大企業は採用活動にどんな課題を抱えているのだろうか。また、2024年度に入って賃上げを実施した企業はどれくらい存在するのだろうか?
パーソルホールディングスはこのほど、大企業の採用動向に関する調査を行い、その結果を発表した。
本調査は、大企業の経営層や管理職、および人材採用・人材育成に携わる人に対して採用トレンドに関するアンケート調査を行い、そのデータから実態や傾向をレポートにまとめたものだ。
採用見込み数の増減
採用見込み数の増減(前年度対比)を聞いたところ、新卒採用・キャリア採用・エンジニア採用で「増やす(大幅に増やす・やや増やす)」と答えた企業が50%を上回った。次いで多かったのは「変わらない」で、各項目共に40%前後の数値となっている。障害者採用は「増やす」が42.2%、「変わらない」が53.5%とやや数値は異なったが、縮小傾向は見られなかった。「減らす(やや減らす・大幅に減らす)」の回答は、全体の2.0~4.3%にとどまっている。
採用目標に対する充足状況
採用目標に対する充足状況では、新卒採用において「充足できている」(55.8%)が「充足できていない」(44.2%)を上回った。障害者採用でも新卒採用と同じ傾向が見られた一方で、キャリア採用とエンジニア採用では「充足できている」が「充足できていない」を下回るという逆の結果になっている。
採用における課題
新卒採用・キャリア採用・エンジニア採用で多くの企業が課題に挙げたのが「応募数が集まらない」だった。キャリア採用(22.5%)、エンジニア採用(21.9%)で特に顕著な傾向といえる。このほか、新卒採用では「入社後の早期離職者が多い」(20.3%)、キャリア採用では「応募者と求める人材とのミスマッチ」(20.2%)が回答率で20%を超えた。
ターゲット層を採用するための取り組み
ターゲット層を採用するための施策で、最も実施率が高かったのは「給与水準の引き上げ」。特にエンジニア採用では、3分の1以上の企業(34.4%)がこれに取り組んでいると答えている。次いで多かったのは「労働環境・働き方の改善」で、ほかに「採用ホームページの充実」や「研修やキャリア支援の充実」などが上位を占めた。
賃上げの実施状況
2024年度(2024年4月~25年3月)に賃上げを実施した企業は全体の約60%。項目別に見ると「初任給の引き上げ」が59.5%、「基本給のベースアップ」が57.3%、「定期昇給」が58.2%という結果になった。前年度の事例を含めると、約80%が賃上げを実施していることがわかった。過去に賃上げを実施しておらず、今後の予定もないという企業は全体の10%以下にとどまっている。
<調査概要>
調査エリア:全国47都道府県
調査対象者:
・25~69歳男女
・経営者・役員、および会社員(管理職/一般社員)のうち1年以内に人事関連業務(人材採用や人材育成)に携わっている人
・勤務先または経営する企業の従業員規模が500人以上の人
サンプル数・割付:n=600
調査期間:2024年5月10日~13日
調査手法:調査会社によるインターネット定量調査
出典:パーソルホールディングス
構成/こじへい