がんや脂質異常症など健康リスクの可能性
――PFASが一定量体内に蓄積されることで、どのような健康上の問題が発生するのでしょうか?
「ネズミの動物実験ですが、ある量を超えて摂取させると、肝臓が腫れ上がったり、免疫機能が低下する、生んだ仔の発育が悪いなどが確かめられています。
人間相手に同様の実験はできませんが、いろいろなデータが出てきています。アメリカでは、PFOAを流出させたデュポンが集団訴訟を起こされ、和解金を支払いましたが、その和解金で地域住民の健康調査が実施されました。それによって、腎臓がんや潰瘍性大腸炎といった病気の発生にPFOAの影響があるとされました。
デュポン関連以外の調査や研究でも、何種類かのがん、脂質異常症、免疫力の低下、新生児の出生体重の低下などが示唆されています。
まだ、はっきりと結論が出てないものも多いのが現状ですが、確証が得られるまでそのままにしておくべきではないと思います。PFASは4千種類以上あり、明確に使用禁止となっているのはごくわずかです。今後、規制は強まるかもしれませんが、使用していた企業は、別のPFASに切り替えるだけという流れはあるのです。
では、そうやって変えたPFASは大丈夫なのかというと、調査はまだ進んでいない。ほとんど不明だけれど、規制されているものよりはマシだろうという考えで、使われ続けています。
いずれにしても、どのPFASも環境にいつまでも残る性質があるので、自然界や体内で濃度は上がっていくリスクはあります。私としては、なんらかの全般的な規制をすべきと考えます」
水道水のPFASは浄水器で取り除ける
――では、PFASの体内への摂り込みを、少しでも減らす方法はありますか?
「撥水加工された衣類から、コンビニで売っている揚げ物の食品包装など、日常生活で使う様々なものにPFASは含まれている可能性があります。防汚加工されたカーペットもそうです。
1つの考え方として、どうしてもそれがないと困るというのでなければ、別のPFASが含まれていない製品を選んで購入することです。
それ以上に気をつけたいのは、口から直接入るPFASです。特に水道水は、住んでいる地域で目標値より低くても数値が高ければ、浄水器という手があります。
必ずしも価格の高い浄水器でなければダメというわけではありません。基本的には、普通の活性炭でもかなり除去できるので、お手頃価格の浄水器でも大丈夫です。ただ、蛇口をひねった際に、ほとんどそのままの水圧で水が流れ出る場合は、きちんと除去されていない可能性が高いです。
逆に、水流が多少弱くなるのは濾過機能がきちんと働いている証拠なので、そうした浄水器を導入することをお勧めします」
原田浩二准教授プロフィール
京都大学大学院医学研究科准教授。専門は環境衛生学。京都大学大学院医学研究科助教、講師をへて2009年から現職。2002年に京都大学で小泉昭夫教授(現・名誉教授)の調査チームの一員としてPFAS汚染問題に取り組み、近年は国内各地の市民団体と協力しながらPFAS汚染の調査・研究に取り組む。PFAS問題の第一人者としてメディア露出多数。関連著書として『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』(河出書房新社)、『これでわかるPFAS汚染: 暮らしに侵入した「永遠の化学物質」』(合同出版)がある。
取材・文/鈴木拓也
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