「Canva Extend 2024」にて開発者向けのアップデートを発表
無料のオンラインビジュアルコミュニケーション、およびコラボレーションプラットフォームのCanvaは、2024年9月27日に開催した開発者向け年次イベント「Canva Extend 2024」にて、開発者向けの新しいアップデートを発表した。
サンフランシスコで開催された2回目となる「Canva Extend 2024」では、複数の新しいAPIや、プレミアムアプリプログラムによる収益化の機会、そして開発者がビジネスを拡大するためのツールが紹介された。
この1年間で、Canvaの開発者コミュニティは日本を含む122か国からのメンバーを擁するほどに拡大しており、現在300以上のアプリが提供されている。
これらのアプリは2023年6月のCanva Developerプログラムの開始以来、約10億回使用されているという。
開発者は、Canvaプラットフォーム上でアプリを構築することにより、1億9000万人の月間アクティブユーザーにアプリを提供することができる。ユーザーは最先端の技術にアクセスしてさまざまな目標達成に向けてのサポートを受けることが可能になる。
アプリ開発者に価値と成長の機会を提供
Canva上のアプリはすでに幅広い職業や組織のユーザーに活用されており、あらゆるユーザーがコンテンツ作成をスピードアップさせ、編集作業を改善して、新しいインスピレーションを得ている。
今回のアップデートでは、Canva上で構築可能な機能が拡大され、ユーザーがアプリをより簡単に見つけられるようになった。
<収益化>
プレミアムアプリプログラムにより、適格な開発者はアプリにプレミアム機能を組み込むことができ、エンゲージメントに応じてその機能に対する報酬を得ることができる。
<翻訳サービス>
Canvaは、開発者がグローバルなユーザー基盤とつながれるよう、アプリコンテンツの翻訳サービスを無料で提供する。
<容易なアプリ検索>
アプリはCanvaのテキストタブ、素材タブ、写真加工、Canvaドキュメント内などで表示され、ユーザーが自分の作業に最適なアプリを簡単にみつけられるようになっている。
<新しいアプリAPI>
CanvaはCanva Apps SDKを拡張して、以下の新機能を提供する。
・ Content Query API:アプリがテキストを読み取り、更新できるようにし、翻訳アプリ、文書AIアシスタント、ライティングアシスタントなどに対応
・ Design Editing API(ベータ版):デザインやレイアウトの自動化を容易にし、プロンプトに基づいてデザインに要素を追加・修正する機能
・ Tables API:アプリがデザインに表を追加でき、コンテンツ付きの表作成をサポート
・ Authentication API:アプリの認証を簡素化し、業界標準のOAuthプロトコルの実装を容易に
Content Query APIのインターフェースの例
拡大するAIエコシステム
Canvaが2024年7月にLeonardo.Aiを買収したことに伴い、Leonardo.AiのAPIへのアクセスを申請して、アプリ開発のために初期クレジットを受け取ることができるようになった。
アプリや統合はCanvaによるAI戦略の中核をなすものであり、現在、Canva Apps Marketplace上にあるアプリの半数以上がAI対応だ。
たとえば、DeepReelではCanvaを導入した初月にユーザー登録が10倍以上に増加し、Krikey 3D AI AnimationではCanvaでアプリを公開した翌日、サイトトラフィックが23倍に増加した。
■柔軟に拡張可能なワークフローを実現するコネクトAPIとSalesforce統合
2024年6月にローンチされたCanvaコネクトAPIは、多くの組織によってCanvaを自社ワークフローに組み込むために活用されており、現在300以上のコネクトAPI統合が開発中だ。
先週発表されたCanva for Salesforceは、コネクトAPIを利用した統合機能となり、カスタムデータセットを印象に残りやすいアセットに変えることができる。
営業部門は、1クリックでSalesforce からのビジネス機会に関する情報や顧客情報をCanvaのテンプレートに取り込むことができ、Salesforceから入力したデータを使ってチャートを生成することも可能だ。
カスタムプレゼンテーションや営業資料の作成を自動化することで、営業部門は戦略と商談の成立に向けて集中できる。
Salesforceは、Amazon Ads、Meta、Google Adsのアプリに加え、Canvaを基盤とするワークプラットフォームのひとつだ。コネクトAPIは、Workato、Zapier、Makeなどのクラウド統合プラットフォーム(iPaaS)とCanvaを結び付けている。
企業向けCanvaの成長を支援する開発者施策
今回の発表は、2024年5月にローンチしたCanvaエンタープライズに続くものであり、企業はCanvaエンタープライズにより、チーム内でCanvaがどのように使用されるか、細かく管理することができる。
新しいAPIと開発者リソースの追加により、チームは必要なデータにアクセスしやすくなるのと同時に、他のワークプレイスツールとともにCanvaを活用しやすくなる。現在、Fortune 500企業の95%がCanvaを利用しており、月間ユーザー数は1億9000万人、年間収益は23億ドルを超えている。
関連情報
https://www.canva.com/ja_jp/
構成/清水眞希