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未来のパーソナルコンピュータを生み出した「パロアルト研究所」の功績と現在

2024.10.08

米国企業深掘りシリーズ「パロアルト研究所」

1970年、米国企業ゼロックスはアメリカ・カリフォルニア州パロアルトに「パロアルト研究所」(Palo Alto Research Center、通称PARC)を設立しました。当時、ゼロックスは複写機の開発で世界的に名を馳せていましたが、将来の技術革新を見据えた研究機関の設立を決断しました。ゼロックスは紙を中心としたオフィス製品に強みを持っていましたが、急速に進化するコンピュータ技術に対応するため、未来のオフィス環境に適応できる新しい技術の研究を進める必要があったのです。

PARCはその後、数々の画期的な技術を開発し、その成果は現在のコンピュータ社会に深い影響を与えました。最も象徴的な例が、Xerox Altoというコンピュータです。

このマシンは、今日のコンピュータの基本となる技術を多く搭載しており、未来のパーソナルコンピュータのプロトタイプとも言える存在でした。

パロアルト研究所の革新的技術

【Xerox AltoとGUIの開発】

Xerox Altoは、1973年に開発されたパーソナルコンピュータの先駆けです。このマシンが持つ最も革新的な技術は、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)でした。GUIは、ユーザーが直感的にコンピュータを操作できるインターフェースで、コマンドライン入力に依存していた当時のコンピュータの使いにくさを解消しました。画面上にアイコンを配置し、マウスで操作するスタイルは、後にAppleのMacintoshやMicrosoftのWindowsに取り入れられ、今日のすべてのパーソナルコンピュータの基本となっています。

ジョブズがこの技術に注目したエピソードも有名です。彼はPARCを訪問し、AltoのGUIを見た瞬間、その可能性に気づきました。そして、アップルに戻ると、すぐにMacintoshプロジェクトにこの技術を取り入れることを決断しました。Macintoshの成功は、この革新的なGUIが一般消費者に受け入れられた証拠であり、パーソナルコンピュータの普及に大きく貢献しました。

【イーサネットの発明】

もう一つの重要な技術革新が、イーサネットです。イーサネットは、ロバート・メトカーフによって1970年代にPARCで開発されました。この技術は、複数のコンピュータがネットワーク上で高速かつ効率的にデータを交換するためのプロトコルであり、現代のインターネットの基盤を築きました。イーサネットは、その後のネットワーク技術の進化においても重要な役割を果たし、今日のデータ通信インフラの核心を担っています。

Wi-Fiや光ファイバーネットワークといった技術も、イーサネットの発明がなければ成立していませんでした。現代社会で当たり前となっているデジタル通信の仕組みは、PARCの革新によって支えられていると言っても過言ではないのです。

【レーザープリンターの革新】

PARCの技術革新は、コンピュータやネットワークだけにとどまりません。オフィス環境を変革したもう一つの重要な発明がレーザープリンターです。ゼロックスは既に複写機で成功を収めていましたが、レーザープリンターは、より高速かつ高解像度な印刷技術を提供し、オフィス業務の効率を飛躍的に向上させました。これは、大量の文書作成やビジネスレポートの印刷を容易にし、オフィスでの作業環境を一変させたのです。今日のレーザープリンターも、その技術は当時のPARCで生み出されたものが基礎となっています。

スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツへの影響

パロアルト研究所の技術革新が世に出るきっかけは、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツといった業界の巨人たちの影響によるものです。1979年、スティーブ・ジョブズはPARCを訪問し、そこで初めてGUIやマウスの技術を目にしました。彼はこの技術に衝撃を受け、すぐにAppleのMacintoshプロジェクトにこの技術を取り入れることを決意します。これにより、パーソナルコンピュータは使いやすい製品として一般家庭に普及し始めました。

一方、ビル・ゲイツもPARCの技術から大きな影響を受けました。彼はMicrosoftの開発するWindowsにGUIを採用し、これによりWindowsは一気に市場を席巻しました。結果的に、PARCで生まれた技術が、AppleとMicrosoftという二大巨頭の製品に組み込まれ、世界中に広まったのです。

PARCが与えた歴史的影響と失敗

Xerox Altoは1973年にPARCで開発され、GUIやマウス、イーサネットを初めて統合したコンピュータでした。しかし、この革新技術は商業的には成功を収めることができませんでした。ゼロックスは、オフィス機器に特化した企業であり、パーソナルコンピュータ市場に進出する準備が整っていなかったため、Altoの技術を商業化できませんでした。そのため、AppleやMicrosoftといった他社が、この技術を商業的に成功させることになったのです。

一方で、PARCが生み出した技術は現在のデジタル社会に大きな影響を与えています。GUIはスマートフォンやPCで日常的に使用され、イーサネットはインターネットの基盤として世界中で使用されています。PARCの技術革新は、直接の商業的成功には結びつかなかったものの、現代のテクノロジーの基礎を築いたことは間違いありません。

また、現代でも使うコピー&ペーストの技術は、現代のPC操作に欠かせないものとなりました。この概念は、PARCの研究者たちによって初めて形にされ、文書作成やプログラムコードの編集において、迅速で正確な作業を可能にしました。これにより、現代のデジタルワークフローが大きく効率化され、時間を節約しながら精度の高い作業ができるようになっています。

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