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半導体関連エンジニアの求人が急増「後工程」領域の注目度が高まる

2024.09.28

半導体関連エンジニアの求人が大幅に増加している。その要因はいったい何か。また、どのような領域・業界で半導体関連エンジニアは求められ、転職時の提示年収はいくらが一般的なのか。

リクルートはこのほど、「半導体関連エンジニア」に関する求人と転職の動向についてまとめたレポートを公開した。

「半導体関連エンジニア」の求人動向:生成AI向けの半導体需要が拡大。「後工程」領域に注目度高まる

『リクルートエージェント』における2024年1-6月期の「半導体関連エンジニア」求人は、2013年同期の14.9倍と大幅に増加している。2016年以降、各業界でのIoT化の進展により、求人の増加ペースが加速した。

2018年の米中貿易摩擦や2020年初頭の新型コロナウイルス感染症の流行で一時的に求人は停滞したが、2020年後半以降、在宅勤務の増加や地政学リスクへの関心の高まりとともに求人は再び大幅に増加した。特に、PCやスマートフォン、サーバーなどの通信機器の需要増加や、半導体関連工場の国内回帰が大きな要因となっている。2021年以降はEV化やカーボンニュートラル化への取り組みが本格化し、「半導体関連エンジニア」の需要が一層高まった。

さらに2023年以降、生成AI向けの半導体需要が急速に拡大しており、求人も増加している。昨今、半導体業界の中でも特に注目を集めているのが、半導体の組み立てや外部環境から半導体を保護するパッケージングを行う「後工程」領域だ。

半導体の微細化技術が限界に達しつつある中、後工程が性能向上の重要なカギとして注目されており、3Dパッケージングやチップスタッキング技術に大きな関心が寄せられている。

生成AI、IoT、5G、自動運転など多様な市場への対応に向けても後工程でのカスタマイズや特殊なパッケージングの需要が高まっている。このため、後工程で使用される製造装置や材料の需要が急増し、関連領域の求人も増加している。製造装置や材料を扱う企業では、未経験者の採用も増加しており、求職者にとって新たなキャリアの機会も広がっている。

・3Dパッケージング:複数のシリコンチップを立体的に配置するパッケージング手法
・チップスタッキング技術:複数のシリコンチップを垂直に積み重ねる技術

「半導体関連エンジニア」の領域別求人動向:「デバイス開発」のニーズが伸長

「半導体関連エンジニア」求人のうち「デバイス開発」「製造装置・部品開発」「材料開発」「品質管理・品質保証」の4つの領域を見ると、「デバイス開発」「品質管理・品質保証」「材料開発」が2017年度に比べ、いずれも3倍以上に増加している。特に「デバイス開発」は2022年度から2023年度にかけて大きく増加しており、ニーズが高まっている様子がうかがえる。

「デバイス開発」に関する求人においては、「回路」「メモリー」「センサー」「パワー」といったキーワードが目立っている。これは、主にAI向けを想定したデータの高速処理および大容量化のニーズや、性能向上を目指した高度な回路設計のニーズを反映していると考えられる。

「製造装置・部品開発」「材料開発」に関する求人においては、未経験者の転職事例も増えている。

【未経験者の「半導体業界」への転職事例】

●自動車メーカーで生産技術職として部品の加工や搬送機の設計などを行っていた方
→転職後:半導体製造装置メーカーの開発エンジニア

●化学メーカーで材料開発を行っていた方
→転職後:半導体製造装置メーカーのプロセスエンジニア(化学系の工程担当)

●総合電機メーカーで機械設計を行っていた方
→転職後:半導体製造装置メーカーの開発エンジニア

●鉄道会社で運転士として働いていた方
→転職後:半導体製造装置メーカーのサービスエンジニア

「半導体業界」でのエンジニア経験がなくとも、理系のバックグラウンドを持ち、何かしらのエンジニア経験がある人を中心に、積極的に未経験の人を採用対象とする半導体企業が増えている。このように「半導体業界」では、経験者に限らず、多様なバックグラウンドを持つ求職者にとっても、新たなキャリアの機会が広がっている。

「半導体関連エンジニア」の業界別求人動向:「電気・電子・機械・化学・自動車業界」の求人が10年で16.0倍に

「半導体関連エンジニア」求人のうち「半導体業界」と、半導体業界を除く「電気・電子・機械・化学・自動車業界」の二つの領域を見ると、「半導体業界」は2013年度と比較して10.7倍、「電気・電子・機械・化学・自動車業界」は16.0倍となっており、特に「電気・電子・機械・化学・自動車業界」における求人の伸びが著しいことがわかる。

例えば「自動車業界」では、あらゆる部品の製造に不可欠な半導体について、外部調達から内製化に移行する動きが進んでいる。また、半導体材料を提案・供給する「化学業界」では、顧客である半導体企業の多様なニーズに対応するため、「半導体関連エンジニア」を採用して知見を取り入れる動きなどが広がっている。

こうした背景から、「半導体業界」以外でも「半導体関連エンジニア」求人は増加しており、「半導体業界」で経験を積んだ「半導体関連エンジニア」が「自動車業界」や「化学業界」などの異なる業界に転職して活躍の場を広げるケースも増えている。

【「半導体業界」から異業界への転職事例】

●半導体メーカーでエンジニアとして回路設計などを行っていた方
→転職後:自動車部品メーカーの開発エンジニア
●半導体メーカーでエンジニアとして開発などを行っていた方
→転職後:化学メーカーでの新規事業開発担当
●半導体製造装置メーカーでプロセスエンジニアとして設計などを行っていた方
→転職後:化学メーカーのアプリケーションエンジニア

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