3.約8割が「しわ・たるみの原因に骨密度の低下が関係している」を知らない
「しわ」や「たるみ」の原因になると思うことを選んでください」という問いに対して、「骨密度の低下が原因になる」と回答した人はわずか20%となり、8割の人が知らないことがわかった。
■ゆりクリニック 院長 矢吹有里氏 コメント
骨密度が低下すると、顔の骨も委縮して「骨やせ」が起こります。顔も身体と同じように骨によって支えられているため、骨やせが起こると見た目にさまざまな変化が表れてきます。頭蓋骨は全身の骨の中でもいち早く骨密度が低下し、30代から変化が表れます。頭蓋骨の骨やせにより、顔の筋肉を支えるじん帯が緩むと、表面の皮膚がたるんでしわやたるみの原因になります。
大切なのは、「減ってから補う」のではなく「減らさないようにキープする」こと。骨を健康に保つことは、身体の健康はもちろん、美しさにもつながります。これからは外側のケアだけでなく、内側の骨のケアも心掛け、外と内の両方から美しさを目指していきましょう。
4.骨活(運動や食事の工夫などで、丈夫な骨を作っていく活動)をしている人は18%
「温・腸・眠・骨・筋」5活の中で健康のために気を付けていることはありますか」という問いに対して、「腸活」(40%)、「筋活」(30%)、「眠活」(27%)、「温活」(20%)、「骨活」(18%)の結果となり、「骨の健康」のために、ケアやメンテナンスしている人が少ないことがわかった。
「骨活をできていない理由は何ですか」という問いに対して「どうやったらよいかが不明」(50%)、「骨活という言葉を初めて聞いた」(48%)、「健康維持のやり方がわからない」(34%)に多くの回答が集まった。一方で、最も少なかった回答は「自分には必要ない」であり、骨の健康が重要であるという認識は比較的高いことがわかった。
5.骨に必要な栄養素について「カルシウム」以外の認知率は半数以下
骨に必要な栄養素について聞くと、「カルシウム」と答えた人は約8割であった一方、「ビタミンK」「コラーゲン」「たんぱく質」「ビタミンD」については半数以上が必要なことを認知していなかった。
■女子栄養大学 栄養学部教授 上西一弘氏 コメント
骨の健康維持として、「カルシウムが重要」というのは正しいですが、カルシウムは体内に取り込まれにくい栄養素です。効果的に取り入れるポイントとして、食事の取り方、日光浴、適度な運動が挙げられます。これらの要素は、カルシウムの骨への定着に効果的です。また、骨に負荷をかけるジャンプや階段の上り下りなどを生活に取り入れることで、骨代謝が円滑になり、骨の強化が期待できます。
本調査についての総括~女子栄養大学 栄養学部教授 上西 一弘氏 コメント
「骨の健康」と聞くと将来の問題として捉えがちで今は自分ゴト化しにくいため、ケアができていない人が多いと思います。しかし、骨は全身の多くの部位と関連しており、健康だけでなく、美容とも関係があることがわかっています。
年代ごとに気を付けるべきポイントが違うため、骨密度測定などを利用して自身の骨の状態を把握し、食事や日常生活で骨の健康を意識することが大切です。
今回の調査で、多くの人々が「骨の健康」に対する適切なケア方法を知らないことも明らかになったため、本プロジェクトを通じて、骨の健康についての情報を広く伝えていくことが重要だと考えています。
アドバイザー プロフィール
上西一弘(うえにし・かずひろ)氏
女子栄養大学 栄養学部教授
専門はヒトのカルシウムの吸収・利用に関する研究、成長期のライフスタイルと身体状況についてなど。また、スポーツ選手の栄養指導も行う。著書に『栄養素の通になる』(女子栄養大学出版部)などがある。
矢吹 有里(やぶき・ゆり)氏
ゆりクリニック 院長
東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学会入室。佐野厚生病院、国立病院機構東京医療センターなどに勤務後、2017年「ゆりクリニック」(東京・田町)を開院。骨粗しょう症予防を美容医療の視点から考える「骨美容(R)」を提唱。メディアなどでも広く啓発活動を行なっている。
<調査概要>
【調 査 名】「骨の健康」に関する意識調査
【調査期間】2024年6月10日(月)~6月12日(水)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,000人
【調査対象】20代~80代男女
構成/こじへい