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【ヒット商品開発秘話】半年で500万食突破!レンチンで麺に焼き色がつくニチレイ「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」

2024.10.03

■連載/ヒット商品開発秘話

 ニチレイフーズが2023年9月に発売した『香ばし麺の五目あんかけ焼そば』の売れ行きが好調だ。2023年10月から2024年3月までの半年間で500万食以上を販売している。

『香ばし麺の五目あんかけ焼そば』は、工場でしっかり焼き、急速凍結した麺を電子レンジで温めるとさらにこんがり色づき香ばしい麺になる「新・香ばし麺製法」を採用。袋から取り出しトレイごと温めることで麺と具材が同時に調理できる。温め終わったら麺に具材をかけるだけで食べられるので、皿も不要にした。

2023年9月に発売されたニチレイフーズの『香ばし麺の五目あんかけ焼そば』。計画を大幅に上回る売れ行きは、同時期に企画され2022年3月に発売された『冷やし中華』の初年度の売り上げ200万食以上をしのぐ

アイテムを増やせば市場は拡大できる

 袋から取り出したトレイをそのまま電子レンジで温めれば完成し食器を不要にした一食完結型の個食麺を、同社は2022年3月から発売している。『香ばし麺の五目あんかけ焼そば』の開発が企画されたのは2019年。個食麺の第1弾『冷やし中華』と同じタミングで企画立案された。

 企画立案された背景には、2010年代後半から一食完結型の冷凍食品が売上を伸ばしてきたことがあった。とくに売上が伸びていたのが、麺類と主食とおかずをワンプレートに収めたもの。当時は対応する生産ラインがなかったことから同社は一食完結型の商品はつくっていなかったが、まずは麺類を手がかりに成長している市場に参入することにした。

 あんかけ焼そばに着目したのは、中華麺を使った商品は市場拡大の可能性が多く残されていたからであった。『香ばし麺の五目あんかけ焼そば』の開発を担当したライン&マーケティング戦略部商品第一部新価値グループの蟹沢壮平氏は次のように話す。

「麺類の中でも多くのフレーバーを発売しバリエーションの豊富さで勝負するパスタと違い、中華麺を使ったものは1メニュー1アイテムと棲み分けがなされている傾向がありましたが、他温度帯を含めると市場規模は大きく、冷凍についてもアイテムを増やすことで市場を拡大できる可能性があると考えました。冷凍すると麺の状態をそのまま保ち食感を残しやすいので、具材豊富なあんかけ焼そばは冷凍の長所が生かせました」

ニチレイフーズ
ライン&マーケティング戦略部商品第一部
新価値グループ 
蟹沢壮平氏

 すでに競合他社から冷凍のあんかけ焼そばが発売され人気を博していた。「『社の内外から『同じメニューはいらないよ。もう売れているのが1つあるからそれで十分』と言われる可能性がありました」と蟹沢氏は話すが、おいしさを追求した上でニチレイなりのエッセンスをプラスすることができれば差別化は可能で市場も拡大できると分析していた。

 ただ、社内では『冷やし中華』と『香ばし麺の五目あんかけ焼そば』のどちらを先に発売するかで議論になった。議論の結果、中華麺は同社とって初めてであることから独自性の高い『冷やし中華』を先に発売し、市場でニチレイの中華麺がしっかり認知されたタイミングで『香ばし麺の五目あんかけ焼そば』を発売することにした。

 ところで、蟹沢氏の言う「ニチレイなりのエッセンス」とは何か? 尋ねてみるとそれは、「手づくり品質の再現力」という答が返ってきた。「手料理の工程を大量生産で忠実に再現しようとするところがニチレイらしさだと思っています。専門店の焼き加減や具材の大きさ、そして味わいを徹底的に調べ、これらを大量生産であってもしっかり再現すること、再現できる生産ラインをつくることにこだわりがあります」と話す。

レンチンするとこんがり色づく麺

 参考にした味わいは町中華のそれだった。ゴロッとした具材に醤油とオイスターソースをベースにした味付けを基本とすることにした。あんかけ焼そばが評判の都内の中華料理店を食べ歩き、各店舗のいいところを採り入れつつ先行している競合品とは異なる味わいを目指した。

 強く打ち出すことにしたのは、こんがり香ばしい麺と食感のある大きくカットした具材の2つだ。

 こんがり香ばしい麺を実現するために採用したのが「新・香ばし麺製法」である。電子レンジで温めるとこんがり色づき香ばしくなる秘密は、麺に焼き目をつける際にかける調味液にある。調味液の中に電子レンジに反応する糖類が含まれており、温めるとほんのり色づき香ばしさが生まれるようになっている。同社の商品であるグラタンやドリアで採用されている技術を応用した。

電子レンジで温める前の麺(左)と温め終わった麺の比較。温め終わった後の麺は全体的にこんがり色づいている

 実際のところ、工場で焼き目をつけて急速凍結するだけでも問題はなかった。しかし、焼きすぎると電子レンジで温めた時に麺が固くなりほぐれにくくなってしまったりする。両面焼くとほぐれなくなってしまうことから工場では片面だけをほぐれる程度に焼き、もう片方の面は食べる直前に電子レンジで温めた際にこんがり色づき香ばしさが感じられるようにした。電子レンジでの温めはおいしく食べるための仕上げと位置づけた。

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