労働時間減少による輸送能力の低下などの懸念から、社会的な関心を集めた「2024年問題」。今年4月に行われた自動車運転業務などの時間外労働の上限規制適用から、およそ半年を迎える。
この「2024年問題」によって、どのような変化が起き、影響が生じているのだろうか?
スキマバイトサービス「タイミー」を提供するタイミーはこのほど、同スキマバイトサービスに登録している事業者442社を対象に、「物流2024年問題」についてのアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
「2024年問題」対応完了の目処立たず 物流関連業界以外も含む事業者の約4割
「タイミー」に登録している事業者442社に対して、「『2024年問題』への対応の度合い」について聞いたところ、約7割の事業者に対応が発生していると回答した。
また、対応が発生している事業者に対して「対応状況」について聞いたところ、35.6%の事業者が24年3月時点で対応完了済み、4月から8月の間に対応完了した事業者は15.8%と8月時点までで対応完了している事業者が半数を超えた。
「完了予定」を含めて24年12月までに完了予定の事業者が7.0%、25年1月以降の予定と回答した事業者が3.0%となった。その一方、約4割の事業者が「対応の目処が立っていない」と回答した。
24年4月「時間外労働上限規制」適用の変化 コスト増目立つ
続いて「時間外労働上限規制」適用後の変化について、「増えたもの」は「燃料・資材価格」が75%を超え、「人件費」についても50%を超えるなど、コスト増が実態として浮き彫りになった。他に増えたものは、「作業人員」「給与」「業務量」が挙げられた。
一方、「減ったもの」として「残業時間」「荷量」「輸送距離」などが挙げられた。各社が「2024年問題」の対応として、ドライバー等の「時間外労働」を発生させないよう、荷役分離を図り、「作業人員」だけでなく「給与」のベースアップなどの対応を進めていることがうかがえる。
24年4月「時間外労働上限規制」適用以降の働きやすさ 4分の1以上の事業者が「働きにくくなった」と回答
「時間外労働上限規制」適用後の働きやすさについては、「変わらない」との回答が最多となるも、4分1以上の事業者が「働きにくくなった」と回答した。一方、少数派となったが、「働きやすくなった」との回答も見られた。
「時間外労働上限規制」適用後の働きやすさに関する具体的な事業者の回答は以下の通り。
・基本給の上昇により残業有りきの給料ではなくなり、従業員の意識が無駄な残業をせず、限られた時間の中で作業効率を上げる意識が定着しつつある。(倉庫業、「やや働きやすくなった」と回答)
・労働時間の意識改革が進み、ドライバー、事務職の間で意見交換がしやすくなった。(運輸業・郵便業、「やや働きやすくなった」と回答)
・働きやすくなった点もあるが、激しく変化する業務内容や流通商品の変化と変更に対応することがとても困難である。(卸売業・小売業、「やや働きにくくなった」と回答)
・以前より配送が遅くなったため、荷受担当のパートさんがいない時間に配送トラックが来るケースが増えた。(卸売業・小売業、「やや働きにくくなった」と回答)
配送が遅くなった、業務内容や商品の変化・変更などへの対応に苦慮する声も見られるが、労働時間に対する意識改革が進み、限られた業務時間の中で作業効率を上げる意識が定着するなどの良い影響も見られた。
「2024年問題」対応の成果 「荷降ろし時間削減に成功」「人手不足解消と職場環境改善」
物流2024年問題の対策として、「タイミー」やスポットワーカーの活用で取り組んだことやその成果について尋ねたところ、以下の回答が得られた。
・「タイミー」の利用により、社内業務の整理・見える化を促進できた。(運輸業・郵便業)
・「タイミー」で来ていただく方が作業しやすいように業務内容を調整して運用した結果、リピートで働いてくれる方が増えて作業効率が良くなった。(運輸業・郵便業)
・荷降ろしスタッフの募集に「タイミー」を活用し、荷降ろし時間の削減とドライバー・倉庫作業員の負荷軽減に大きな成果を上げることができた。(運輸業・郵便業)
・今まで募集しても集まらなかった職種の人員が確保できた。(運輸業・郵便業)
・「タイミ-」からの人材で正社員の負担が減り、人手不足が解消され、一緒に働く人への気遣いが良くなった。(倉庫業)
「2024年問題」の対策として「タイミー」やスポットワークに期待すること 「ワーカーの引き抜き・お試し勤務を通じた採用支援」が最多
最後に物流2024年問題の対策として「タイミー」やスポットワークに期待することを尋ねたところ、「ワーカーの引き抜き・お試し勤務を通じた採用支援」が最多となった。
先述の項目でも「今まで募集しても集まらなかった職種の人員が確保できた」といった形で、スポットワークが採用手段の一つとして活用が進んでいるようだ。
<調査概要>
調査名 :「物流2024年問題に関するアンケート」
調査期間 :2024年9月13日(金)~9月17日(火)
調査対象 :タイミーに登録している事業者442社
エリア :47都道府県
調査方法 :インターネットリサーチ
出典:株式会社タイミー
構成/こじへい