〝呼吸するクッション〟と聞いて、どんな商品を思い浮かべるだろうか。クッションに口や鼻がついていて、そこから息を吐き出す謎の生き物を想像した人もいるかもしれない。
9月20日より一般販売が開始される、呼吸するクッション『fufuly(フフリー)』。電源を入れるとふくらんだり縮んだりするふしぎなプロダクトで、〝生き物〟という表現もあながち間違いではない。
なぜなら、この『fufuly』は触れ合っている仲間の呼吸につられる生き物の性質「呼吸の引き込み効果」でリラックスを促す、ひとやすみのためのクッションなのだ。かかえていると、まるで赤ん坊やペットを抱いているような優しさが感じられる。
呼吸するクッション『fufuly』誕生秘話
『fufuly』を企画・開発したのは、JT、博報堂、ユカイ工学の3社。
アメリカのラスベガスで行われたCES 2023でコンセプトモデルを発表したところ、「CES2023イノベーションアワード」の他、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS「ACC シルバー」を受賞。日本国内だけでなく、海外からも期待を集めている商品だ。
なぜこのような斬新なプロダクトを、畑違いの3社で作ることになったのか。企画を担当したJTの竹田里依子さんは誕生のきっかけを次のように語る。
「たばこのイメージを持たれる方も多いJTですが、『心の豊かさを、もっと。』というパーパスを掲げています。心の豊かさを追求する中で辿り着いたのが、〝休憩の価値〟でした」
〝休憩の価値〟として目をつけたのは、呼吸調整の重要性。ストレス社会では速く・浅い呼吸が習慣化している人が多いが、ゆったりした呼吸の使い方ができないと十分な休憩効果は得られない。ストレスセンシングや五感情報を活用したリラックス誘導の研究を行なう東京大学の伴祐樹博士の意見を参考に〝呼吸するクッション〟が考案された。
伴博士は、触れ合う生き物同士で心拍などの生体活動が同調する、前述の「呼吸の引き込み効果」に着目。呼吸をする生き物のようにふくらんだり縮んだりを繰り返すクッションをかかえることで、無意識のうちに呼吸のペースや深さを誘導できないかと模索した。
こうしてクッションを作ることが決まると、デザインやコンセプトの深掘りに博報堂が携わり、メカ機構はユニークな製品で話題のロボティクスベンチャー企業・ユカイ工学が担当した。『fufuly』には、3社それぞれの強みが存分に生かされている。
こだわりのデザインや生き物っぽさ
『fufuly』の使い方は簡単。スイッチを入れて抱きかかえるだけで、自然と呼吸が穏やかに整っていく。モードは「work(仕事)」「rest(休憩)」「sleep(睡眠)」の3つがあり、クッションはそれぞれのシーンに合わせた〝呼吸〟を繰り返す。
使い方はシンプルだが、一方でこだわりは深い。
まずデザインは、雲や人の息を連想させるアシンメトリーでゆるい形を採用。ところどころくぼみがあるので、自分の体をジャストフィットさせる位置が見つけやすい。さらに、温かみを感じつつ年中使える素材を採用し、どんな時期に使ってもちょうどいい触り心地である。
テクノロジー面では、〝生き物っぽさ〟を追求した。具体的には、あえて気まぐれに呼吸しているような動きに。多少の重さも感じられるクッションで、冒頭のとおり赤ん坊やペットと一緒にいるような安心感を得られるのがポイントだ。
休憩の質、担保できてる?
気になるクッションの価格は税込で29,800円。20日から、ユカイ工学オンラインストアで一般販売される。また、リアル店舗での販売も考えているとのこと。
決して安いとは言えない価格だが、休憩の質が上がれば、きっと仕事のコスパもタイパも格段に向上する。
5分抱えるだけでリラックスできる不思議なクッションの効果を、ぜひ機会があれば試してみてほしい。
文/編集部
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