新商品では異例のテレビCM放映
小売店の反応は良く、商談を重ねていくうちに社内では期待値が高まっていった。蟹沢氏が発売前の2023年4月に社内でプレゼンした際に示した販売計画数が上方修正されていったほど。「上方修正された販売計画よりも1.5倍は売れているので、最初の計画と比べると2倍は売れている印象があります」と蟹沢氏は話す。
発売後、女優の今田美桜さんを起用したテレビCMを放映。商品の認知を一気に拡大するのに一役買った。
ただ、同社にとってのこのテレビCMの放映は極めて異例なことだった。発売されたばかりの商品のテレビCM放映は同社にとって前例がなかったからだ。『本格炒め炒飯』や『特から』でテレビCMを放映している同社であるが、これまではある程度の地盤が築けたものの売上をさらに伸ばすために放映してきた。
異例ともいえる新商品のテレビCM放映に踏み切ったのはなぜか? その理由を蟹沢氏は次のように話す。
「競合品より品質で勝ると判断したことから発売が決まりましたが、一気に追いつくべく垂直立ち上げ(発売と同時に生産と販売を最大限まで高めること)を実現するには、普段はしないテレビCMを放映することが必要という結論に達しました」
2023年10月のテレビCM放映に合わせ、全国のスーパーでの売場づくりも実施。CMで見かけるも店頭に並んでいないという事態を避けるために、テレビCMの放映スケジュールに合わせて売場づくりを強化した。
「テレビCMを放映するだけだと期待通りの効果は得られませんので、放映期間中は全営業スタッフが担当の小売店で特設売場をつくりました。テレビCMの放映と売場づくりを連動させたので2023年10月だけで120万食近く販売したほどです」
こう振り返る蟹沢氏。テレビCMの放映と売場づくりが連動したことでスタートダッシュに成功した。