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管理職に聞いた現職を続ける理由TOP3、3位成長できるから、2位能力や適性が活かせるから、1位は?

2024.10.08

一般社員よりも労働時間が長くなりがちで、責任も重大な管理職。気苦労の絶えない役回りだが、管理職層はどんなことにやりがいを感じ、仕事を続けているのだろうか?

リクルートマネジメントソリューションズはこのほど、企業の人事担当者150名、管理職層150名に対し、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2024年」を実施し、「マネジメント業務で難しいと思っていること、時間を使っていること」や「管理職としてのやりがい」など、調査結果から見える実態について公表した。

同調査は、2020年からスタートし今年で4回目となる。

企業組織課題のトップは「次世代の経営を担う人材が育っていない」(図表1)

人事担当者に会社の組織課題について尋ねたところ、割合が多い順に、1位「1.次世代の経営を担う人材が育っていない」、2位「2.ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」、3位「3.新価値創造・イノベーションが起こせていない」「4.難しい仕事に挑戦する人が減っている」「5.職場の一体感が損なわれている」という結果だった。

同じ設問に対する管理職層の回答は、1位「1.次世代の経営を担う人材が育っていない」、2位「6.中堅社員が小粒化している」、3位「3.新価値創造・イノベーションが起こせていない」だった。

→人事担当者、管理職層ともに、本調査をスタートした2020年から毎年割合が上位の「1.次世代の経営を担う人材が育っていない」が1位に、また人事担当者では2022年の1位から2023年は5位に順位を落とした「3.新価値創造・イノベーションが起こせていない」が今回は3位となった。

また、前回2023年の調査で初めて1位となった「2.ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」は、今年も人事担当者で割合が高く2位となっている。管理職層では「6.中堅社員が小粒化している」が2位に、「4.難しい仕事に挑戦する人が減っている」「10.新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている」が4位となっており、前回から引き続きピープルマネジメントが課題として認識されている状況があるようだ。

人事担当者が管理職に期待していること、管理職層が重要だと考える管理職の役割のトップはともに「メンバーの育成」(図表2)

人事担当者に「管理職に最も期待していること」(3つまで選択)を尋ねたところ、割合1位の項目は、「1.メンバーの育成」だった。次いで、「2.メンバーのキャリア形成・選択の支援」「3.業務改善」が選ばれた。

一方、管理職層に「管理職として重要な役割」(3つまで選択)を尋ねたところ、人事担当者と同様に1位は「1.メンバーの育成」だったが、2位「3.業務改善」、3位「2.メンバーのキャリア形成・選択
の支援」と続いた。

→これまでの調査結果と同様に「メンバーの育成」の役割認識は、人事、管理職層ともに最も高くなっている。また、前回調査の特徴として人事からの期待が高まっていた「メンバーのキャリア形成・選択の支援」について、今回の調査では管理職層でも「目標達成」を上回る3位となり、メンバーのキャリア支援に対する管理職層の役割認識にも変化があったと言えそうだ。

管理職層が難しいと思っていること、時間をつかっていることのトップはともに「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」(図表3)

管理職層に、「日々のマネジメント業務で難しいと思っていること」および「日々のマネジメント業務で時間を使っていること」について質問したところ、いずれにおいても「1.メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」「2.メンバーの育成・能力開発をすること」の割合が高いという結果になった。

→難しいと思っていることでは、前回1位の「メンバーの育成・能力開発」が2位に順位を下げた一方、前回5位の「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」が1位となり、割合も56.0%と半数を超えていた。転職や副業、仕事以外の生活の充実を求めることがあたりまえの世の中となり、今いる職場にコミットさせることが難しくなっているというお話をよくうかがう。

そのようなことが上記の背景となっているのかもしれない。また、上記のようなビジネス環境の変化に伴う働き方の価値観の多様化に加え、自分よりも年上のメンバーをマネジメントする必要があるなど、メンバーのキャリア形成や仕事へのやる気に関するお悩みは今後増えていくかもしれない。

管理職の役割認識でも「メンバーの育成」や「メンバーのキャリア形成・選択の支援」が「担当部署の目標達成/業務完遂」を上回って選択されていたが、難しいと感じていることについても前回3位の「自部署の業績・目標を達成すること」は同率5位なっており、管理職自身が何を重要だと捉えるかにより、難しさを感じることも変化していることがうかがえる。

また、管理職層が難しいと思っていることで1位に挙がっていた「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」が、時間を使っていることでも最も多く選ばれた。管理職層としてメンバーのモチベーションを上げる取り組みとして、例えば1on1などがあるが、メンバー1人あたり30分から1時間の時間を定期的に確保した場合、メンバーの人数によっては時間的な負担がかなり大きくなることが想像される。このように、管理職層にとってメンバーのモチベーション向上は重要なポイントであり、だからこそ、そこに時間を使っていることがわかる。

実施を検討している管理職サポートのトップは「マネジメントに関する外部のコーチによる個別コーチング」(図表4)

人事担当者にすでに実施している管理職へのサポートを尋ねたところ、約4割の企業が「上司や人事による個別サポート」「管理職の役割を認識してもらう昇格時研修」「メンバーの評価を行うための評価者としての研修」を行っていた。

一方、実施率が29.3%にとどまった「マネジメントに関する外部のコーチによる個別コーチング」については、これから実施を検討しているサポートでは最も割合が高くなっていた。

管理職の負担軽減のために取り組んでいることのトップは「ITツールの導入」と「無駄な業務や非効率なプロセスの見直しや改善」で約4割の企業が実施(図表5)

管理職の負荷軽減のための取り組みとしては、約4割の企業で「ITツールの導入(38.0%)」や「無駄な業務や非効率なプロセスの見直しや改善(38.0%)」がすでに実施されており、「マネジメント業務の削減(26.0%)」がこれから実施を検討している取り組みで最も選ばれた。

→マネジャーの業務を他の人に分散させるのではなく、まずは業務の削減や効率化によって負荷を軽減させる傾向があるといえる。

マネジャーの業務を他の人に分散させるのではなく、まずは業務の削減や効率化によって負荷を軽減させる傾向があるといえる。

管理職としてのやりがいでは、上位から「1.自分のメンバーが成果をあげたとき(30.7%)」「2.自分のメンバーが成長したとき(29.3%)」「3.自分のメンバーが生き生きと仕事をしているとき(26.7%)」の割合が高く、やりがいの中心がメンバーとなっていることがわかる。

→近年1on1ミーティングを実施する企業が増えているが、働き方の価値観の多様化やキャリア意識の高まりにより組織の求心力が下がるなか、「人を育てる」意識が管理職層にとって当たり前になりつつあることがうかがえる。

管理職として上手くいっている理由のトップは「メンバーが成長してきているから」(図表7)

管理職として上手くいっている理由では、「1.メンバーが成長してきているから(31.3%)」「2.協力し合える職場づくりをできているから(26.0%)」の割合が特に高いという結果になった。

→前述の日々のマネジメント業務で時間を使っていることでは、2位が「メンバーの育成・能力開発をすること」、3位が「職場のチームワークを高めること」となっており(図表3)、時間を使って取り組んでいる「メンバー育成」と「協力し合える職場づくり」が、管理職として上手くいく理由にもなっていることがわかる。

メンバーとの1対1の育成に取り組むことは、管理職として当たり前のことと認識している人も多くなっている。その上で、職場のチームワークを高める働きかけにも目を向けることが、管理職としてより上手くいくポイントになるといえる。

管理職を続けている理由のトップは「給与・待遇面が優れているから」(図表8)

管理職を続けている理由では、「1.給与・待遇面が優れているから(34.0%)」が1位となり、業務の難度や負担の大きさに対して、給与・待遇面での対価がないと続けることが難しい立場であると考えられる。

2位以下は「2.自分の能力や適性が活かせるから(24.7%)」「3.自分が成長できるから(24.0%)」の順で割合が高かった。

→これまでの結果を踏まえると、管理職の仕事に対してある程度の手ごたえと適応感を持っていると言えそうだ。

調査担当のコメント

昨年度に引き続き、管理職の過重負荷についての課題意識は上位に上げられています。そして、本人としても負荷を感じている管理職が、難しいと感じ、かつ最も時間を使っていることは、「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」でした。

背景には、慢性的な人手不足の中で、今いるメンバーに最大限力を発揮してもらわなければ、組織としての目標を達成できない、という状況が想像できます。さらに、管理職の中で、メンバーのキャリア形成支援の役割認識がさらに高まっているのは、そうした状況において、メンバーが求めるキャリアと会社の意図とがすれ違った際に生じる離職リスクを最低限に抑えようとする意図の表われと感じ取れます。

このような背景から、メンバーと接することに重きを置き時間も費やしている管理職が、やりがいとしてメンバーの成長や成果をあげることは、ごく自然な流れなのかもしれません。

一方で、重要だと考えていることでは、担当部署の目標達成が5位に位置し、管理職としてのやりがいでも「担当組織が目標より高い成果をあげたとき」は4位とメンバー関連の項目に劣後しています。状況的に必要だからこそピープルマネジメントに時間を費やす、結果的にそれがやりがいに感じられてくる……という循環は一見するとポジティブな要素ですが、管理職としてうまくいっていることも「メンバーが成長してきている」と自己のマネジメントの評価指標もピープルマネジメントに偏りがちです。

ミドルマネジャーの役割は、仕事面でも人の面でも成果をあげることですから、管理職自身も、そしてそれをサポートする人事も過度にピープルマネジメントに偏った着眼をしていないかということは、このタイミングで振り返っても良いかもしれません。

(解説/株式会社リクルートマネジメントソリューションズ HRD サービス開発部トレーニング開発グループ 主任研究員 木越 智彰氏)

出典元:リクルートマネジメントソリューションズ

構成/こじへい

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