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中田英寿氏が執行役員に就任したPR会社サニーサイドアップの経営戦略

2024.10.11

10月1日に元サッカー選手の中田英寿氏が、サニーサイドアップの執行役員に就任しました。サニーサイドアップはPR事業を展開する会社。中田氏とはイタリアのセリエA・ACペルージャに移籍する前の1996年にマネジメント契約を締結していました。

サニーサイドアップの業績は堅調に推移しているものの、掲げた売上目標に対する進捗はやや後れを取っているのも事実。中田氏は業績拡大のキープレイヤーとなれるのでしょうか?

※写真はサニーサイドアップ中田英寿のプロフィールページより

執行役員に就任することの意味とは?

今回の人事が驚きを持って世間に広まったのは、執行役員というポジションだったため。有名人が上場企業の経営に参画すること自体は珍しいことではありません。

シドニーオリンピックのマラソン金メダリストである高橋尚子氏は、自動車メーカーのスズキ、不動産事業のスターツコーポレーションの社外取締役。女優の酒井美紀氏も不二家の社外取締役を務めています。

有名人を招き入れるポジションは社外取締役というのが一般的。社外取締役は上場企業に設置が義務付けられており、企業と直接的な利害関係を持たない中立な立場の人物が選ばれます。多様な視点を持つ人が、経営に対して客観的かつ中立的な意見を述べることに期待されているのです。

社外取締役はアドバイザーとしての役割が強いと言えるでしょう。

しかし、中田英寿氏が就任した執行役員は役割がまるで異なります。執行役員は事業運営の責任者。取締役会が決定した経営戦略や事業運営方針に従って、業務を執行する役割を担っています。しかも、執行役員は役員報酬ではなく給与や賞与で報酬が支払われます。

業務執行の責任を担う、社員に等しい存在だと言えるでしょう。

社外取締役とは、会社に貢献する領域や期待値がまったく違うのです。これが異例だと言われるゆえんです。

社長に次いで影響力がある中田氏

サニーサイドアップは、高橋恵氏が1985年に創業。1991年にスポーツ選手のマネジメントビジネスをスタートし、1996年に中田英寿氏とマネジメント契約を結びました。当時、マネージャーとして奔走していたのが創業者の長女である次原悦子氏。次原氏は海外移籍の窓口となり、厚い信頼関係が構築されたといいます。

1997年に次原悦子氏は代表取締役に就任しました。

サニーサイドアップは2008年9月に上場しています。公開価格は2,800円で、初値は2,760円。中田英寿氏も同社の株を取得しており、その目的に「発行会社とマネジメント契約を締結しており、安定株主として長期保有することを目的としております。」と記載しています。

会社側が中田氏を信頼し、大株主として招き入れている様子がわかります。中田氏は現在もサニーサイドアップの株式を4.99%保有する第3位の株主です。

なお、サニーサイドアップは筆頭株主が次原氏、次原氏の資産管理会社であるネクストフィールドが第2位。つまり、次原氏の次に影響力の強い株主が中田氏であることになります。

利益率は高まったものの売上が伸び悩み

サニーサイドアップは最近になって課題が鮮明になっていました。売上高の伸びが停滞してきたのです。

2024年6月期の売上高は、前期比5.5%減の179億円。コロナ禍からの回復で、3期連続の増収でしたが、急ブレーキがかかりました。

※決算短信より筆者作成

ただし、PRサービスの高付加価値化や商品企画の効率化を進めており、営業利益は4期連続の増益となっています。2024年6月期の営業利益率は8.2%。コロナ前の2019年6月期の2.6%から5.6ポイントも上昇しています。

利益が出やすい現在の体質を維持しつつ、売上増を図ることができれば成長に弾みをつけることができるのです。

サニーサイドアップは、2024年6月期から2026年6月期までの中長期経営方針において、売上成長率を年平均13%と設定しました。しかし、減収でのスタートとなったのです。

PR人材以外の専門家を積極的に登用

この中長期経営方針には、戦略的投資として3年間で15億円の予算枠を設けています。その中で5億円を「人財投資」に投じる計画。投資用途にCxO外部招聘、教育プログラムの拡充を挙げています。高い専門性を持つ複数名の外部招聘を計画中としていたため、中田氏の執行役員就任はこの一環だと捉えることができるでしょう。

中長期経営方針の初年度が始まった2023年7月1日に上級執行役員に就任したのが植野大輔氏。ファミリーマートのDX責任者を務めたことで知られています。

デジタルを起点とした組織変革のプロフェッショナルで、売上成長よりも生産性の高い組織づくりに重きを置いた人選だった印象があります。仮にそうだったとすると、中田氏は目先の課題である増収に向けた貢献に期待されていると考えるのが自然でしょう。

中田氏は自らが立ち上げた会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANYにて、日本酒の商品開発や日本酒アプリの開発と運用、海外輸出のコンサルティングなどを行っています。また、サニーサイドアップが中田氏の国際的かつ多岐に渡る人脈、その影響力と知見を経営に活かすと説明している通り、ネットワークを活かした顧客の開拓に期待されているのは間違いないでしょう。

中田氏は精力的に活動する人物としても知られており、行動力、人脈、経営に対する知見、サニーサイドアップとの信頼関係など、様々な要素において事業責任者に相応しいと言えそうです。

取材・文/不破聡

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