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台湾で一家に一台あるといわれる国民的家電「大同電鍋」とは?

2024.10.05

台湾で、一家に一台はあるといわれている家電がある。その名は「大同電鍋」。1台あればなんでもできてしまう万能家電だ。

台湾での累計販売台数は1500万台以上で、一世帯あたり1.8台が保有している計算になる。家庭内はもちろんのこと、飲食店や夜市の屋台でも大活躍。ロングセラーの理由は一体どこにあるのか?そんな「国民的家電」の実力を紹介したい。

台湾の国民的家電「電鍋」

夜市でも活躍

日本を代表する「あの企業」が関わっていた!知られざる電鍋の歴史

大同電鍋(以下電鍋)は1918年に創業した「大同股份有限公司(以下大同公司)」が製造・販売している調理器具だ。内鍋と外鍋の二重構造になっており、この内鍋と外鍋に入れる水の量を調節してスイッチを入れることで、1台で「炊く」「煮る」「蒸す」「温める」「保温する」「焼く」という調理ができてしまう。つまり、何か料理を作ろうと思ったら、たいていの料理は作れてしまうというすぐれものである。

さまざまなカラーがある。材質もアルミやステンレスなどさまざま

外鍋は本体と一体化しており、内鍋は取り外しが可能

この電鍋の前身を作ったのは、日本を代表する家電メーカー、東芝である。1955年に東芝が発売した「自動式電気釜ER-4(=RC-6K)」が電鍋の元祖だ。1960年、大同公司がこれをモデルとした台湾仕様を台湾市場に投入した。その後大同公司は東芝の技術援助等により電鍋の金属加工技術を向上させ、電鍋は台湾を代表する家電に成長した。

発売されてから60年以上経つが、「内鍋と外鍋があり、外鍋の中にある加熱管で加熱調理をする」という基本的な構造は発売当初から変わっていない。唯一の大幅なモデルチェンジは「保温スイッチの追加」だという。

保温スイッチ。60年の歴史の中で大幅にリニューアルされたのはこれだけ

電鍋のシンプルさと万能さが、全台湾人の心をがっちり掴んで離さない。仮に台湾人の友人から「今度うちの子が大学に進学してひとり暮らしをすることになったから、ひとつだけ家電を持たせたのよ~」という話が出たら、その「家電」は十中八九、電鍋とみていいだろう。「海外に移住することになったから~」という文脈でも同様だ。海外渡航意欲が旺盛な台湾人の皆様のために、大同公司では、さまざまな電圧に対応している「海外仕様」も販売している。なお、台湾の電圧は110Vだが、東南アジアの電圧は220~240Vだ。

電鍋は華僑のみなさんにも人気のようで、東南アジアから来たと思われる方々が海外仕様の電鍋を購入する姿をよく見かける。

なぜ好かれる?人気の秘訣

では、電鍋はなぜここまで好かれているのか。それは台湾人のライフスタイルと密接な関係がある。

台湾には飲食店の料理をテイクアウトして持ち帰り、家で食べる文化がある。いわゆる「中食」だ。台湾では「外帯(ワイダイ)」という。日本で「中食」という言葉が登場したのは1980年代だが、「外帯」は「中食」が市民権を得るよりもずっと前から台湾で普及していた。筆者の友人たち(30代~40代の台湾人)が子供の頃には、既に「外帯」は一般的だったという。

「外帯」の進化版として「外送(ワイソン)」というサービスもある。いわゆるフードデリバリーサービスで、台湾では「Uber Eats」と「foodpanda」が二大巨頭だ。2010年代に台湾に入ってきたこのサービスは、2020年のコロナ禍を機に一気に台湾社会に浸透した。2020 年の上半期、フードデリバリーサービスは「前年比293.8%」という驚異的な成長を遂げている。

食べ物を「外帯」してまっすぐ家に帰ったり、フードデリバリーの配達員がかなり頑張って運んでくれたりしても、やはりできたてにはかなわない。交通状況によっては残念ながら途中で冷めてしまうこともあるだろう。「できたての料理に近い状態で食べたい」という欲望を叶えてくれるのが電鍋である。内鍋と外鍋に少々水を入れてスイッチをオンにして待てば、できたてとほぼ同じ状態が完成する。その再現度の高さたるや、「ほぼ」は不要かもしれない。電鍋の万能さに感動してしまう瞬間である。

食べ物を温めたければ電子レンジがあるではないか、と思う方もいるだろう。しかし台湾人の友人は「電子レンジは、電磁波が出るからできる限り使いたくない」と言う。全員が全員そうではないにしても、特に年配の方を中心に、このような感覚の人は一定数存在する。そして親から「電磁波が出るからレンジは使っちゃダメよ」と言われて育った30代~40代も、少なからず同様の感覚を受け継いでいる。筆者の友人も「電子レンジは持ってないけど、電鍋なら家にある」と言っていた。

また、台湾の住宅のキッチンが日本に比べて簡素なことも、電鍋人気の理由のひとつだろう。上記の通り「外帯」や外食文化が根付いている台湾では、居住人数に対してキッチンスペースが狭く、コンロの数も日本より少なめだ。1台で何でもできる電鍋は、狭いキッチンスペースでも大活躍なのである。

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