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CxOとは「Chief x Officer」の略称です。xの部分に文字を入れることで、さまざまな役職名などを表します。表すものが複数ある分、どのような役職を表しているのかわからない方も多いでしょう。
この記事では、CxOの意味や取締役・執行役員との違い、さまざまな種類の例、設置するメリットなどを解説します。さらに、法務・物流・人材開発・金融・科学における「CLO」の意味もあわせて確認しておきましょう。
「CxO」とは?簡単に基礎知識を解説
「CxO」の読み方は「シーエックスオー」です。CxOと呼ばれる役職名は一つではなく、「x」の部分を変えたさまざまな役職があります。日本でも、コーポレートガバナンスの機能強化などを目的としてCxOの設置が広まりました。
それでははじめに、CxOの意味や取締役・執行役員との違い、日本で普及した背景、役職の種類一覧などの基礎知識を簡単に確認しておきましょう。
■「CxO」とは「Chief x Officer」の略称
CxOとは「Chief x Officer」の略称です。「Chief」「x」「Officer」は、それぞれ以下のような意味があります。
・Chief……組織の責任者
・x……業務や役割の名称が入る部分
・Officer……執行役
日本語にすると、「xにおける最高位の地位に就く人」という意味です。一般的には、「最高〇〇責任者」と訳します。
■取締役・執行役員との違い
CxOと取締役や執行役員は混同されやすいですが、どのような違いがあるのか、それぞれの立場の特徴を解説します。
・CxO……専門分野の業務執行を統括する責任者
・取締役……企業の業務執行を担う者として日本の法制で定められている役職
・執行役員……事業計画や方針の実現に向け、実際の業務を執行する役職
これらはすべて、組織内で高位の立場にある人物を示す言葉です。このうち、取締役は会社法上選任する義務があります。一方、執行役員やCxOはその義務がないため、企業ごとに任意の呼称で設置可能です。
なお、CxOは取締役や執行役員などと兼任するケースもあります。
■CxOが日本で普及した背景
CxOは、1980年代にアメリカで広まった役職です。経営の監視役と事業の執行役をはっきり分けた経営体制にすることを目的に、導入が進んだといわれています。
その後、1990年代ごろからは日本でもアメリカの経営体制を見習い、CxOが普及していきました。監視役と執行役が明確に分離した体制にすることで、コーポレートガバナンスの徹底と迅速な経営判断の実践につながるとされています。
■CxOの役職の種類一覧
CxOの役職は会社法上選任する義務がありません。そのため、企業ごとに任意の呼称で設置されています。
そのなかでも設置されていることが多いCxOの役職の例は、以下のとおりです。
・CEO……最高経営責任者
・COO……最高執行責任者
・CFO……最高財務責任者
・CLO……最高法務責任者
・CTO……最高技術責任者
・CHRO……最高人事責任者
・CIO……最高情報責任者
・CSO……最高戦略責任者
・CMO……最高マーケティング責任者
・CBO……最高ブランディング責任者
・CKO……最高知識責任者
・CAO……最高総務責任者
・CISO……最高情報セキュリティ責任者
・CDO……最高デザイン責任者
CxOという役職を設置する3つのメリット
CxOという役職を設置することは、企業などの組織運営において以下の3つのメリットがあります。
1.経営と現場のつなぎ役になる
2.責任範囲が明確になる
3.経営と業務執行の役割分担が可能になる
どのようなメリットが期待できるのか、それぞれ確認しておきましょう。
■1.経営と現場のつなぎ役になる
CxOを設置すると、経営者目線と現場の声のどちらもわかる人がいる状態になり、それぞれのつなぎ役としての活躍が可能です。
現場の声がわからないまま経営者が方針を決定すると、現場が混乱することがあります。また、経営者の意志がわからないままで従業員が業務を進めては、経営者の方針に基づいた執行ができなくなる恐れがあります。
CxOの設置によって、経営者と従業員どちらに対しても声を届けやすくなり、それぞれの考え方のギャップが少なくなることがメリットです。
また、最高責任者として意思決定の権限を持つため、複数の役職者から承認を得る工程を減らせて意思決定が迅速になります。
■2.責任範囲が明確になる
CxOを設置すると、どの分野を誰が管轄しているのかがわかりやすくなり、責任範囲が明確になることもメリットです。
責任者が明確になると、業務の混乱を未然に防ぎやすくなります。もしもトラブルが発生した場合でも、責任の所在が明確ならば解決が比較的スムーズになりやすいでしょう。
さらに、責任範囲がはっきりすることで専門分野に精通したCxOを選びやすく、またCxO自身も自らの得意分野で能力を発揮しやすくなります。
■3.経営と業務執行の役割分担が可能になる
CxOの設置で経営と業務執行の役割分担ができ、取締役に管理業務が集中しなくなることもメリットです。
取締役に管理業務が集中してしまうと、経営業務に専念できず重要な意思決定に時間がさけなくなる恐れがあります。
CxOが業務の執行管理を担うことで、取締役は経営業務に、CxOは業務の観点からの経営課題の解決に専念できるでしょう。そのため、健全でスピーディーな企業経営に役立つといわれています。
「CLO」が持つ複数の意味
CxOは、「x」の部分を変えた複数の業務や役割の最高責任者を指します。そのなかでも、「x」の部分に「L」を入れた「CLO」は、同じ表記でも異なる業務や役割の最高責任者を指すことがあります。
また、金融や科学の分野でのCLOは、最高〇〇責任者とは異なる意味を持つため注意が必要です。
それでは、「CLO」が持つ複数の意味もあわせて確認しておきましょう。
■法務におけるCLO
法務におけるCLOは、「Chief Legal Officer(最高法務責任者)」のことを指します。この場合のCLOは、企業の法務分野の業務全般における最高責任者です。
法務面での経営戦略を立てて実行に移したり、組織内の法務問題の検討や改善、処理をしたりする責任を担います。組織内の法的リスクを、最小限に抑える役割です。
■物流におけるCLO
物流におけるCLOは、「Chief Logistics Officer」を指します。また、企業によっては物流における最高責任者のことを「CSCO(Chief Supply Chain Officer)」と称する場合もあります。
物流におけるCLOは、以下のような業務の最高責任者だといえそうです。
・企業の中長期経営戦略に沿ったロジスティクス戦略を作成
・サプライチェーンにおける調達・生産・保管・輸送・販売などの業務を統合
・原材料の調達から顧客に届くまで、全体の流れを最適化
■人材・組織開発におけるCLO
人材・組織開発におけるCLOとは、「Chief Learning Officer(最高人材・組織開発責任者)」のことです。経営の観点から、企業組織の成長や人材育成の重要性を感じた企業が設置しています。
人材・組織開発におけるCLOは、自発的に学び、互いに良い影響を与えていくような組織を作りあげることを目的とした役職です。
■金融におけるCLO
金融におけるCLOは、「Collateralized Loan Obligation(ローン担保証券)」の略称で、資産担保証券の一種です。
金融機関は、企業などにローン(貸付債権)を貸し出しています。そのローン(貸付債権)を証券化したものが、金融におけるCLOです。CLOは、階層によって異なる格付けが付与されます。
■科学におけるClO-
科学における「ClO」もあります。この場合は表記が異なり、「ClO-」という化学式で「次亜塩素酸イオン」を指すものです。
また、「ClO」と表記する化学式には、以下のようなものもあります。
・次亜塩素酸ナトリウム(化学式:NaClO)
・次亜塩素酸(化学式:HClO)
CxOの意味を正しく理解しよう
CxOは「Chief x Officer」の略称で、「xという業務や役割における最高位の地位に就く人」という意味です。一般的には「最高〇〇責任者」と訳します。
CxOという役職を設置するメリットは、「経営と現場のつなぎ役になること」「責任範囲が明確になる」「経営と業務執行の役割分担が可能になる」などです。
また、同じ表記であっても企業や使用する分野によっては異なる意味を持つ場合があります。cxoの意味を正しく理解し、適切に使えるようになりましょう。
構成/chihaya