読売広告社(以下YOMIKO)は、同社の子会社であるショッパーインサイトが保有する日本最大級の食品ID-POS購買行動データベース「real shopper SM」を活用して、食品スーパーにおけるアルコール飲料・ノンアルコール飲料の購入変化を分析。結果を図表とグラフにまとめて発表した。
本稿は同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
年代によって人気フレーバーにも差がみられる
図1 年代別RTD類・ノンアルコール飲料購入者1人あたり平均購入金額(2023年8月―2024年8月比較)
近年人気が拡大しているRTD市場において、世代や昨年との比較によって人気フレーバーに違いがあるのかを分析した(図1)。
その結果、2023年8月と2024年8月の平均購入金額(RTD類・ノンアルコール飲料購入者1人あたり購入額)を世代別で見てみると、「レモン」は全世代を通して両年ともに高い値を出して上位にランクインしていることから、人気があり定番フレーバーとして定着していることが推察できる。
また、どの世代においても2024年は「ハイボール」の平均購入金額が減少しているが、「ビールテイスト」「グレープフルーツ」は増加しているほか、昨今新商品が相次いで発売されている「プレーン」も定番フレーバーに迫る高い傾向がみられる。
今後は「プレーン」が新たな定番に台頭してくる可能性も感じられる結果となった。
■糖質の有無によって併買商品にも違いがある
図2 「糖質あり」「無糖」の併買リフト値上位20 ※酒類除く
20〜30代の「糖質あり」/「無糖※」(アルコール飲料・ノンアルコール飲料どちらも対象)における直近1か月間(2024年7月21日から8月20日)の併買のリフト値(「糖質あり/無糖」商品を購入した時に同時に別の商品を買う度合を示す数値)が高い商品を分析すると、糖質の有無によって併買商品にも違いがみられた(図2)。
※「無糖」とは糖質ゼロおよび糖類ゼロの飲料
「糖質あり」は「牛肉」「フランクフルト」などの肉類に対して、「無糖」は「いか刺身」「かつお刺身」「ほたて刺身」などの魚類が上位にランクインしている。
「無糖」飲料は魚の淡泊な味との相性が良いことや、健康志向から食事メニューも低脂質・高たんぱくなものが選ばれているといったことが考えられる。
また「糖質あり」は、肉類のほか塩味の効いた「水産つまみ菓子」や「ポテトチップス」が同時に買われており、「糖質あり」飲料を飲むときには、塩味系との組み合わせを楽しみたいのでは、と同社では分析している。
■酒税改正前後のビール系飲料の購買行動に変化を確認
図3 ビール、発泡酒、新ジャンルの金額PI値推移(20〜80代)(40〜50代)
「ビール」、「発泡酒」、「新ジャンル」における金額PI値(レジを通過した買い物客1000人あたりの販売金額指数)の推移を考察した(図3)。
それぞれ時期に特徴があり「ビール」は夏と年末、「新ジャンル」は夏、「発泡酒」は季節影響を受けないことがわかる。
そして、2023年10月の酒税改正以降「ビール」と「発泡酒」、「新ジャンル」の価格差が縮まったことを背景に購入状況に変化がみられる。2023年9月に「新ジャンル」に大きな山がみられ、これは税率変更前の駆け込み需要によるものだと考えられる。
また、12月の「ビール」の金額PI値は前年を上回っており、人との集まりが多くなる時期に「ビール」回帰の動きがみられた。
さらに40〜50代は、2023年10月までは「新ジャンル」が「ビール」を上回る月が多い傾向だったが、酒税改正を境に逆転している状況を確認。
今後も2026年(令和8年)10月にビール飲料以外にチューハイ等も税率変更が予定されており、より一層購買状況に変化が起きることが予想される。
調査概要
集計期間/2022年7月1日~2024年8月20日
エリア/日本全国 における約2.5億バスケットのデータを分析
対象カテゴリ/フレーバー分析:RTD、ノンアルコール飲料 併買分析:アルコール・ノンアルコール飲料除く全食品
利用データ/real shopper SMデータ
関連情報
https://shopperinsight.co.jp/sakiyomi/
構成/清水眞希