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医師の2割強、看護師の1割弱が「AIを業務で利用した経験あり」、今後利用してみたい業務は?

2024.10.09

世界的求人サイト 「Indeed 」の日本法人であるIndeed Japanは、20歳~59歳(※1)の正社員で医療職(医師・看護師)に従事する男女計1000名(医師:424名、看護師:576名)を対象に、「AIの業務利用に関する実態・意識調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
※1:医師は24歳~59歳、看護師は20歳~59歳を対象に聴取

医師と看護師のAI業務利用率および業務利用経験率

医師(424名)のうち、現在AIを業務に利用している人は17.0%。過去利用も含めると23.7%で、約4人に1人が、AIの業務利用経験があることがわかった。一方、看護師(576名)のうち現在AIを業務に利用している人は5.7%、過去利用も含めると7.5%に留まっている。

■AIの業務利用で実感した変化

AIの業務利用経験のある医師(100名)と看護師(43名)に、AIの業務利用による変化として何を実感しているかを聞いた。医師・看護師で上位は共通しており、ともに半数以上が「大量の医学的なデータや文献を活用できた(医師1位:54.1%、看護師2位:55.1%)」や「業務を効率化できた(医師2位:50.8%、看護師1位:59.8%)」と回答。

AIが得意とされるデータ活用や、人材不足や長時間労働の緩和につながる業務効率化への実感が高いことが推察できる。

■AIの業務利用意向

自身の業務においてAIを利用したいか聞いたところ、「利用したい」が医師では約7割の68.9%(利用したいと思う13.6%、どちらかと言えば利用したいと思う55.2%の合計)、看護師では5割以上の54.2%(利用したいと思う9.6%、どちらかと言えば利用したいと思う44.6%の合計)となり、AIの業務利用に対する期待感の高さを感じさせる結果となった。

またAI利用経験のある人の方が利用意向が高く(医師:87.9%、看護師:78.7%)、医療現場でのさらなるAIの広がりにあたっては、医療従事者が「AIの業務利用を経験すること」が有用だと考えられる。

AI利用によって削減したい労働時間

自身の業務においてAIを利用したいと思う医師(292名)と看護師(312名)に、AI利用によって週あたりの労働時間をどのくらい削減したいか聞いたところ、医師では平均21.9%(1週間あたり平均11.6時間(※4))、看護師では平均23.1%(1週間あたり平均10.3時間(※4))となり、AIの業務利用による業務効率化の意向を感じさせる結果となった。
※4:別途聴取していた「1週間あたりの大よその労働時間(残業時間含む/日勤・夜勤なども合わせた平均的な1週間の労働時間を数値にて回答)」を用いて算出。なお、1週間の労働時間の平均は、医師48.9時間、看護師41.9時間だった。

■今後AIを利用したいと思う業務

自身の業務においてAIを利用したいと思う医師(292名)と看護師(312名)に、今後AIを利用したいと思う業務を聞いたところ、医師の約6割(59.1%)が「診療記録の作成」などの「定型の事務作業」にAIを活用したいと回答。ここでも業務効率化への意向が見られる。

一方、「患者の病状の評価と診断」や「検査結果の解析と診断の立案」などの「情報分析・課題解決業務」についても44.2%の医師が利用意向を持っており、AIを「医療の質」向上につなげたい意向も表れている。

看護師のAIを利用したい業務として最も多かったのが「定型の事務作業」(「患者の受付業務」や「記録作業」など)で39.1%、次いで「情報分析・課題解決業務」(「患者の病状のアセスメント」や「ヒューマンエラーの防止」など)で36.8%となっており、医師と同様の傾向が示された。

※回答の参考情報として、下記の業務一覧を提示

■今後AIが利用できたらいいと思うこと

さらに、医師や看護師の業務において「こんなことにAIを利用できたらいいな」と思うものを自由記述で尋ねると、医師では「画像診断による見落としや確認のダブルチェック」「過去のカルテや他の医療機関の情報から、経過を分析」などが挙がった。

看護師では「症状や検査データ、バイタルサインを入力すると、疑わしい病名と処置方法が提示される」などの声が見られた。

医師、看護師ともに、業務効率化に留まらず診断精度や医療技術の向上に寄与するようなAI活用を希望する声も集まっている。

調査結果まとめ

<Indeed Hiring Lab エコノミスト 青木雄介 氏>

医師と看護師の間でのAIの業務利用経験率は未だ高くないものの、AI導入に対する利用意向が高いことが確認され、今後のAI導入に対する期待の大きさが推察できます。

特にAI利用に対する期待は、「定型の事務作業」(例:診療記録の作成やデータ整理)の業務効率化と、「情報分析・課題解決業務」(例:「患者の病状の評価と診断」「検査結果の解析と診断の立案」「ヒューマンエラーの防止」)の質の向上の2点に集中しています。

このような業務の効率化により、労働時間の削減を期待し、医師は現状よりも平均21.9%、看護師は現状よりも平均23.1%の労働時間削減を希望しています。

しかし、AIの技術的観点や信頼性についての医療従事者の認識から、現状のAIに任せられる業務範囲が限られ、医療業務の質向上を目的とした利用はまだ浸透しにくい課題もあるでしょう。それでも「こんなことにAIを利用できたらいいな」という自由回答には、医療業務の質向上への寄与に期待する具体的意見も多く寄せられており、AI未利用の医療従事者からも同様の期待が示されています。

これらの意見は、AIがどのように貢献できるかを示唆しており、今後のAI導入の方向性やAIに任せられる業務範囲の拡大を検討する上で重要です。

調査概要
調査主体/Indeed Japan
調査対象/
【1】「医師」として勤務している24歳~59歳の正社員の男女 計424名 ※歯科医、獣医および研究・開発のみを行っている医師を除く
【2】「看護師」として勤務している20歳~59歳の正社員の男女 計576名 ※医療機関以外(保育園・保健所など)の勤務者を除く
調査方法/インターネット調査
調査期間/2024年8月7日~8月14日

関連情報
https://jp.indeed.com/press/releases/20240927

構成/清水眞希

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