2024年10月から最低賃金が改定
労働者の地域別最低賃金は、毎年10月に改定されています。近年の賃上げの流れに沿って、2024年10月には、全都道府県の加重平均で51円の大幅アップとなりました。
本記事では、2024年10月から適用される地域別最低賃金の主な改定内容や、給料が最低賃金を下回っている場合の対処法などを紹介します。
1. 地域別最低賃金とは
「最低賃金」とは、使用者が労働者に対して支払うべき賃金の最低ラインです。使用者の労働者に対する搾取を防ぎ、労働者の生活を保障するために最低賃金が設けられています。
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。特定最低賃金の対象となる労働者については、地域別最低賃金と特定最低賃金のうち高い方が適用されます。
(1)地域別最低賃金
都道府県内で働くすべての労働者に適用される最低賃金
(2)特定最低賃金
都道府県内で働く労働者のうち、特定の産業に従事する者に対して適用される最低賃金
地域別最低賃金は、各地域における賃金水準などを踏まえて、毎年10月をめどに改定されています。近年では賃上げの流れが加速していることに伴い、最低賃金も毎年大幅に増額されている状況です。
2. 2024年10月改定|地域別最低賃金の金額・上昇幅ランキング
2024年10月から適用される地域別最低賃金の改定では、全都道府県の加重平均で51円の大幅アップが予定されています。
改定後の各都道府県における地域別最低賃金の金額と、改定による上昇幅のランキングを紹介します。
※本記事執筆時点(2024年9月19日時点)において、岩手県と徳島県は未決定ですが、現時点での答申の内容を基に紹介します。
2-1. 地域別最低賃金の都道府県別ランキング
地域別最低賃金額の上位5都府県(東京都・神奈川県・大阪府・埼玉県・愛知県)は、改定前後で変わりませんでした。いずれも改定により50円アップとなっています。
地域別最低賃金額が下位の都道府県では、上位の都道府県に比べて大幅な上昇傾向が見られました。その結果、改定後最下位の秋田県でも951円となっています。
なお、秋田県の951円は、8年前(2016年10月)の改定による東京都の地域別最低賃金額(932円)を上回る水準です。
2-2. 地域別最低賃金の上昇幅ランキング
2024年10月改定による地域別最低賃金の上昇幅では、2024年9月19日時点において未決定ながら、徳島県が2位以下を大幅に引き離して1位(84円アップ)となりました。
なお、引き上げ幅が最も小さい20都道府県でも50円アップとなっています。
3. 給料が最低賃金を下回っている場合の対処法
勤務先から支払われる給料が最低賃金を下回っている場合は、改定後の地域別最低賃金を勤務先の人事担当者などに示して、給料を引き上げるように求めましょう。
勤務先が給料の引き上げに応じない場合は、労働基準監督署へ相談することをおすすめします。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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