6枚のカードから独自の神託を考える
ルールの説明だけではピンとこないかもしれない。そこで筆者は、パーティゲーム好きを何人か集めて、実際にプレイすることにした。
前日、予行演習を兼ねて神託カードをチラ見してみると、予想もしないフレーズが結構あって面白い。例えば、
「最終戦争」
「で全ての病気は治ります」
「これを1日3回おこない」
「から攻撃を受けています」
等々。これを初期カードの「あなた」「神」「を信じ」といった基本的な字句、それに「が」「の」などの助詞とつなげ神託とする。また、神託カードを重ね合わせて一部の文字を隠すことで、文言のバリエーションを増やすことがルールで認められている。
1例を挙げると、「金」のカードを「無駄など一つもありません」のカードに重ねて「無駄金」という新たな言葉を作れる。
この工夫は、迷える人間の歓心を買える、有用なテクニックになるかもしれないと思った。ただし、たった6枚の神託カードの組み合わせは結構悩ましいところで、そこにセンスが問われそうだ。
神託カードと初期カードの一部
シュールすぎる神託が飛び交って大盛り上がり
蒸し暑さの残る翌日の夜、プレイが始まった。参加者には、「今プロ」経験者が1人いて、ルールの説明を手伝ってもらったこともあり、最初の導入はスムーズに進んだ。
筆者に与えられた6枚の神託カードの内訳は、「恋愛」「毎日必ず」「したくなる衝動を抑え」「に向かって邁進しなさい」「嘘」「やる気に溢れた」。これと初期配置を組み合わせ、親(信者)の心をつかまなくてはいけない。
予想どおり、わずか枚数のカードから、相手にウケそうな文言を作るのは難しい。制限時間があるので、半分は直感の命じるままにできあがったのは、
「毎日必ず 恋愛 したくなる衝動を抑え あなた自身 に向かって邁進しなさい」
我ながらシュールだと思ったが、これが功を奏した。他のプレイヤーの力作(?)を押しのけて、これが信者に選ばれたのである。
選ばれた神託のカードの並び
次は、筆者が親の番。
「常軌を逸した 皆で手を取り合って 救い を 祝福 なさい」
「レンジでチン こそ 天国 なのです 社会のゴミ こそ 神なのです」
など、想像を超える神託の世界が広がった。ルール上、「最も心に響いたお告げ」を1つ選ぶことになっていて、そこはまったく主観なのだが、筆者は「レンジでチン」で始まる対句にハートを奪われた。入信しても、ろくなことにならないだろうと思いつつ。
こんな感じで和気あいあいとプレイは進み、最終的に筆者の教典カード3枚が最初にさばけて、ゲームは終了した。
同席したゲームに詳しい人に聞くところによると、こうした言葉を使った「ワードゲーム」は目下ブームだそうで、「教祖爆誕」は、そのなかでも出色の出来なのだそうだ。確かにハマる要素が満載で、何かの集まりで気楽な娯楽をしたいときにはぴったり。万人にお勧めできる一品だと思う。
ClaGla公式サイト:https://www.clagla.jp
協力:木津川市情報発信基地キチキチ「ボードゲームで遊ぼう」のみなさん
取材・文/鈴木拓也