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中小企業の7割が「物価高の影響はマイナス」、5社に1社で資金需要が増加

2024.09.22

GreenとDigitalを活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所では、中小企業の経営者851人に「中小企業経営に関する実態調査 」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。

本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

物価高による影響、約7割の企業が「マイナス」と回答

Q1.円安や物価高による貴社の影響をそれぞれ教えてください。

円安の影響について、「マイナスの影響を受けている」(23.7%) 「ややマイナスの影響を受けている」(26.2%)と合わせて、49.9%がマイナスの影響を受けたという回答結果となった。

これに対し「影響は受けていない」が44.7%、「ややプラスの影響をうけている」(3.6%) 「ややプラスの影響をうけている」(1.8%)が合わせて5.4%だった。

また、物価高の影響については、「マイナスの影響を受けている」(33.4%) 「ややマイナスの影響を受けている」(43.2%)と合わせて、76.6%がマイナスの影響を受けたという回答結果となり、「影響は受けていない」が17.9%、「ややプラスの影響をうけている」(3.6%) 「ややプラスの影響をうけている」(1.9%)と合わせて5.5%でプラスの影響を受けたと回答。約7割の企業が物価高からマイナスの影響を受けていることが明らかになった。

これらの結果から、円安と物価高により多くの企業がマイナスの影響を受けていることがわかる。

Q2.貴社は物価高による影響で資金需要が発生しましたか。

物価高の影響による資金需要については、資金需要が「発生した」と回答した企業が18.1%、「発生していない」と回答した企業は81.9%だった。約5社に1社の中小企業において、物価高の影響で資金需要が増加していることがわかる。

物価高対策を実施している企業は約3割、 その約6割が「効果を感じている」と回答

Q3.貴社は物価高への対策を実施していますか。

物価高への対策を実施しているかについての設問では、「実施している」と回答した企業が34.2%、続いて「実施していないが検討している」が32.0%、「実施しておらず検討もしていない」が33.8%となった。

Q4.貴社での物価高に対する具体的な対策を教えてください。

物価高に対する具体的な対策について、「価格転嫁」を行なっている企業が86.3%と最も多く、続いて「固定費の見直し」が38.8%、「生産性の向上」が26.8%だった。物価高の対策を実施している中手企業の8割以上が「価格転嫁」を行なっているようだ。

Q5.物価高への対策による貴社での効果を教えてください。

物価高対策による効果について、「十分に効果を感じている」(7.9%)「やや効果を感じている」(53.6%)と合わせて61.5%が効果を感じているという結果が得られた。

また、「あまり効果を感じていない」(33.0%)「全く効果を感じていない」(5.5%)という結果で、合わせて38.5%が効果を感じていないことも判明。

これらの結果から、物価高への対策を実施している企業は34.2%で、そのうち61.5%が効果を実感していることが明らかになり、中小企業への物価高対策実施の促進と、より効果を実感できる対策が必要であると推測される。

約4割の企業が価格転嫁に成功している一方、 約2割の企業は交渉すら行なえず

Q6.貴社での価格転嫁に対する状況を教えてください。

価格転嫁に対する状況について、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れることができていない」と回答した企業が17.0%、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れたが、協議に応じてもらえなかった」が5.6%、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れ、協議に応じてもらった・もらっている」が45.7%、そして「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れる必要はないその他無回答」が31.7%という結果になった。

Q7.今後貴社では商品やサービスの値上げをする予定はありますか。

今後の商品やサービスの値上げをする予定に、「ある」と回答した企業が46.7%、続いて「ない」が31.7%、「既に直近で値上げを行った」が21.6%という結果に。

Q8. 「価格交渉促進月間」について知っていますか。

「価格交渉促進月間」についての認知度については、「知っており、他の人に説明できる」と回答した企業が2.2%、「知っているが、説明できるほどではない」が9.5%、「聞いたことはあるが、よく知らない」が22.6%、そして「知らない」が65.7%となっている。

政府が定めている「価格交渉促進月間」について認知度が低く、わずか2.2%の中小企業でしか理解が進んでいない現状が浮き彫りとなる結果となりました。

Q9.政府の物価高に対する対応について、どの程度満足していますか。

政府の物価高に対する対応についての満足度についての調査結果では、「十分に満足している」と回答した企業が0.5%、続いて「やや満足している」が5.2%、「あまり満足していない」が42.2%、そして「全く満足していない」が52.2%となりました。

円安や物価高からマイナスの影響を受けている中小企業が多い中、Q3では物価高対策を実施している企業が少ないことがわかった。

一方でQ4の結果では、実施している企業の中では「価格転嫁」を実施している企業が多いことも明らかに。この結果から、価格転嫁を実施したいができていない、または、価格交渉がしきれてないという中小企業の現状が推測される。

また、Q8,Q9の結果では「価格交渉促進月間」についての認知度が低く、中小企業への価格交渉の促進に課題があると言えるだろう。

調査結果まとめ〜中小企業の物価高への対応と賃上げの現状

<フォーバル GDXリサーチ研究所所長 平良 学氏>

今年、政府から発信された経済財政運営と改革の基本方針、骨太の方針でも大きく取り上げられている物価高への対応、賃上げの中小企業における現状について調査を実施しました。

物価高は全体の76.6%の中小企業がマイナスの影響を受けており、直近の経営課題のひとつと言えるでしょう。それに 対し、価格転嫁や固定費の見直しといった対策を中心に講じており、対策にもよりますが6~7割の企業が効果を実感しています。物価高の影響を受けているがまだ対策できていない企業はぜひ参考にしていただければと思います。

また、賃上げについては半数を超える企業が実施をしている状況でした。世の中の動きを踏まえ、中小企業の賃上げも確実に進み始めています。物価高への対応や賃上げを実施する中小企業をサポートする政府の制度や施策が、さらに充実し、中小企業の活動を後押しすることを祈念いたします。

調査概要
調査主体/フォーバル GDXリサーチ研究所
調査期間/2024年7月8日~2024年8月10日
調査対象者/全国の中小企業経営者
調査方法 /ウェブでのアンケートを実施、回答を分析
有効回答数/851
出典/フォーバル GDXリサーチ研究所調べ

関連情報
https://gdx-research.com/

構成/清水眞希

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