郵便物は過去20年ほどで45%減り、2028年度にはピークの2001年度の半分以下まで減る見通しとなっている。また、メールやSNSの普及により需要が落ち込み、足元では原燃料や人件費の上昇が追い打ちをかけている。
日本郵便の郵便事業のみの収支は2023年3月期に211億円の赤字で、2007年の郵政民営化後、初めての赤字となった。
総務省は2023年12月18日、定形郵便物の料金を値上げする案を情報通信行政・郵政行政審議会に諮問した(※1) 審議会は2024年6月13日に最終判断し、2024年10月の改定を決定(※2・3)
値上げ金額については以下の通り、変更後の料金は最大34.9%の値上げとなる。
・25グラム以下の定形郵便物の場合、84円→110円
・50グラム以下の定形郵便物の場合、94円→110円
・はがきの場合:63円→85円
定形郵便物の値上げは、消費増税を除いて1994年以来、30年ぶりだ。
こうした状況を受けラクスは、財務・会計・経理担当者350人を対象に、郵便料金値上げに関する調査を実施した。
定形郵便物は84円→110円に!10月からの郵便料金値上に対する企業の対応状況
請求書を「紙で印刷、封入し、郵送している」と回答した割合は69.4%となり請求書発行の最も多い業務フローとなっていた。そのため、請求書発行において、多くの企業が郵便料金値上げに伴うコスト増加に直面することになりそうだ。
請求書を「紙で印刷、封入し、郵送している」と回答した企業のうち、発行方法の変更を行い、対策を行った企業は17.7%に留まっている。一方で「変更する予定はない」と回答した人は50.6%となった。
請求書発行方法を変更、もしくは今後変更を検討している企業の57.5%が「電子請求書発行システムを導入、もしくは導入を検討している」と回答。今後、請求書の電子化が加速すると想定される。
郵便料金値上げをきっかけに、電子請求書発行システムの市場は拡大していくと予想される。
一方で、請求書を紙で「印刷・封入・郵送」している企業の約半数は、現状の対応方法から変更する予定はないと回答しており、郵便料金値上げに伴うコスト増加に対する危機感は醸成されていないようだ。
調査概要
調査名:郵便料金値上げに関する調査
調査対象:財務・会計・経理担当者
調査地域:47都道府県
調査期間:2024年9月17日~2024年9月18日
調査方法:インターネットリサーチ
有効回答数:350サンプル
※1 総務省「郵便法施行規則の一部を改正する省令案及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に対する意見募集」より参考
※2 総務省「郵便法施行規則の一部を改正する省令及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布等」より参考
※3 日本郵便株式会社「郵便料金の改定および新料額の普通切手の発行などについて」より参考
関連情報
https://www.rakurakumeisai.jp/
構成/Ara