猛暑が続く中、寝苦しい夜は特に厄介だ。寝つきが悪くなったり、途中で起きたりして不眠が慢性化してしまう恐れもある。そんな中、しっかりと快眠を得るためにはポイントがある。今回は睡眠の専門医に、夏の寝る前の快眠ルーティンやNG行動を聞いた。
睡眠外来では自身の睡眠を見直す人が増加傾向
今年7月に行われた伊藤園主催のセミナーに登壇した睡眠の専門医 白濱龍太郎氏によると、夏は冬と比べて睡眠時間が10~40分程度、短くなる傾向にある(※)という。これは、夏は日の出から日の入りまでの時間が長く、高温・多湿な寝室環境が関係している。ただでさえ、睡眠を取りにくい夏だが、最近は日が暮れても暑さ感じる日も少なくない。こうした背景から、白濱氏は夏の睡眠は重要な課題と位置づけている。
最近の睡眠外来の現状として、世界的に活躍するアスリートが「質の高い睡眠が高いパフォーマンスにつながっている」と発言したことで、多くの人々が自分の睡眠について見直す傾向が出てきているという。
さらに近年は若年層や女性からの睡眠に関する悩み相談も増えているという。これはPCやスマートフォンを1日中利用していることが関係している可能性がある。PCやスマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、メラトニンという自然な眠りを誘う睡眠ホルモンの分泌を抑制するからだ。
睡眠の質を高めるには?
では、睡眠の質はどのようにすれば高められるのだろうか。白濱氏は次の方法を紹介した。
●就寝時のルーティンを作る
人は習慣性を伴った生き物なので、決まった行動パターンを毎日続けることで、脳が睡眠の合図を認識して寝付きがよくなる。
●リラックス作用のある「テアニン」や「GABA」を摂取する
緑茶に含まれるテアニンには、覚醒状態を保つ物質をブロックしてくれる効果が、トマトなどに含まれるGABAには不眠を改善する効果が期待されている。
●メラトニンが抑制される行動を控える
目や歯茎からの刺激により、メラトニンの分泌が抑制されてしまうため、寝る前のスマホやPC操作、歯磨きは避ける。
●カフェインの夕方以降の多量摂取を控える
カフェインには覚醒作用があり、個人差はあるが、快眠のためには就寝時間の5時間から8時間前の摂取は控えたほうが良い。
また睡眠の質を高めるには、副交感神経を優位にするために、リラックス状態に導く「腹式呼吸」や「ストレッチ」、歌詞がなく穏やかな曲調の「音楽を聴く」といったアナログルーティンを取り入れるのも良いそうだ。