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体調やメンタルの不調による離職者の代替要員確保にかかっている年間のコストは?

2024.10.07

企業に健康経営の推進が求められる昨今。一方で、フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者、それによる休職者・離職者の発生による担当者の手間やコストは、会社のリスクと捉えることもできる。健康経営は必要とわかっていながらも、緊急性を感じないという声が少なくないなかで「起きるを防ぐ」仕組みづくりにより、どのような手間やコスト、会社のリスクを減らしていけるのだろうか。

エムステージはこのほど、企業の人事・労務担当者400名に「職場の健康に関する取組み」についてアンケートを実施し、その結果を発表した。

休職者・離職者の状況について

■3割以上がコロナ後の増加を感じる

コロナ前と昨年度(2023年4月~2024年3月)を比較した際のフィジカルヘルス(身体的)不調者やメンタルヘルス不調者の増減の程度について、「かなり増加した」と回答した担当者は8.0%、「やや増加した」と回答した担当者は24.5%となった。3割以上が増加を感じる結果となった。

具体的に、1カ月以上の休職、もしくは、離職した従業員数が「1名以上」いると回答した担当者は40.6%となり、「わからない」と回答した担当者は17.5%となった。

企業の対応状況

■35.8%が専用のオペレーション「無い」

フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者、それによる休職者・離職者が発生した際の対応について、35.8%の担当者は「専用のオペレーションが無い」と回答。反対に「専用のオペレーションがある」という回答は28.7%となり、無いという回答を下回る結果となった。

■問題の発生を未然に防ぐ仕組み「整っていない」約半数

フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者の発生を未然に防ぐための対策や、従業員からの訴訟等、会社としてのリスクを生まないためのルール作りなど、場当たり的ではない、「問題の発生を未然に防ぐ」ための仕組みについて、約半数が「整っていない」と回答。約2割が「わからない」という結果になった。

対処にかかる手間やコスト

■約4人に1人が「発生した事象への対処」に最も時間をかけている

現在行っている、職場の健康に関する取組みにおいて、最も時間をかけていること・かかっていることは、「ほとんど何もやっていない」(126)という回答が最も多く、以下「不調者(フィジカル・メンタル含む)の面談対応」(52)、「健康診断・ストレスチェック結果の分析・対策」(49)、「健康診断・ストレスチェックの準備・手配」(46)、「休職者の対応」(38)が続いた。

「不調者の面談対応」(52)、「休職者の対応」(38)、「離職者の対応」(14)など、発生した事象への対処に約4人に1人の担当者が最も時間をかけている・かかっている結果となった。

■対応する担当者の声「その対応で、またさらに残業が増える」

フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者、それによる休職者、離職者の対応において、負担や難しいと感じることに関するフリー回答では、対応する担当者が不足していることに関連するコメントが最も多く見られた。また、それぞれの状況に合わせた対応に関するコメントや、社内の体制、会社の理解に関するコメントも見られた。

Q. フィジカルヘルス不調者やメンタルヘルス不調者、それによる休職者、離職者の対応において、負担や難しいと感じることは何ですか。(フリー回答)

●リソースに関するコメント
・業務が増える(従業員数:100~299人)
・人事部の担当者不足(従業員数:5001人以上)
・仕事量の負担(従業員数:500~999人)
・その対応で、またさらに残業が増える(従業員数:300~499人)
・サポートする人手不足(従業員数:50~99人)
・対応できる人の配置(従業員数:1000~3000人)
・専門知識がない(従業員数:10~19人)
・予算配分不足や専門スタッフ不足(従業員数:300~499人)
・各担当が兼務で対応していること(従業員数:1000~3000人)
・他の業務でも手いっぱいのなかで、不調者の対応に時間を取られる(従業員数:300~499人)
・専門社員がおらず兼任で対応している(従業員数:50~99人)

●対応時に関するコメント
・それぞれに症状が違うこと(従業員数:300~499人)
・治療に時間がかかる、本人の回復が目に見えにくいこと(従業員数:500~999人)
・正解が分からないこと(従業員数:500~999人)
・対応に慣れておらず、難しく感じてしまう(従業員数:100~299人)
・個人差があるため、柔軟な対応が必要なこと(従業員数:20~49人)
・対応が一律ではないこと(従業員数:100~299人)
・一人ひとり症例や状態が異なり、それらに対応する必要があること(従業員数:500~999人)
・何をして良いのかわからない(従業員数:100~299人)
・解決までの糸口や時間が読めないこと(従業員数:5001人以上)
・明確な判断が難しい(従業員数:50~99人)

●体制に関するコメント
・人員調整(従業員数:300~499人)
・求職者の補充と、復職時の環境が整っていない(5001人以上)
・他従業員の仕事の増量(従業員数:5001人以上)
・休職者、離職者の業務を人数補充なしに、現人員で処理しないといけない(従業員数:5001人以上)
・人手不足のため、人が辞めると残業が増え、さらに辞める人が必ずでてくること(従業員数:10~19人)

●その他
・人事部、総務部等の対応社員のストレス(従業員数:5001人以上)
・経営層のリテラシー(従業員数:50~99人)
・経営者の知識不足(従業員数:50~99人)
・従業員とのトラブルにならないための対応(従業員数:20~49人)
・世間の視線(従業員数:20~49人)

■不調による離職者の代わりの採用にかかる年間コスト約85万円

昨年度(2023年4月~2024年3月)の期間で、フィジカルヘルス不調やメンタルヘルス不調が原因で、離職した従業員数の加重平均は1.0人となった。厚生労働省が公表した「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 調査結果(令和4年)」によると、「民間職業紹介事業者(紹介会社)」を利用する場合の正社員の採用コストの平均相場は、85.1万円となる。

つまり、フィジカルヘルス不調やメンタルヘルス不調で離職した社員(正社員)の代わりを採用するためにかかる年間のコストは【不調による離職者の加重平均1.0人】×【85.1万円】となり、単純計算で【85.1万円】となる結果となった。

※出典:「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 調査結果(令和4年)」(厚生労働省) 

健康経営を、持続可能なものにするために「起きるを防ぐ」仕組みづくりを

今回の調査では、コロナ禍を経てフィジカルヘルスやメンタルヘルス不調を原因とした休職者や離職者の増加を感じている人事・労務担当者が3割以上いることがわかりました。そのような中で「その対応で、またさらに残業が増える」などのコメントからわかるように、人事・労務担当者の負担も発生しています。

また、代わりの正社員の採用にかかる年間コストも少なくないことがわかりました。社会的に健康経営の推進が求められている今、発生した事象への対処に時間やコスト、手間をかけるのではなく、問題の発生を未然に防ぐ、「起きるを防ぐ」仕組みづくりが“持続可能”な健康経営の一歩となるのではないでしょうか。

株式会社エムステージ 取締役 産業保健事業部長
樋口 浩一 (ひぐち こういち)氏
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種等の資格を保有。大手ヘルスケア・EAPサービス企業を経て、2021年に株式会社エムステージに入社。2023年より取締役就任。23年以上、企業に対してメンタルヘルスケア、ストレスチェック、EAP、産業医紹介、健康経営の推進等のヘルスケア業務に従事。

<調査概要>
・「職場の健康」に関するアンケート
・調査対象:企業の人事・労務担当者
・調査日:2024年08月19日~08月26日
・調査方法:webアンケート
・有効回答数:400(従業員数1~49名規模:100、50~99名:100、100~999名:100、1000名以上:100)

出典元:株式会社エムステージ

構成/こじへい

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