「国際線の就航などが地方空港で一部遅れていることもあり、地方部での消費が戻り切ってはいないものの、今後伸びていくことが想定され、地方の買い物はこれからチャンスが訪れると思います。
地域別の人気買い物スポットのデータを見てもその傾向が表れています。コロナ前は人気が高かった那覇市ですが、コロナで国際線やクルーズ船の運航が止まり、2024年も那覇市は16位に留まっていますが、訪日客増加で今後再び人気が上がると思われます」
訪日客が実際にどの店舗で買い物をしているのかというデータを見ると、「ドン・キホーテ」が大きく伸びており、他のドラッグストアと比べてドン・キホーテのシェア向上が顕著になっている。
「我々のデータを基に分析をしてみると、インバウンドでも海外消費でも人気のもの、インバウンドでは人気だが海外にはまだ流通していないものと、すべて洗い出すことが可能になっています。データから、インバウンドで人気の商品は、越境ECでも人気だということがわかります。
一例を挙げると『ベトネベートN軟膏AS』『フルコートF軟膏』『リンデロンVs軟膏』、この3つはすべて肌荒れ対策の薬ですが、『フルコートF軟膏』はインバウンド人気が高く、かつ海外での人気も高い商品です。
競合商品にあたる『ベトネベートN軟膏AS』と『リンデロンVs軟膏』は、インバウンド人気は依然として高いものの、まだ海外展開をしていない商品のため海外消費の人気は低い状況です。裏を返せば、今後海外展開をすることで、旅ナカ→旅アト需要が期待できる越境ニーズの高い商品だと推察されます。
どういう商品が海外展開のチャンスがあるのか、インバウンドに取って魅力的な商品をどう日本から打ち出していけるか、我々のデータをもとに商品バイネームで洗い出すことができます。
インバウンドでは非常に人気でも、海外現地ではあまり流通していない、人気が出ていない商品を洗い出して、訪日客と商品につなげていくことで、さらなるチャンスが生まれると考えています。
旅マエ、旅ナカ、旅アトと観光客にはいろいろなステージがあります。まず旅マエに商品を知ってもらい、日本に行ったらこれを買ってみようと思ってもらうファーストステップ、旅ナカではショッピングを便利にお得に楽しんでもらう、そして帰国後の旅アトでは自国では売っていない気に入った商品を、BEENOSの越境ECを活用してリピート購入できる動線を作りをPaykeは取り組んでいきたいと思っています」
【AJの読み】インバウンド復活、日本発コンテンツの人気、円安で日本商品の消費機会が増加
今年6月に発表された政府の「新たなクールジャパン戦略」ではコンテンツ、インバウンド、食、ビューティーなどの海外展開を現在の19兆円から2033年に50兆円まで拡大する方針が掲げられた。主要分野であるインバウンド消費は過去最大規模で推移しており、海外消費の取り込みは関連する日本企業にとって喫緊の課題となっている。
BEENOSは越境ECサービス「Buyee」の購買データに基づき、海外の消費トレンドの発信している。インバウンドが急速に復活し、日本発コンテンツの海外市場拡大、円安の進行といった背景から、日本の商品購入が「増えた」と回答した割合は67%で、海外ユーザーによる日本商品の消費機会は増加している。
BEENOSでは、2024年上半期は“世界総オタク化”で注目の高まるクールジャパン×越境ECの傾向に注目。アニメ、音楽、ゲーム、漫画といったコンテンツ産業や、食品、ファッション、ビューティーなどの上半期トピックスや傾向を分析した「BEENOS 越境EC×2024年上半期トピックス」を公開している。
取材・文/阿部純子