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クライアントの「真のパートナー」へ、電通が目指す変革とは?

2024.09.12

dentsu Japanがコンサルティングに注力する理由

――今の広告会社が抱えている課題について教えてください。

「クライアントが抱える複雑かつ多岐にわたる高度な課題に対して、期待を超える課題解決策を提案し、伴走して、実現することが求められているという点です。

 そのために広告会社は、人財、専門知識、技術を進化させ、ソリューションの提供体制を恒常的に拡充していくことが必要になってきています」

――近年、広告以外の領域も強化していると聞いていますが、その背景について教えてください。

「私たちはコンサルになりたいわけではありません。広告とコンサルの先にある領域を目指さなくてはいけないんです。そして、dentsu Japanにはそれができる人財が揃っています。私たちはよく『右脳と左脳のかけ算』という表現を使うのですが、コンサル思考(左脳)とクリエイティブ思考(右脳)の両軸で考えられることが私たちの強みであり、DNAに刻まれていると思っています。既存のコンサルとは違ったアプローチで提案し、それを実現できるので、クライアントに評価いただいていると感じています。

 また、決して広告を捨てるということでもありません」

dentsu Japanは既存の広告会社、コンサルタントと何が違うのか

dentsu Japanがクライアントに提案できる領域は非常に広い。広告会社ともコンサルティング会社とも違う専門性が強み

――dentsu Japanとしてどういった未来を考えているのでしょうか?

「dentsu Japanは広告会社グループでは国内1位の売り上げがあります。そのため、当社は多様なステークホルダーからも広告以上のことを求められる立場にあります。そして私たちにはそれに応えようという意志があり、実際に応えられるだけのリソースとケイパビリティがあります。だからこそ、私たちは広告の先の未来を目指しているというのが答えです」

――その未来のために描いているのがAX、BX、CX、DXが一体となったクライアント向けの事業変革モデルですね。

「はい。通称『循環図』です。まさに〝Integrated〟を体現したイメージモデルだと思います。

通称「循環図」。AX、BX、CX、DXのどの領域から始まっても、他領域への展開に繋げることができる。また、この円環は一周で終わるものではなくクライアントの悩みに応える形で何周もすることで、クライアントと共に成長をしていく

 広告会社の従来のイメージではAXから始まり、BXやCXにまで影響を及ぼしていくというビジネスモデルを考えるかもしれませんが、私たちはAX、BX、CX、DXのどの領域を出発点にしてもクライアントの成長のパートナーになりたいと考えています。

 例えば、『新事業が上手くいかない』という課題(=BX)から始まっても、その事業が成長するにつれて生まれてくる顧客との接点(=CX)や広告の手法(=AX)のニーズにも応えられますし、顧客体験のトランスフォーメーションが必要(=CX)、デジタル領域の変革が必要(=DX)と多様な課題に応えることができる。

 また、クライアントの複雑かつ固有の課題をこのモデルに当てはめて考えるためのものでもありません。我々が持つケイパビリティを社員全員で共有するための共通概念のようなものです」

――すでにAX領域以外の展開も進んでいるのですか?

「広告領域以外の事業(BCD−Xおよびスポーツ・エンターテインメント領域)は着実に拡大してきており、売上総利益で見ると、その比率は約4割にまで高まっています。BX/DX領域の人員増強も進めており、結果として、dentsu Japanのサービスを選んでいただけるケースが増えてきていると感じています。

 加えて、クライアントの広告投資は依然増加傾向であり、広告は今でも重要で効果的なマーケティング手法であることは変わっていません。AX領域はこれからも重要だと認識しています」

――AX以外の領域へと事業展開するにつれて、クライアントとの関わり方も変わってきましたか?

「これまで私たちはクライアントのマーケティング部門や広報部門との付き合いが深かったのですが、人事部門やR&D部門や経営戦略部門など、関係性もかなり広がりました」

――今後の展望についてはいかがですか。

「今、日本企業は企業や事業の変革に積極的になっています。その課題に対し、いち早く先を見据えた体制を整えたdentsu Japanだからこそ、クライアントのみなさんと一緒にいろいろな事業を作っていきたいですね」

広告会社もクライアントの先にいる「生活者」を大切にしている

――これまでのキャリアの中で、心に残っている体験がありましたら教えてください。

「営業時代に飲料メーカーを担当するようになり、自分の生活の身近なところで〝広告の力〟を感じることがありました。よく『ゴミ捨て場で実感する』というのですが、スーパーやコンビニの棚で担当している商品の列が増えることはもちろんですが、それこそゴミ捨て場で、担当している商品を見かけることが増えると(それほど愛飲されているという実感として)うれしかったですし、自分の仕事の価値が分かり広告がさらに楽しくなりました。

 コンサルから当社グループに転職をしてくる人たちも、その理由のひとつに『クライアントの成長を実感できるから』と言います。私たちはB2Bビジネスが主なので生活者の感情を直接感じる機会はあまりありません。

 しかしながら、私はよく『B2B2C』とか『B2B2S』(S=society)と言い、クライアントの先にいる生活者のことを常に気にしています。『人起点』で考えて、提案し実施していくことが一番難しくて一番楽しいところですし、コンサル企業との違いだと思います。私たちは生活者に関するインサイトを大事にしながら、企画提案から実施までをクライアントに伴走して行っています」

――最後に、今の時代のリーダーには、どのような考えや資質が求められるとお考えですか。

「これからの時代、今まで以上に『包摂性』が求められると思います。『俺についてこい!』で部下はついてきませんし、会社に所属せず、個人事業主で働く人も増えていくでしょう。その中で、いろいろな価値観を包摂できる力、『受容する力』そして、それらをまとめて、ビジネスや社会にインパクトを与える『塊』にする力、そういった力が求められていると考えます。

 その時に、周りに共感してもらえる『志』が持てるかどうかも大切です。そして、すべてのビジネスパーソンが『今の仕事で自分が成長できるかどうか』を重要視する現代において、リーダーがメンバーに対してどのような利他性をもたらすことができるかが重要になると思います。

 denstu Japanでは、新たにリーダーシップを『周囲の人にポジティブな影響を与えること』と定義しています。仲間を大切にし、尊重し、チームワークで成長を助け合える企業文化を作っていきたいですね。その上で〝広告の雄〟や〝マーケティングの雄〟ではなく、クライアントにとって成長するためのパートナーとして選ばれる存在になりたいと思っています」

広告の力でモノが売れた──その実感が広告とクライアントの未来を考える原点になった

取材・文・編集/峯 亮佑 撮影/干川 修

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