2024年版IMD世界競争力ランキングによると、日本の世界競争力ランキングは38位と過去最低順位を更新。ビジネスの俊敏性や人材育成において低迷が続いている。
そこでデジタルハリウッドが運営する、起業家・エンジニア養成スクール『G’s ACADEMY』では、全国18~65歳の男女を対象に、「イノベーションと熱狂的なこだわりの関連性」に関する調査を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
イノベーションに対する印象と経験について
Q1. 日本人はイノベーションに積極的だと感じますか?(n=154、単一回答)
Q2. いまご自身が所属している組織(会社や地域コミュニティ等)でなにかしらのイノベーションを起こそうと考えた/または行動したことがありますか?(n=154、単一回答)
イノベーションに対して、日本人は積極的だと感じるかと質問したところ、69.5%が「あまり思わない」「全く思わない」と消極的な回答が7割近くを占めた。
続いて、自らイノベーションを起こそうと考えた/または行動したことの有無については、「特に考えたことがない」と回答した人が64.3%と最も多く、次に「考えたことはあるが、自ら行動に移したことはない」が17.5%と多い回答となった。
この結果より、日本人はイノベーションに消極的であるというイメージを持ち、実際に行動に移したことがある人も少ないことが明らかになった。
Q3. Q2で「特に考えたことがない」「考えたことはあるが、自ら行動に移したことはない」と回答した方にお伺いします。イノベーションを起こす行動をとれなかった理由は何ですか?(n=126、複数回答)
Q2で「特に考えたことがない」「考えたことはあるが、自ら行動に移したことはない」と回答した方に対し、イノベーションを起こす行動をとれなかった理由について聞くと、「現状、イノベーションが起きなくても困らないから(40.0%)」が第一位、「共に進めてくれる賛同者がいなかったから(20.8%)」が第二位という結果になった。
これより、イノベーションがもたらす好影響について理解できている人がまだ少ないことが推察できる。
■イノベーション推進時の弊害について
Q4. イノベーションを進めるにあたって弊害を感じた、または感じていますか?(n=19、単一回答)
Q2で「自分がリーダーシップを取って行動したことがある」「中心人物(リーダー)に進言し、共に行動したことがある」と回答した人に、イノベーションを進めるにあたり弊害を感じた経験の有無について質問したところ、68.4%が「感じたことがある」と答え、イノベーション推進を経験する多くの人が弊害を感じたことがあることがわかった。
Q5. どのような弊害を感じたことがありますか?(n=13、複数回答)
Q4で「感じたことがある」と回答した人に、どのような弊害を感じたか質問したところ、第一位に「既存のやり方やルールが固定化しており、転換が困難だった(76.9%)」、第二位に「賛同はするが、実際に行動に共に起こしてくれる人がいなかった/少なかった(30.8%)」が挙げられた。
この結果より、日本企業に未だ多いレガシーシステムや固定概念が、イノベーションを阻害している要因となっていることが考えられる。
■それぞれが持つ「こだわり」の有無と隠した経験について
Q6. あなたには大切にしている「こだわり」はありますか?(n=154、単一回答)
日常生活や仕事において、大切にしている「こだわり」があるかという質問について、26.6%があると回答。全体的に少ない傾向にあることが明らかになった。
また、持っている「こだわり」については、「昔のものを大事にする」や「プラモデル作り」など、生活のルーティンや食事、仕事に対する取り組み方に関する「こだわり」を持つ人が多いことが判明した。
Q7. これまでに、その「こだわり」を、他人から隠したことがありますか?(n=41、単一回答)
Q8. こだわりを含め、自分らしい価値観をもっと表出し、仕事や生活に活かしたいと思いますか?(n=10、単一回答)
Q6で「ある」と回答した人の中で、その「こだわり」を他人から隠したことがある人は24.4%だったが、隠したことのある全員が「自分らしい価値観をもっと表出し、仕事や生活に活かしたい」と回答した。
この結果から、自分の「こだわり」を周りに隠している人は、仕事や生活において自分らしさを発揮できていないだけでなく、表に出したいと葛藤を抱いていることがわかる。
Q9. その「こだわり」はなぜ隠したのですか?(n=10、単一回答)
周りに「こだわり」を隠したことがある人に対し、隠した理由を質問したところ、第一位に「偏見の目に晒されたことがあるから(40.0%)」が挙げられ、強い「こだわり」を持つ人は、隠すことで社会に迎合しようとしている傾向にあることが推察できる。
調査結果まとめ
今回の調査では、日本におけるイノベーションカルチャーが根付いておらず、消極的な姿勢は世界競争力低下に起因していることが推察される結果となった。
また、多様性が受け入れられる時代となったことに伴い、自分の「こだわり」を隠す人が減少傾向にある一方、隠している人の中には、社会に迎合するために「こだわり」を隠し、生きづらさを感じていることも多いことも明らかになったようだ。
日本でイノベーションを活性化させるために、未だ払拭しきれていない同調圧力の固定概念をなくし、「こだわり」を表に出して仕事や生活ができる環境が重要となってくることが考えられる。
<「イノベーション」の定義>
今回の調査におけるイノベーションの定義とは、所属している組織やコミュニティ(会社、学校、地域等)において、既存の課題から新たな価値を生み出し、大きな変化(変革・改革)をもたらすことを指す。
<「こだわり」の定義>
長く続けている活動や趣味嗜好(あまり他人には明かしていないものも含める)、ある種の義務感をもってやっているルーティン等、個人として意思や価値観を持って行っている事柄を指す。
調査概要
調査主体/G’s ACADEMY
調査期間/2024年8月2日~2024年8月3日
調査対象者/全国18~65歳の男女
調査方法/ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
調査人数/154名
出典/G’s ACADEMY調べ
構成/清水眞希