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「足るを知る者は富む」という言葉の意味について、なんとなくわかるものの、正しく理解できているか不安な方もいるのではないでしょうか?本当に豊かな人を表す言葉で、老子の教えが由来とされます。今回は「足るを知る者は富む」の使い方、類似表現を解説します。
「足るを知る者は富む」とは
「足るを知る者は富む」は「たるをしるものはとむ」と読み、満足することを知っている人は、精神的に豊かで幸福であるという意味を表す言葉です。「足る」は、十分であることや満ち足りていることを指し、「富む」には、豊富にあることや多く備えているという意味もあります。
■本当に豊かな人を表す言葉
「足るを知る者は富む」は、精神的に本当に豊かな人を表す言葉です。自分に必要なものを理解していたり、持っているものの価値を実感して満足できたりする人は、たとえ貧しい生活をしていても、精神的に豊かであるといえます。そしてそのような人が、真に豊かであるといえるでしょう。
■老子の教えが由来
「足るを知る者は富む」の由来は、中国の哲学者である老子(ろうし)の「道徳教(どうとくきょう)」の一節にあるといわれています。「道徳教」には、「知足者富(ちそくしゃふ)」と記されています。
後に続く「強めて行う者は志有り」は、努力を続ける者に志が宿るという意味です。つまり、自分が真に求めるものを理解して努力を続ける者にこそ、志が宿ることを表しています。
後に続く言葉を知ると、「足るを知る者は富む」が今の状態に妥協し、それ以上何もしないことを推奨しているわけではないことがわかるでしょう。努力や向上心を否定しているわけではなく、まずは自分が求めるものや、すでに自分が持つものの価値を理解することの大切さを示唆していることがポイントです。
そもそも「足るを知る」とは
ここからは、「足るを知る」という言葉について、その意味や具体的な事例、「分をわきまえる」との違いについて解説します。
■今の自分に満足すること
そもそも「足るを知る」とは、自分の分をわきまえて、それ以上のものを求めないことを意味する言葉です。
「分」には身分という意味もありますが、ここでは自分が置かれている状況や立場などを指します。そのため「足るを知る」は、置かれている状況や立場に満足するという意味を表します。
参考:デジタル大辞泉
■「足るを知る」の事例
「足るを知る」に当てはまるライフスタイルの1つとして、ミニマリストが挙げられるでしょう。ミニマリストとは、不要なものを持たず、必要最低限のもので暮らすライフスタイルのことです。
洋服をシーズンごとに購入しなくても、手持ちのアイテムを上手に組み合わせることで、十分にお洒落なコーディネートができる可能性があります。また、新発売の高性能なスマホやタブレットを手に入れたとしても、実際にはすでに持っているもののほうが使い勝手が良いこともあり得るでしょう。
このように、自分にとって本当に必要なものを見極め、シンプルな暮らしを送るシンプルな暮らしをするミニマリストは、「足るを知る」を体現したライフスタイルの1つといえます。
■「足るを知る」と「分をわきまえる」の違い
「足るを知る」と似たような意味の言葉として、「分(ぶん)をわきまえる」が挙げられます。「分をわきまえる」は、自分の身の程を理解して、出過ぎた真似をしないという意味の言葉です。一方、「足るを知る」は、置かれた状況や持っているものに満足することを意味するため、ニュアンスが異なることがわかるでしょう。
「足るを知る」が自身の内面的な充足感に関する概念を表しているのに対し、「分をわきまえる」は他人との関係を考慮した言葉であることも、両者の違いです。
「足るを知る者は富む」の使い方と例文
「足るを知る者は富む」は、自分にとって本当に必要なものを理解している人を賞賛したり、欲深くなってしまいがちな自分を戒める意味で使われたりすることが多いでしょう。現状に満足することを表すため、常に成長や発展が求められることの多いビジネスシーンでは使い方に注意する必要があります。
【例文】
- 「足るを知る者は富む」というものの、部門の売上目標を達成させるために、もうひと頑張りしたいところだ
- 「足るを知る者は富む」というように、職場のマイナス面だけに注目するのではなく、恵まれた面にも目を向けることも大切だ
- 祖父は「足るを知る者は富む」を体現しているような人物で、幸せそうに見えた
「足るを知る者は富む」と同じような意味の四字熟語
「足るを知る者は富む」と同じような意味の四字熟語には、「知足安分」と「知足者富」があります。それぞれの読み方などを確認しましょう。
■知足安分
「知足安分」は「ちそくあんぶん」と読み、自分の境遇に満足し高望みをしないことを意味する四字熟語です。「知足」は「足るを知る」と同じ意味であり、「安分」は自分の状況に満足することを表します。
訓読みでは、「足るを知り分に安んず(たるをしりぶんにやすんず)」と読みましょう。
■知足者富
「知足者富」は、「ちそくしゃふ」と読みます。「足るを知る者は富む」は「知足者富」の訓読みであり、老子の「道徳教」に記載されている四字熟語です。