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スパイスカレーを作って気づいた料理に集中し何も考えない時間の大切さ

2024.09.29

前編はこちら

サブスクで送られてきたのは、もちろん無料キットと同じもの。今度はチキンカレーよりワンランク上の料理と思われる、バターチキンカレーを作ることにした。夕食にと作り始めると、いきなりつまずく。工程1に“Aの材料をすべて混ぜ合わせ、半日冷蔵庫でマリネ(最短3時間)”とある。これでは夕食に間に合わない。材料は事前に揃えたが、作り方も事前に読まなければと反省する。

バターチキンカレーのレシピ。

カレールーが重いのはなぜか?

翌日、再チャレンジ。作り方の説明はわかるが、材料の“カットトマト缶300g”はチキンカレーと同様の表現だ。トマト缶の表示は内容総量400g、固形量240g。つまり固形トマト240g、ピューレー160gとなる。チキンカレーでは材料“カットトマト缶200g”という表現に悩み、あれこれ考えて1缶全て使って美味しく食べられた。ならば今回も1缶すべて使って問題ないだろう。素人料理、あまりこだわるべからず。というわけで悩むことなく作り上げた。バターを40g使ったバターチキンカレーだから、当然チキンカレーより濃厚だ。テイストの異なる専門店級の味わいを堪能した。

ただし前回も今回も、ちょっと引っかかることがある。どちらもカレールーが重いというか濃いというか。もう少し軽い方が僕の好みだ。その原因には心当たりがある。カットトマト缶の量だ。量が多すぎてトマト缶のどろどろ感がルーの重さに通じたのではないか? よって次回はトマト缶の量をある程度減らして作ってみようと思った。

そして、サブスク2回目が到着する。この時には「SPICE IN THE HOUSE」料理記を@ダイムで書こうと思っていたので、レシピに印刷されたQRコードからのYouTube動画を見ることにした。僕はほとんどYouTubeを見ない。テレビに「オーケーGoogle YouTube レッドツェッペリン」と声をかければ、画像のようになる。いくらでも好きなロック動画を手軽に見られるので、キリがなくなりそうで手を出さないのだ。

YouTubeでロック動画を見始めたら止まらなくなる自信あり。

トマト缶問題がついに解決

それはともかく、これから作るチキンカレーの動画を見て目を見張った。トマト缶の量、どう見ても1缶ではない。推定半缶。つまり400g=固形トマト240g+ピューレー160gから、200g=固形トマト120g+ピューレー80gを使うと思われる。ちなみに妻に「カットトマト缶200gとはどういうことか」と聞くと、「400gの缶ならその半分、常識でしょ」と呆れられた。というわけで材料の謎が解ける。400gトマト缶の半分、200gを使えいばいい。最初から妻に聞けばよかった。

コップでおよそ200g。固形は下部に沈みピューレーは上部に浮かぶと思い込み、両者をどうやって半分ずつ取り出すのかと訝っていた。缶内ほぼ均等に混ざっているので、スプーンで上から半分をすくい出せばいいのだ。案ずるより産むが易し。

a、b、c、d、4種類のスパイス。シナモン、カルダモン、グローブ、クミン、マスタード、コリアンダー、クミン、ターメリック、フェネグリーク、カスメリティナゴなど。聞いたこともないスパイスもあり、自分で揃えられる自信は全くない。

成長著しい(?)4cm角切。

さあ、いよいよ本来の味わいのチキンカレーを作れそうだ。2度目のチキンカレー作り、1度目より手際よく進む。材料で使う野菜類は玉ねぎ、にんにく、生姜だけ。みじん切りなので、素人にも敷居が低い。なお、にんにくと生姜は好物につき、分量の2倍使う(他の料理でもいつも2倍だ)。1度目は工程3の“玉ねぎを加え、濃い茶色になるまで中~強火で炒める”の茶色度合いがわからず適当にやったが、今度は動画で確かめたのでレシピ通りだ。4cm角切の鶏もも肉も、前回よりは4cm角に少し近づいた。工程8“水を加えて蓋をして、45分弱火で煮込む”に至れば、調理の山場を越えている。テレビでも見て待とう。

料理に集中して何も考えない時間の重要性

と、ここで気づいたことがある。野菜をみじん切りにしたり、鶏もも肉を切ったり、調味料の量を測ったりしている時、何も考えていない。ひたすら、その行為に向き合っているだけだ。これは好きな釣りと同じだ。海上に浮かぶ船から竿を出している時、アタリは今かと竿先を見つめ、何も考えていない。何も考えない時間は、何かを考える必要もないリタイアでも心が安定する。ましてや考えることだらけの現役の方、料理に集中して何も考えない時間は、精神衛生上とてもいいですよ。

専門店顔負けの(?)チキンカレー。

「唐辛子にんにく 激辛」。

調理すること80分、チキンカレーの完成だ。思った通り、カレールーが軽い。そして1度目よりはるかに美味しい。これぞ、本来のレシピの味だろう。自画自賛ながら、専門店より上だと思う。とはいえ、個人的には一つ改善点がある。僕は辛いのが大好きだ。レトルトカレーでは、必ず激辛を選ぶ。その激辛、ほとんどがさほど辛くない。3度目のチキンカレーは激辛にしたい。先日の福島旅行で手に入れた「唐辛子にんにく 激辛」。この調味料をにんにくの替わりに使うなり、にんにくに加えて使うなりして、レシピをアレンジしてみよう。   

こうして“面白い食=料理”が、リタイア人生の新たな楽しみとなった。現役時代の主たる楽しみはロック、釣り、クルマだ。リタイア後はクルマを手放したものの、芝居鑑賞、落語、相撲観戦、さらに料理まで加わり、楽しみの幅が広がった。プレッシャーなく、やりたいことだけやればいいリタイア人生、健康でありさえすれば食べ物は美味しく毎日が楽しい。

PS:レシピに2~3人前とあるように、2人ではルーが少し余った。ナンにルーをのせチーズをかけてトースターで焼く。チキンカレーとはまた違った味わいで美味しかった。

文/斎藤好一

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