アクティブリスニングは、円滑な人間関係の構築に役立つものです。とくに管理職などには重要なスキルですが、どのようなものか、身につけるにはどうすればいいのかと不安になることがあるでしょう。この記事では、詳しい意味や傾聴との違い、メリット、デメリットなどを解説します。さらに身につけるためのやり方もあわせて確認しておきましょう。
目次
「アクティブリスニング」とは?簡単に基礎知識を解説
「アクティブリスニング(Active listening)」は、もともと心理学の用語のひとつでした。カウンセリングに役立つ技法で、現在では有効なコミュニケーションスキルとしてビジネスシーンでの活用が進んでいます。
それでははじめに、アクティブリスニングの意味や傾聴との違い、メリット、デメリット・注意点を解説します。
■アクティブリスニングは積極的傾聴と訳される言葉
アクティブリスニングはコミュニケーション技法のひとつで、日本語で訳すと「積極的傾聴」です。相手の話をただ聞くだけではなく、受容と共感の姿勢で積極的に相手の言葉に耳を傾けます。
アクティブリスニングの特徴は、相手の話を聞きながら、問題の原因や解決につながるようなことは話し手自らが見つけられるようにサポートすることです。円滑な人間関係の構築に有効であり、部下の悩みを聞くようなシーンで効果的だとして、ビジネスでも注目が集まっています。
■アクティブリスニングと傾聴との違い
アクティブリスニングは「積極的傾聴」と訳されるものの、傾聴とだけ表現する場合には異なる部分があることに気をつけましょう。
傾聴には、アクティブリスニングだけではなく「パッシブリスニング(passive listening)」も含まれます。パッシブリスニングは聞く姿勢が受動的で、ほかのことを考えながら話を聞くような状態のことです。
なお、「傾聴力」と表現した場合にはアクティブリスニングと同様の能力を指しているといえるでしょう。
■アクティブリスニングのメリット
アクティブリスニングをすることによるメリットは、以下のとおりです。
・コミュニケーション能力の向上
・話し手の問題解決能力の向上
・円滑な人間関係の構築
・対立を解決するきっかけづくり
アクティブリスニングをしていると、積極的に話を聞き、相手を理解しようと努めます。相手からすると自分の話をしっかりと聞いてくれていると感じ、好印象を抱きやすいです。そのため、信頼関係の構築や相互理解、不満解消につながります。
また、しっかりと話を聞いてもらうことで、話し手自身が問題解決につながることに気付きやすくなることもメリットです。
■アクティブリスニングのデメリット・注意点
一方で、以下のようなデメリットや注意点もあります。
・高い傾聴スキルが求められる
・聞き手にストレスがかかりやすい
・問題の解決策を思いついても伝えられない
アクティブリスニングを実行するには、高い傾聴スキルが必要です。相手の話をしっかりと聞こうとするだけでは、アクティブリスニングになりません。適切なリアクションをとること、自分の感情や意見を見せないことなど、注意すべき点が複数あります。
自分の気持ちをコントロールしたり、無条件の肯定的配慮の姿勢をとったりするなど、聞き手にストレスがかかりやすいことにも注意すべきです。
アクティブリスニングを身につけるには?
アクティブリスニングはデメリットもあるものの、ビジネスシーンにおけるメリットの多いスキルです。管理職の立場となる方にはとくに必要性の高いスキルです。
それでは、アクティブリスニングを身につけたい方がおこなうといいことをご紹介します。
■アクティブリスニングの3つの基本姿勢を理解する
このスキルを身につけたいのであれば、まずは以下3つの基本姿勢を理解することが大切です。
・無条件の肯定的配慮
・自己一致
・共感的理解
アクティブリスニングでは、話し手を否定せず、相手の話を無条件に受け入れます。また、相手の意見や感情が理解できないまま「わかります」と伝えずに、わからないことは真摯に質問するなど自分自身に正直であることも大切です。さらに、相手の立場にたって共感することも、基本となる姿勢です。
■研修を実施する・参加する
アクティブリスニングを身につけるには、そのスキルを磨く研修への参加も効果的です。社員にスキルを身につけさせたい場合には、研修を実施するといいでしょう。
やり方を知っていても、実践するとなるとうまくいかないこともあるものです。研修でロールプレイによる練習をし、講師からフィードバックをしてもらうことで、より実践的なスキルを身につけられるでしょう。
■アクティブリスニングを意識してトレーニングする
実際にアクティブリスニングを意識して話を聞くことでトレーニングをしていくのもおすすめです。まずは相手に寄り添うことを意識して、積極的に耳を傾けるようにしましょう。
このとき、自分が話したいことがあっても、話し手が話し終わるまでさえぎってはいけません。また、話がそれていってしまわないように、話の目的を明瞭にすることもポイントです。
アクティブリスニングを正しく理解し実践してみよう
アクティブリスニングはビジネスシーンで注目されている手法で、とくに管理職の方が身につけておきたいスキルのひとつです。これにより、コミュニケーション能力の向上・話し手の問題解決能力の向上・円滑な人間関係の構築など多くのメリットがあります。
ただし、高い傾聴スキルが求められること、聞き手にストレスがかかりやすいことなどのデメリットもあります。実施する際は、精神的負担などに注意しましょう。
3つの基本姿勢を理解し、実際に意識してトレーニングするなどして、うまく活用できるようになりましょう。
構成/chihaya