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キーエンスはなぜ強いのか?人に依存しない「仕組み化」で高成長を続ける理由

2024.09.13

4ステップでキーエンスの「仕組み化」が実現可能に

岩田さんによると、仕組み化するためには

1)標準化:全員の行動を一緒にする
2)浸透:全員に実際に行動してもらう
3)振り返り:ルールを見直し、成果の再現性を高める
4)責任と権限:自分がいなくても回るようにする

この4つのステップで、キーエンスの仕組み化がどの企業にも根付くことが可能だとしている。この4ステップについてもう少し詳しく見てみよう。

1)標準化:全員の行動を一緒にする

業務の標準化は成果のバラつきを防ぎ、全体の生産性を高めるために非常に重要なポイントである。標準化ができないと、個人の行動がそれぞれバラバラで統一性が無いと、結果的に成果にバラつきが出てしまう。業務の標準化を行えば、全社員が一定の行動基準に従って業務を遂行できるようになる。

標準化を進めるには1.課題を洗い出す、2.課題の対象となるルールを作る、3.ルールを明文化する、という3ステップが効果的。属人化したスキルに頼らず、具体的に標準化した行動基準があれば、新入社員でも何をどうしたらよいのかが分かる。結果的に上司が指示しなくても、誰もが効率的に仕事を進めることが可能になる。

2)浸透:全員に実際に行動してもらう

ルールができても実際に実行されなければ意味がない。「仕組み化」失敗の9割はこの実行不足にあると岩田さんは考えている。「キーエンスはこの仕組みが実行される仕組みがあるから強い」として、浸透のための3つのステップを教えてくれた。

まずは1.周知する、2.ルールの見える化をする、3.結果報告の場を作る、この3ステップで浸透が可能になる。中でも2.ルールの見える化をする、ではルールの可視化により、生産性が向上することが可能になる。業務の効率化を図ることで、ルールを明確化し、その重要度に応じて、適切な方法で情報を共有できる。

3)振り返り:ルールを見直し、成果の再現性を高める

ここでは成果につながらないルールを無くして、成果が出るルールを増やすことを目的としている。失敗したルールはすぐに排除し、うまくいったルールだけを継続・更新していく。

そして、ルールを作った場合、それにより全体の業務向上がどれぐらい実現できたか、数字で振り返る必要がある。たとえば「出社時間を5分早める」や「会議は分30分以内にする」といった細かなルールであっても、実行した結果どれほどの効率化が図られたかを数字で把握することが重要である。

4)責任と権限:自分がいなくても回るようにする

ルールの継続性を高め、組織を自律的に機能させるには、責任と権限の委譲が重要なポイントとなる。よくありがちな「マネージャーが忙しすぎて、部下を育てられない」といった悲劇を防ぐことができる。

責任と権限の委譲のためには1.責任を明確にする、2.文書に残す、3.権限を委譲する、といった3つのステップが必要となる。徹底した権限委譲と自律的意思決定を可能にして、仕組み化したからこそ、キーエンスは創業者が退任しても、成長を続けることができた。

キーエンスは社長以外の役職でも、仕事内容が明確に定義されているため、社員はその枠組みの中で行動できる。組織の持続的な発展が、自然に行える仕組みが根付いている。

自分がいなければダメという考えを棄てる

岩田さんに解説してもらったキーエンスの仕組み化の手法は、知れば知るほど、日本の企業風土に合っているマネジメント手法だという印象が強まってくる。特に横並び志向の強い日系企業では、標準化が根付きやすい風土がある。さらに一人の経営者に権力が集中するより、誰がトップになっても会社が回る仕組みは、とても魅力的だ。

「自分がいなければダメ」という考え方を棄てて、組織のために自分の仕事を仕組み化することで、権限の委譲が自然に行われ、会社の成長にも繋がっていく。社員にとっては、自分の仕事がどこまでかが明確なので、上司から無理難題を押し付けられることも無い。ブラック化も防げそうだ。

仕組み化を定着させれば、とてもフェアで仕事がしやすい企業風土が完成しそう。実は働きやすく、企業が持続的な成長を可能にする手法でもあった「仕組み化」。人ではなく、組織が成長し続けるキーエンスの仕組み化は、これからのマネジメントのトレンドとなりそう。

岩田圭弘(いわた・よしひろ)さん
アスエネ株式会社 共同創業者 兼 取締役COO
慶應義塾大学経済学部卒業後、2009年にキーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位を獲得。その後、2012年下期から3 期連続で事業部営業ランキング1位を獲得し、マネージャーに就任。その後本社販売促進グループへ異動、営業戦略立案・販売促進業務を担当。2015年、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界の戦略策定、新規事業戦略策定に従事。2016年にキーエンスに戻り新規事業の立上げに携わる。2020年アスエネに参画。新刊書「仕組み化がすべて “最強企業”で学んだチームで成果を出すためのマネジメントの本質」(SBクリエイティブ発刊、定価1760円)

文/柿川鮎子

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