サンリオの業績が好調です。
2024年3月期の売上高は999億円で、わずかな差で大台にはのらなかったものの、今期は前期の1割増収となる1193億円を予想しています。
サンリオは2011年3月期から売上高700億円台で停滞しており、コロナ禍の2021年3月期は400億円台まで沈みました。
見事な大復活を遂げています。
ハローキティは、2024年で50周年を迎えた。画像は「ハローキティ50thアニバーサリーショップ」で販売された限定ぬいぐるみ ©️2024 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ
営業利益率は30%に到達する見込み
2024年3月期の営業利益は270億円で、営業利益率は27.0%。前年同期の18.2%から8.8ポイントも上昇しました。営業利益率が20%を超えたのは、2015年3月期ぶり。売上高だけでなく、本業で稼ぐ力も回復しています。
2025年3月期の営業利益は371億円を予想しており、計画通りに進捗すると営業利益率は31.1%となります。2008年3月期から振り返っても、30%を超えたことはありません。
足元の業績も好調そのもの。2025年3月期第1四半期の売上高は、前年同期間比42.3%増の289億円、営業利益は同80.2%増の107億円でした。
計画に対する進捗率は売上高が24.2%で、営業利益は28.8%。サンリオは期首に売上高を1103億円、営業利益を300億円と予想していました。第1四半期の業績発表時点ですでに上方修正を行ったのです。滑り出しは上々と言えるでしょう。
※決算短信より筆者作成
2024年は主力キャラクターであるハローキティ50周年の節目。その一時的な押し上げ効果が大きいようにも感じますが、好調の要因はもっと複合的なものです。
ハローキティ依存からの脱却を図った2代目社長
2024年3月期のハローキティの売上構成比率は30.4%。2019年3月期は54.2%でした。「サンリオピューロランド」などのテーマパーク分を除くと、2024年3月期の売上は858億円、2019年3月期は494億円となります。これがサンリオの物販とライセンスによるものだと仮定すると、2024年3月期のハローキティに関連する売上は260億円。2019年3月期は267億円。大きな差は生じていません。
サンリオはハローキティの50周年を記念したイベントやグッズなどを展開しており、それが少なからず業績に寄与しているのは間違いないでしょう。特に今期はその恩恵が受けられるはず。しかし、サンリオはすでにハローキティ依存から脱しており、中長期的に成長できるポテンシャルを備えていたのです。
業績が停滞していた時期は、特にアメリカでのハローキティブームに依存していました。
しかし、「2024年サンリオキャラクター大賞」のアメリカエリアで1位を獲得したのはシナモロール。2位はポムポムプリンで、3位がチョコキャット。ハローキティは9位。
2020年にサンリオの創業者である辻信太郎氏の孫にあたる辻朋邦氏が社長に就任しました。そこが起点となって経営戦略や組織の変革を行います。キャラクターはシナモロールやポムポムプリン、チョコキャットなどを広めることに注力しました。
アメリカでは依然としてハローキティの人気は根強いものの、チョコキャットなどは日本よりもファンが多いと感じるほどです。
2024年3月期のアメリカエリアの売上高は135億円で、前期の1.9倍に膨らんでいます。