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リモート時代こそ重視すべき「ビロンギング」という考え方

2024.09.14

人的資本経営の成功にマストな概念「DEIB」

ここからは、本記事の主題「ビロンギング」について論じたい。

ビロンギングは通常、4つの概念の総称をまとめた「DEIB」として表現されることが多い。それぞれどのような考え方かを以下に示す。

■DEIBとは?人的資本経営に必要な4つの考え方
(1)D:ダイバーシティ=人種や国籍、性別、障がいの有無などの差別をせず多様性を認める
(2)E:エクイティ=個人の特長の違いを理解しつつ、成果を出すための機会を公平に与える
(3)I:インクルージョン=多様性のある人たちを尊重し、また彼らの持ち味を生かす受容性を持つ
(4)B:ビロンギング=従業員が、組織で自分らしさを発揮し心地よさを感じる帰属意識や一体感

この中で一番聞いたことがあるのは「ダイバーシティ」ではないだろうか。人間は一人ひとり異なる容姿を持ち、考え方や価値観などあらゆるものが異なっているが、違いによる差別をなくし、むしろ違いこそが価値あるものであるという考え方である。

また、エクイティやインクルージョンは、ダイバーシティを認識した先にある考え方として理解してよい。個性ある人々に公平な機会が与えられ、またこれらの人々の持ち味を生かした協力関係があるからこそ、価値向上につながるためである。

ちなみにインクルージョンは、英語だとinclusionで「包括」という意味がある。

本題のビロンギングはこれら3つの考え方の根底にある考え方である。

多様性を認め、機会が公平に与えられ、組織の他の人たちを受容し協力関係を持つと「自分が組織や他社に貢献できている」という帰属意識が強まり、成果を上げた達成感や、仲間と協力関係を持って働いている安心感が生ずる。

ゆえに、「組織に所属している安心感を醸成しなければならない」のがビロンギングの考え方であり、安心感を従業員に持ってもらわなければ、いくらD・E・Iを実践した所で、従業員は組織から離れてしまい、企業価値は低下の一途をたどることになる。

「エンゲージメントスコア」とは「従業員が企業を信頼し、かつ自発的に業績向上に向けて働いてくれる程度」示すスコアだ。これが高いほど人的資本経営の効果が出ており、売上高や営業利益が向上していくことが以下のグラフからも読み取れる。

■人的資本経営と業績との相関事例

引用元:エンゲージメントスコアと財務指標に一定相関・連動を確認/大東建託

リモートワークが当たり前の時代にこそビロンギングを重視すべき!

コロナ禍を契機としたリモートワークの増加は、従業員の生活環境や価値観に合わせた働き方ができるようになり、国内外のあらゆる場所に住む従業員とも仕事を共にする機会が増えた。

一方、現実に顔を合わせてのコミュニケーションをする機会が減り、同じ会社に所属しておきながら、仕事以外では顔を合わせることすらない人を増えた。

従業員の個別事情に合わせると組織のパフォーマンスが上がりにくいし、組織のパフォーマンスに注目してしまうと従業員の“個”に目が向かなくなり、従業員が組織から離れていってしまう。

従業員と組織との考え方や利益の相反と上手く付き合いつつ、共に成長していくために「ビロンギング」やDEIBの考え方を上手く活用してもらいたい。

文/久我吉史

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