エントリーシートの作成に面接対策、自己分析など、何かと面倒なことが多い就職活動。タイパ重視のイマドキの就活生の中には、これらのタスクをAIの力を借りて手軽に済ませたいという人も多いのではないだろうか?
マイナビはこのほど、就活におけるAI活用に関する最新調査データを発表した。
就活生の生成AIの活用は、昨年から20pt以上増加
マイナビが25年卒の学生を対象に実施した「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査(3月)」によると、生成AIの利用経験は前年から20.5pt増の59.7%と大きく増加した。また、就職活動においても3人に1人以上が生成AIを利用した経験があるという結果が出ており、就職活動でのAI活用は当たり前になりつつある。
エントリーシート添削から、模擬面接まで プロンプト(AIへの指示)の入力次第で多様化する活用方法
就活生に具体的な活用方法を聞いたところ、エントリーシートをより良いものとするような活用が多く挙げられたが、意外な活用方法として、面接対策としても利用されていることがわかっている。生成AIを面接官に見立てて、面接で予想される質問を挙げてもらうなど、プロンプトの入力方法を工夫している傾向が見られる。
有用だと感じたプロンプトを自由回答で聞いたところ、「あなたは○○社の面接官です」「ESを100点満点で採点して」など、工夫を凝らして、より精度が高い生成AIと対話できるようなプロンプトを入力し、面接に備えている就活生がいることもわかった。
就活生の生成AI活用について、企業も約6割が好意的に受け止める、意外な傾向も
企業の採用担当者に、就職活動において学生が生成AIを利用することについてどう思うか聞いたところ、最多の回答は「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う」の52.7%で、「積極的に活用してほしいと思う(5.0%)」と合わせると57.7%となり、約6割の企業が活用に前向きな回答となった。24年卒と比べても13.6pt上昇しており、年々企業側もポジティブに捉えている傾向が見受けられる。
また、生成AIの活用方法が多様化する中で、「面白い使い方をした学生がいれば評価したい」とAIを使いこなすことをスキルとして捉えるコメントが見られたほか、「効率化のために上手に使用することは推奨する」という好意的な意見も見られた。
●企業の意見
・使う事が当たり前の時代、きちんとした回答、皆が一目置く回答になっていれば推奨(放送・出版・新聞)
・企業理解やジョブマッチングがより効率的・効果的に行えると考えます(ソフトウエア・情報処理・ネット関連)
・利用しても良いが、そのままアウトプットを使うのはNG(ソフトウエア・情報処理・ネット関連)
●就活生のAI利用に対する対策
・AIでよく利用される言い回しなど、AIの特徴が何かしら出てくると思われるため、 それを踏まえた見極めポイントを知れるようにする(製造)
・ESでは見抜けないと思うが、一次面接の受け答えである程度企業理解や本人の能力は今まで通り把握できると思う(サービス・インフラ業)
・AIを使用しない選考(筆記試験)を実施して、学生本人の能力を判断する(金融)
マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 長谷川氏のコメント
生成AIが社会に浸透するにつれて、大学生の就職活動においても活用が進み、一般的になりつつあります。生成AIを使いこなす世代が社会人になっていく、「AIネイティブ時代」への過渡期ともいえる時期において、学生の生成AI利用するに対して、企業がどのような反応を示すか注視しておりました。
最新の企業調査では、学生の生成AI活用に対して好意的な反応を示す企業が約6割となり、前年より増加するという結果になりました。
エントリーシートの剽窃検知件数が増加しているというデータもありますが、学生には、自分の就職活動をすべて生成AIに委ねるのではなく、リテラシーをもって補助的に活用いただきたいと思います。しかし、生成AIを上手に使える学生を迎え入れることは、今後の企業の成長にも関わる可能性があるため、学生・企業ともに生成AIに対して過度な拒否反応がなく柔軟な姿勢を示している現状についてはとても好ましい状況だと言えるのではないでしょうか。
出典:マイナビ
構成/こじへい