ツヴァイをV字回復につなげた施策とは?
ところで中野氏は、2019年に日本の結婚数を増やすというミッションを持った株式会社IBJの取締役に就任後、2020年に同社が買収した株式会社ZWEIについて、M&A(合併・買収)後の統合プロセスであるPMI(Post Merger Integration)に携わった。
ちょうどコロナショックによる打撃を受けた時期だったのに加えて、元々の赤字体質もあり、単月で約7千万の赤字が出る深刻な状況だった。
そうした中、中野氏は4ヶ月程で単月黒字へとV字回復に導いた。2022年からは代表取締役として、PMI終了後の事業成長をリードし、2023年は、売上倍増・大幅黒字へと復活を遂げている。
そのV字回復につながった主な施策としてさまざまな取り組みがあるが、転機となった事柄があると明かす。
「早くからアプリとの共生を目指したことで、会員層の若返りに成功したことが回復の原動力となりました。
アプリの急伸長は明らかでしたが、結婚に至る率が期待値ほど高くはならないことは何となく想定できていました。異性とのやり取りが自力であるため、結果を出すにはそれなりのスペックやコミュニケーション力が必要だからです。
そこで、20代を新たなターゲットに据え、マーケティングを強化しました。アプリで悩んでいるなら相談に来ませんか?手厚いサポートできますよと。結果、20代が多く相談に来るようになり、不思議と30代以上の方も一層伸長しました。多くの若い会員がツヴァイのブランドになり、全世代の婚活意欲を刺激できたのですね」
今後の展望
今後の展望について、中野氏は次のように回答した。
「『少子化対策の一丁目一番地は、婚活である』という想いで事業を推進しています。現代でも結婚したカップルは1.9人の子どもを産んでおり、これは数十年前と大きく変わる数値ではありません。やはり、婚姻数の減少が少子化を引き起こしているのです。
行政の対策は、子どもや両親のサポートになりがちで、結婚を増やす活動にはさまざまな声があり積極的になれていません。ツヴァイが結婚カップルを増やすという強い意志の下、結婚の経済的メリットなどポジティブな側面について活発に情報発信し、結婚に興味を持った方に多くの出会いを提供することで、一組でも多くの結婚カップルを誕生させていきたいと考えています」
婚活ビジネスはむずかしい立ち位置にありかながら、少子化対策に深く関わるところだ。ビジネスとしての成功はもちろんのこと、未来の日本につながる点から、今後もその役割に期待したい。
【取材協力】
中野 大助氏
株式会社 ZWEI 代表取締役社長
1979年生まれ。横浜市戸塚区出身。神奈川県の中学・高校を卒業後、青山学院大学へ入学。2003年セレブリックスホールディングに新卒1期生として入社。セールスコンサルティングに携わる。2009年グッドラックコーポレーションへ転職。取締役としてリゾートウエディング事業の経営に携わる。日本国内のシェア拡大、東アジア圏のセールスネットワーク開発に成功し、アジアトップクラスの規模へと成長。2019年株式会社IBJへ転職し取締役。2020年の株式会社ZWEI買収に携わり、コロナ下でのPMI(Post Merger Integration)に集中。2022年からは代表取締役として、後の事業成長をリード。数値化された顧客満足度を軸に改革を進めることに強みを持ち、特に契約率の改善が得意。結婚は26歳の時、一男一女の父。
※出典:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計」
文/石原亜香利