入れたくなるかと思います。
まずは肩の力を抜いて聞いていただけたら幸いです。
「できる営業=百発百中ではない」
私は管理職を含めて30年ほど営業関連の職を務めておりますが、自認しているパーソナリティーとしては前述した「営業職」のイメージとは異なります。体育会でもなく、押しも強くなく、混雑している居酒屋ではオーダーしたくても全く声が通らない声量のレベルです。
しかしながら、定められた期限で結果を出すということに集中して業務を続けられています。
「営業」と似ている言葉に「販売」があります。
・販売=欲しいものを提供する
・営業=必要性を認識いただき提供する
欲しいものを買いに来られた方を、高確率で上手に「販売」することは、スキルや経験でできるかもしれません。
一方、営業では優先順位、タイミング、予算などが絡み合ってくるものです。どんなスーパースターも「断れられない、失敗しない」営業パーソンになることはできません。
「他部署では、できていた」、「他の人ができているから」という根拠のない自信、比較も無用です。まず「できる営業=百発百中」という誤解をしないことです。
「営業職で、すぐ結果を出している人もいる」と思われるかもしれません。
すぐに結果を出せている多くの方は、あるサイクルを細かく意識的、あるいは無意識に繰り返して行っているのです。
・目標を決めて期限までで行う⇒
・シンプルに〇×(できた・できなかった)の結果を受け入れる⇒
・×(できなかった)を自分の責任での失敗と認識する⇒
・どうすれば〇になったか改善点を考える⇒
・修正して次の目標設定する ⇒(繰り返す)
このサイクルを識学では「結果の完了」という言葉で定義しておりますが、「できなかったことが、できるようになる」、成長するための管理方法となります。
ですので、まずは「失敗は必要なもの」というマインドセットを修正されてください。失敗は成功の母です。
失敗OKですから、最初に設定する「目標を高く設定すること」が重要です。
基礎を固めるには「ルール通り」に
配属されたばかりですと、今までの経験を生かした活動をしたい、という方もおられるでしょう。そのオリジナリティーを発揮する前に、大前提である所属部署のルールを確認し実行することが必要です。このルールを「マナー」と置き換えていただいても構いません。
営業パーソンは会社の最前線であり顔ですので、それぞれが属人的なルールで動くことはNGです。
識学では、誰でもできるルール(姿勢のルール)を作る必要があるとお伝えしております。私がいつもお話している、営業パーソン向けで、誰でもできるルール例を2つ紹介いたします。
Q:上司や顧客と会食に行ったとき、翌(営業)日の朝に、御礼の電話・メールをする
取引先や上司から、懇親や息抜きで食事に連れてもらったことはありませんか。
私は立場がどうであれ、30年間御礼を伝えることを欠かしたことはありません。これは社内であれ、社外であれ同じです。
御礼を言われるために食事に誘ったわけではない、と言われるかもしれません。しかし、そのままの社風で育ってしまうと「御礼をいう必要はない、逆に迷惑かもしれない」と部下側は認識してしまうものです。
逆に社会的に上位者の方ほど、御礼を頂戴することもあります。
御礼を言える人、言わない人、どちらもいる状態になりますが、どちらを次の機会に誘いたくなるでしょうか。
Q.会議室へご案内され、お茶を出された方に、目を見て深々と御礼を伝える
営業職になりたての頃は商談で頭がいっぱい、緊張してしまうものです。
仕事の手を止めて、あなたを案内してくださり、時にはお茶を出してくださる方に丁寧に御礼を言えているでしょうか。
会社には様々な業界の営業パーソンが来られます。決定権者が「今回の営業さんはどう?」と信頼のおける受付の方に聞くことは、よくあることです。実は、経営者のご親族が受付をされているケースもあります。
決定権者にだけ営業スマイルで挨拶し、礼儀が正しくする。そんな営業さんに、大事な予算や戦略運営、ひいては事務所に何度も訪問してもらいたいでしょうか。
競合ひしめく営業職の中では、商品力・価格・サービスなどを比較されることは言うまでもありません。しかしながら営業パーソンとの継続的なやり取りを続けたいかどうか、というのは非常に大きなファクターになります。
「なんとなくあの営業さんには、もう来ないでほしい」と言われたら挽回は難しいのです。