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「フラットで風通しの良い組織」にありがちな思わぬ落とし穴とは?

2024.09.30

「フラットで風通しの良い組織」というワードをお聞きになって皆さんが抱く印象はどのようなものでしょうか?言葉のまま解釈すれば<全組織員が対等であり、その中で主体性を持ち闊達に意見を出し合う組織>のようなイメージでしょうか?果たしてそのイメージ通りの組織作りが正解か否か?その辺りを見極めて行くお話しが出来ればと思っております。

フラットだから風通しが良い?

「フラットで風通しの良い組織」を論じて行くにあたり、まず「フラットな組織」と「風通しの良い組織」を分けて考察したいと思います。本来「フラット」と「風通しの良さ」には因果関係が無いからです。つまりフラットだから風通しが良いという事ではなくフラットかつ風通しが良い組織をあえて作り出した状態が「フラットで風通しの良い組織」ということになります。まずはこの点に注意が必要です。中には『風通しの良さを出したいからフラットにしている』という会社もあるかと思います。もしフラットにすることと風通しの良さに因果関係が無いのであれば、この会社は一つの目的を達するために別の物を犠牲にしてしまっている可能性があるという事です。繰り返しますが本来組織がフラットであるか否かと風通しの良し悪しには何の因果関係もないのです。

その辺りを解説していきます。

フラットな組織とは?

フラットな組織と対になる組織の形態が階層型の組織です。フラット型の組織は《文鎮型》と言われたりしますがトップがおり、それ以外のメンバーが全員並列な組織形態です。階層型の組織は文字通り階層がある組織ですが、それぞれにはどのような特徴があるでしょうか?メリットとデメリットという視点で見て行きましょう。

ますはフラットな組織のメリットですが、トップ以下が横一列という事は、トップは各メンバーと直接コミュニケーションを取ることになります。ですから情報伝達が非常にスピーディーですし、正確に伝わります。ただここからがデメリットですが、直接やり取りをしなければなりませんのでやり取りできる人数に限界があります。つまり拡大に制限がかかるのです。それに対し階層型の組織はどこまでも拡大していける形ですが、階層が有りますので情報のやり取りがフラットに比べると遅く、そして荒くなりがちという特徴があります。

つまりフラット型の組織は情報伝達をする際には便利ですが、拡大には向かないのです。

風通しの良い組織とは?

続いて風通しの良い組織についてです。風通しの良い組織とは上にも下にも情報の伝達がスムーズな組織。そして上司部下という職位や立場関係なく忌憚なく意見や具申が出来る組織のことです。また、そのような環境を保つために、ルールや方針もしっかり開示されていて明確です。その為人間関係も良いという特徴があります。そして、ご覧頂いたようにデメリットはありません。そうです。正しく風通しの良い組織にはデメリットは無いのです。ところが風通しの良さをはき違えてしまっているケースが散見されます。例えば風通しの良さを、何でも言って良い、何でもやって良いと解釈してしまっているケースです。そうなると「うちは風通しが良いので上司からの指示もやりたくなければ『やりたくない』とはっきり言える」のようになってしまいます。これは風通しが良いのではありません。このケースが、正しく風通しの良い組織では「上司からの指示を難しく感じたので、難しく感じた理由とやり遂げるために必要な環境設計を上申した」となります。違いは、上司からの指示を拒絶してしまっている前者と、上司からの指示は受ける前提で、実行するために必要なことを忌憚なく上申している後者ということになります。このように正しく風通しが良い組織にはデメリットは有りませんが、風通しの良さが勘違いされてしまうことがあることに注意が必要です。

改めて「フラットで風通しの良い組織」とは

つまり「フラットで風通しの良い組織」とはまず大前提として、拡大を思考している組織はそれを目指してはいけないということになります。これは非常に重要なポイントです。なぜなら組織を目的に向けて必要な規模に拡大しようとしている中で「フラットで風通しの良い組織」を思考している企業が私の知る限り非常に多いからです。表題に落とし穴と書きましたが、これは落とし穴ではありません。もはや勘違いの領域です。どのような勘違いか?それはフラットにすれば風通しが良くなり組織が拡大成長するという勘違いです。勘違いのポイントは2つ。一つは前述したようにフラットにしていたのでは組織の拡大に限界が生まれます。もう一つは、フラットは風通しの良さとは関係ないことです。なかなかこのことに気付いている組織が少ないという事がまさに「フラットで風通しの良い組織」の落とし穴なのです。

つまり本当に欲しいのは風通しの良さだけ

繰り返しフラットと風通しの良さに因果関係は無いことを述べてきました。その点を見て行きましょう。私は風通しの良さとはコミュニケーションが豊かで、意見や上申が忌憚なくでき、決まりごとや方針が明確になっていて、それもあって人間関係も良い状態とお伝えしました。これが風通しの良さであるということに異論はほぼ無いと思います。そこで見て頂きたいのですが、この条件の中にフラットでなければ実現できないものが含まれているでしょうか?もちろん一つもありません。先ほど勘違いの話をしましたが、ここにも大きな勘違いがあります。階層型の組織では、コミュニケーションが制限され、意見や上申がしづらく、上でされた決定がブラックボックスになっていて、その為人々は疑心暗鬼になり人間関係も良くならない、という勘違いです。決してそのような事はありません。なぜなら階層型の組織だからといってそうしなければならない理由は何もないからです。上司からの指示は実行する前提で、その為に必要な権限の上申はしっかり行われる。なぜそのような決定が為されたのか疑念があるのであれば見て見ぬふりをするのではなく発生元にすぐに確認しに行く。その様な事は責任を果たさなければならないと認識している担当者は寧ろ必ずせねばならない事ですし、上司はそのような事をしっかり聞き取り確実に情報収集をしなければなりません。階層に隠れてしまうからこそ情報収集はむしろ適切に確実に行われなければならないのです。でなければ部下を勝たせることの出来る決定が出来なくなってしまいます。そのように適切に収集された情報に基づく決定は勝ちに繋がりやすくなっていきますので、上司と部下の信頼関係も強くなっていきます。

このように階層型の組織であっても風通しの良さは必要ですし作り出せるのです。

まとめ

今回は「フラットで風通しの良い組織の落とし穴」というテーマでお話ししました。

正しい風通しの良さはフラット型であっても階層型であってもしっかり担保されていなければならない事はお判りいただけたかと思います。そしてフラットにしなければ風通しの良さは手に入らないわけではない事もご理解いただけたかと思います。ただフラットである方が風通しの良さは手に入りやすいことは確かです。

ですのでまずは自組織をどのように発展成長させていきたいかを決めて、その為にフラット型を選ぶか階層型を選ぶかをしっかり決断して頂き、その上で、実装する型に風通しの良さを内包させる努力をする、ということが正しい手順であり、理解ということになります。

是非実行してみて頂ければと思います。

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