小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

竹田ダニエルとキニマンス塚本ニキが本音でトーク「Z世代とミレニアル世代のウェルワーキング」スペシャル対談動画、配信中!

2024.10.15

一貫してモノ・ヒト・コトに関するトレンドを深堀して、ヒット商品やトレンドの背景に何があるか取材してきたビジネストレンドマガジン『DIME』とWebメディア『@DIME』は、本誌連載陣や第一線で活躍する著名人・ビジネスパーソンがテーマに合わせてディスカッションするカンファレンス「DIME Business Trend Summit」を開催した。第2回となる今回のテーマは「Well-Working」。

急速に変容する世界で生き残るために、企業も個人もイノベーションが欠かせない時代に何が必要なのかを考えていく。ここではDIME本誌で連載中の竹田ダニエルさんとキニマンス塚本ニキさんによるZ世代とミレニアル世代の働き方についてディスカッションした内容を紹介していく。

Z世代やミレニアル世代は日本的世代論とは別物で考えるべき

独自の視点から世界のさまざまなトレンドや新しい世界観について発信している竹田ダニエルさんとキニマンス塚本ニキさん。ここではDIME読者に向けて、Z世代とミレニアル世代が求める職場環境や働き方の再定義について考えていく。

竹田ダニエルさん(以下・ダニエルさん)は、1997年生まれでいわばミレニアル世代とZ世代が切り替わる過渡期の世代。アメリカのZ世代を中心とした仕事、カルチャー、ライフスタイル、政治経済などをテーマに執筆活動をしている。

一方のキニマンス塚本ニキさん(以下・ニキさん)は1985年生まれでミレニアル世代。9歳から23歳までニュージーランドで過ごした背景を持ち、現在は執筆活動のほか、ラジオコメンテーターや翻訳家としても活動を行なっている。

日本の世代論では、「氷河期世代」や「ゆとり世代」など、社会的な出来事を基に区分されることがほとんどで、年代の枠組みが不規則であることが多い。一方、アメリカやグローバル基準では、10~15年のスパンで世代が区分された上で、その世代に影響を与えた社会的出来事と関連づけて語られることが一般的だ。そのため、「Z世代」や「ミレニアル世代」は、単に生まれた年代に基づく枠組みで、ポジティブな意味もネガティブな意味もない。それぞれの世代は、特有の社会的経験を通じて独自の価値観を形成しており、世代の違いを理解するためには、その社会的背景を知ることが重要だという。

まずZ世代は1995年以降の10~15年ぐらいの間に生まれた世代を指す。彼らが経験したアメリカでの社会的な出来事は、小学生の頃に多発した銃撃事件やコロナのパンデミックによるロックダウン、初の黒人大統領の就任などが挙げられる。

「社会事象をどういうライフステージで経験したかで世代ごとの共通した価値観が説明できると思います。ミレニアル世代がティーンの頃に使い始めたSNSは、Z世代では子どもの頃から当たり前にありました。その下の世代であるα世代になると生まれた時から『iPad』を与えられていて全然違う環境になっています。Z世代は初めてのデジタルネイティブと言われていて、それによる社会運動や働き方の変化が現れてきていると思います」(ダニエルさん)

一方のミレニアル世代は1980年代から1995年ぐらいに生まれた世代を指す。ニキさんは、ミレニアル世代は「宙ぶらりん」の世代だという。

「親世代であるベビーブーマー世代から『良い大学を出て良い会社に就職すれば大丈夫だから、それまでは頑張りなさい』と教えられてきました。その助言が必ずしも今の時代に通用しないとわかっているけど 、自分を鼓舞して努力すれば夢がかなうはず、とどこかで諦めきれないところもある。 これまでの常識や社会的規範を窮屈に感じる一方で、上の世代のように安定した人生を送れていないことに引け目を感じている のが30代、40代のミレニアル世代なのかなと思います」(ニキさん)

「ミレニアル世代はメインストリームのものが割と好きですよね。ミレニアル世代までは、メディア環境を考えてもファッションなどで『みんなが知ってるトレンド』みたいなものがはっきりとあったと思います。Z世代は、いろいろなブランドを網羅したショッピングモールはないし、紙媒体の雑誌もほとんど残っていない。SNSで好きなインフルエンサーをフォローしているけど、それもどんどんニッチなコンテンツをフォローする方向になっている。ミレニアル世代の生活の大変さなどは社会背景が議論されずに個人の自己責任に集約されがちでしたが、Z世代はその動きを見てミレニアル世代の大変さを知っています。だから、個人の自己責任の範疇ではなく、資本主義や格差社会を生み出している上の世代が作り出した構造を疑っているのだと思います」(ダニエルさん)

その象徴的な例がリサイクルを含む環境問題だろう。Z世代はミレニアル世代以前のリサイクルの取り組みについて、むしろ無駄なエネルギーを使っている〝社会的欺瞞〟だと感じて、根本的なシステムの改善か新しいシステムを作らないといけないという抜本的な見直しを求める傾向が出ているという。

「これまで真面目に働けば上の世代よりも豊かになれるという前提があったけど、今は必死に働いても家賃と学生ローンを支払ったら貯金すらできないし、終身雇用や賃上げの保証もない。仕事や家庭はもちろん 、 気候変動や政治、経済の行方など本当にいろいろなことに対する不安がベースにあると思います」(ニキさん)

「静かなる退職」がZ世代の防御策

富の集中や経済的格差の拡大などによって、ミレニアル世代やZ世代は上の世代が送ってきたライフプランは無理だと感じている。さらにZ世代は働く環境や搾取の構造に敏感だ。

「ギグワーキングやフリーランスの働き方がミレニアル世代ぐらいから多く出てきましたが、Z世代が働く頃には搾取の構造やギグエコノミーの問題点が浮き彫りになりました。かつてシリコンバレーで『オフィスが自宅みたいに居心地の良い場所』というのが流行しましたが、今は搾取のための入り口と見られがち。職場環境が楽しいからって多くの時間を労働に捧げるのは理不尽だし、それなら自分の時間を増やしたいという人が出てきています。それを理由に『イマドキの子は出世したくない』とか『全然やる気ない』とか言われますが、Z世代の中にもやる気がある子はいるし、ベビーブーマー世代みたいな思想の人もいる。その人自身がどういう社会背景から影響を受けてきたかに目を向けてほしいですね」(ダニエルさん)

世代で区切って、職場でステレオタイプに接することは問題解決にならない。ニキさんは、上の世代がZ世代を〝怪物〟のように扱うのは、今までのスタンダードが覆される変化に対する恐怖の現れだと分析している。そんなZ世代の働き方のキーワードで、今注目を集めるのが「Quiet quitting(静かな退職)」。退職はしないけれど必要最低限のラインでしか労働をせず、その代わりに出世も昇進もしなくていいというポリシーで働くことを指す。確かに上の世代にとっては理解しにくい働き方かもしれない。

「頑張って働いても報われないというのが最近のアメリカの現実としてある。だから、『仕事はお金をもらって労働をすること、それ以上でも以下でもない』というマインドセットで淡白に仕事と接することで、自分を過度に消費されないように、社会から防御している人も増えている。仕事を怠けているわけじゃなくて、求められること以上のことをやらないという意思の抵抗でもあって、自分の中で制限を持つことで仕事に対するハードルも精神的に下げているのだと思います」(ダニエルさん)

働き方に関連することでいえば、メンタルヘルスについての情報発信も大きく変化している。ニキさんによればニュージーランドは若い男性の自殺率が高く、2020年の子どもの幸福度ランキングも世界の下位だったが、 男性が弱音を吐けないマッチョイズムの文化の見直しや、メンタルヘルス啓発の推奨など変化が見られているという。また、アメリカが日本以上に「本音と建て前」の社会だという指摘もあった。

「アメリカでは、職場でいろいろな質問をされても本当のことを答えるのは得策ではないとよく言われています。メンタルヘルスの議論がオープンになって、コロナもあって、身体的な健康と精神的な健康に対する意識が上がった。でも職場で『調子悪い』とか『落ち込んでいた』とか言うと、オーバーシェアリングに見られて人事などに報告されることもある」(ダニエルさん)

「仕事で信頼関係を築いた相手には本音を見せるようになる人もいる一方で、会社は家族でもコミュニティでもなくて、あくまで生活費を稼ぐための場として割り切る人もいる。コミュニティを職場以外で作るために 仕事は必要最低限にとどめてて、週末は『The right to be disconnected(つながらない権利)』で自分の精神的な健康を守る同世代は少なくないです」(ニキさん)

勤務形態についてはどうだろうか。リモートワークにより、新しい働き方に進むと思われたが、日本の大手企業や国内外のテック企業は出社を前提とした勤務に戻りつつある。

「会社は社員のウェルネスを優先するための組織ではないので、生産性を上げるためにオフィスに戻ってこいというのが結論になるんだと思います。ミレニアル世代に流行したミームに、『職場にピンポンテーブル』というのがあります。〝オフィスに卓球台があると、遊べて最高〟と表向きは謳っているのですが、それは結局、福利厚生などを担保せずに労働搾取をしていた『罠』だった。本来は生きていく上で必要な労働条件がそろった状態で楽しい働き方を担保してくれないといけないのに、そこをカットしているという問題があります。取材などで理想の職場や上司を聞かれることは多いですが、それに答えるためにはまず、『インフラ設備』と同じように労働条件を考えた上で、各個人の中にある多様性を踏まえないといけないと思います」(ダニエルさん)

これまで典型的な日本の義務教育は、「みんな同じ価値観を持って同じことができる」というあり方が理想とされてきた。だが教育現場に多様性教育やディスカッションが導入されて、若い世代の価値観は変化している。また、Z世代やミレニアル世代が社会で活躍していく中で、働き方の前提も崩れてきている。職場でリーダーとされていく人には、従来型の世代論を超えた新しい人材育成と多様性のある職場環境が求められていくはずだ。

プロフィール

竹田ダニエル
1997年生まれ、カリフォルニア出身、現在カリフォルニア大学バークレー校大学院在学中。「音楽と社会」を結びつける活動を行ない、日本と海外のアーティストをつなげるエージェントとしても活躍する。2022年11月には、文芸誌『群像』での連載をまとめた初の著書『世界と私のA to Z』(講談社)を上梓。そのほか、多くのメディアで執筆している。DIMEでは『Z世代の<はたらく>再定義』を連載中。

キニマンス塚本ニキ
ラジオパーソナリティ、翻訳家。1985年、東京都生まれ。9歳まで日本で育ち、その後15年間をニュージーランドで生活。現在は英語通訳・翻訳や執筆のほか、ラジオパーソナリティ、コメンテーターとして活躍している。DIMEでは、『NIKKIのKINIなる世界』を連載中。

取材・文/久村竜二 撮影/横田紋子

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年11月15日(金) 発売

DIME最新号は「2024年ヒットの新法則!」、永尾柚乃、小田凱人、こっちのけんと他豪華インタビュー満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。