20年前から農家は半減!若手農家は今何を思う?
近年、国内の農業人口が減少していると頻繁に耳にする。農林水産省の調べでは、2020年の農家は約175万戸で、20年前と比べて約56%減少しているという。
参考
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0103/05.html
高齢者産業でもあり、実は中小企業より農家の倒産が多いとも言われる昨今、若手農家は農業の未来にいかなる希望を抱いているのか?
まずは、2人が「農家」になった経歴から伺った。
果樹農家の11代目として生まれた山本さんは教員を2年経験した後、24才の時に跡を継いだ。農家への道を決めたこんなエピソードがある。
山本さん
「当時、ハードワークを重ね教員としてしんどかった時なんですが、GWに帰省した際の父親の様子が衝撃でした。お昼どきに父親が畑から家に戻り、リビングでゴロンと転がりながらテレビで「笑っていいとも」を見て笑っていたんです。その時に、教員をやっている自分はこんな人生は決して歩めないなと思い、とても魅力的に見えたんです。その場で跡継ぎについてどう考えているかを父親に聞いてしまっていましたね笑」
一方、伊藤さんの人生の転機も非常に興味深いものだった。
伊藤さん
「そもそも家業がみかん農家で、幼い頃から「大きくなったらみかん屋さんになってみかんとはちみつを売る」と言っていた記憶があります。機械に乗るのが大好きで、よく父に着いて行ってはトラクターやコンバインなどの機械に乗せてもらっていました」
「その後、高専に進んだこともあり、求人も多く就職先はよりどりみどりの状況。先生には「跡を継ぎたいのはわかるが後輩たちのためにも最低でも10年はやめずに務めてほしい」と言われて…」
「でも、10年以上も会社勤めをしてしまったら、農家になった時には30歳を過ぎている。中途半端な年齢から農家をしても勿体無いし、どうせなら最初からきっちり始める方がいいはずや!と思い、気付けば就職面接予定の前日にキャンセルの連絡をして農家になることを決めました」
ともに跡を継いだ30代若手農家。農家減少と言われる中、若者が農家を継ぐことや新規就農にメリットはあるのか?
伊藤さん
「親元就農などでは親に作業を任せられることもあり、その間我々は販売や勉強会などに参加できるので時間的、精神的に余裕ができます。それと若い農家には周りが協力をおしみなくしてくれるという生々しい一面もあると思いますね」
山本さん
「伊藤さんも挙げた親元就農ですが、親とは言わずとも誰かから引き継げるベースがあった上での参入でないと、この仕事はかなり厳しいと感じます。若手農家の数も年々減っていますが、単に『農的暮らし』に憧れがある人はやめてください!不労所得や年金もらってからにしましょう!」
――ならば、日本の農業がもっと元気になるためには?
伊藤さん
「ある意味の定年制ですね。お年寄りの農家は年金があるので安く売ってしまう、先祖大体の土地を貸すくらいなら荒れ果てさせる、なんていうことができないようにしてほしい」
「代表が70歳以上は補助金が出ないとか遊休農地は高課税になるとか…まぁこんなことを言ったら怒られるのでこれ以上は控えますが、真面目にいうと「現状で満足しない」ということではないかと思います。後継者がいるところは比較的経済的には困っていないところがほとんどだ。そういう農家が進歩せず現況を維持してしまうと元気がなくなっていくと思います」
山本さん
「日本農業は歴史上、小さい農地でてんでバラバラというケースが多く、集約が進んでいません。集約が進めば耕作放棄地が減り、効率化できると思うんです。今後、日本農業のカタチも家業をベースにしたものから法人化された大規模なものがどんどん増えるのではないかと思っています」
「伊藤さんの言う「現状で満足しない」には同意です。というか、温暖化でこれまでと同じ栽培手法では太刀打ちできないケースが増えているので、自然と「現状」では保てないものになっているんですよね。これ、一般の方が想像するよりもかなり感じることなんですよ。慣習的な品目、品種から、新たな環境にあった品種、品目への変換が今後30年で求められると思います」
農業で汗を流し、本気で取り組んでいるからこそ出る重い言葉。そんな2人がこれから農家として目指すところは?
伊藤さん
「目指すは売上1億。ただそこを超えて数億円を目指し始めるとそれは農家ではなく経営者になってしまうのでとても難しいんですが…。とりあえず子供たちに、ぼくの作ったみかんが一番美味しい!と思ってもらえるようなものを地道に作っていきたいですね」
山本さん
「私は効率化に取り組みたいと思っています。最近スピードスプレーヤーという機械を買いまして、品質を保ちながら農地を改植し効率化を目指しています。労働時間が短縮されれば、より規模拡大ができるかと思いますので今はそこが楽しみです。あと、畑を見て喜んでくれてる人を見るのが好きなので、特定の品種だけでも観光農園化できないかと考えています」
最後に「よるののうか」で今後やってみたいことを2人に聞くと…
伊藤さん
「オフ会やリスナー限定の農業体験などでしょうか」
山本さん
「あー、リスナー招きの農業体験!!そんなこと考えていなかった!面白そうだ!集まりそう!」
伊藤さん
「あとは、こうへい君がやりたいと思うことをやるべきだと思っているので、こうへい君にお任せします笑」
山本さん
「私はやっぱり今後も楽しむことです!アホみたいな回答ですが、ポッドキャストはコンテンツそのものでは金にならない趣味みたいなものです。なので、楽しむがないと無理なんです。
直近の目標としてはポッドキャストアワードですね。昨年のポッドキャストアワード、点数で受賞に最も近かった番組が我々だったんですよ笑」
「それと、トークイベントもやってみたいです。アワードに行く前にイベント会社さんからオファーがあったのですが、その時はまだ自信がなくてやんわり断ってしまったんです。伊藤さんと感覚をすり合わせながら、農業体験等もく含めたイベントをやってみたいですね。各ラジオ局もその方向だし。関係者の皆さん、よろしくお願いいたします!!」
よるののうか ~農系ポッドキャスト~
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E3%82%88%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%8B-%E8%BE%B2%E7%B3%BB%E3%83%90%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%86%E3%82%A3/id1484514700
山本さんX
@kobukirubiru
伊藤さんX
@ito_aridamikan
感動果物農家 山本農園HP
http://fruit-yamamoto.com/waka/
いとうふぁーむHP
https://ito-farm.biz
文/太田ポーシャ