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大企業は変われるか?「PX」で停滞の打破に挑むパナソニックグループの変革者

2024.09.02

パナソニックグループが業務プロセスや企業カルチャーを変革するプロジェクト「PX」に取り組んでいる。プロジェクトオーナーの楠見CEOと共に旗を振っているのが、パナソニック インフォメーションシステムズの玉置社長だ。日本を代表する大企業であるパナソニックグループのDXはいかに進んでいるのか? 

パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員 グループ・チーフ・インフォメーション・オフィサー
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 代表取締役社長
玉置 肇
1967年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科修了。93年プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク(現P&Gジャパン)へ入社、情報システム、地域CIO等を歴任。その後ファーストリテイリングでグループCIO、アクサ生命保険では執行役員としてIT本部長やCSOを務める。2021年5月より現職。

Tシャツで出社すると、すぐに変わる

──2021年からDXならぬPX(パナソニック・トランスフォーメーション)に取り組んでいます。

「PXは全部をまるっと変えていこうということで、“デジタル”という言葉を入れていないんです。情報システムを変えるということは業務のプロセスを変えるということ、そして意思決定や会社のカルチャーも変えます。『パナソニックをトランスフォーメーションする』のがPXなんです。その中心にいるのが、パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社(※以下、パナソニックIS)です。しかしパナソニックISはIT事業会社としてパナソニックグループ全体の競争力を強化するだけではなく、グループ内での成功事例を一般市場へと拡げる外販のミッションも担っているんですね。もともと僕は本社の役員として呼ばれていて、パナソニックISの社長を兼務するという考えは会社側になかった。でも本社の役員は社員の皆さんからすると、顔は知っているけど、遠すぎて普通には話せない存在になってしまう。『IT変革をしてほしい』と言われて来たのに、それでは会社は変えられない。なので情報システム関連の現場を持っている会社の一員にならないとダメだということで、兼務することになったんです。その理由は、パナソニックISの強みである製造系Solを始め、データ分析、生成AIを活用したソリューションを提案できるIT会社としてのカルチャーを作って、運用したほうがいいと思っていたから。僕は30代後半からずっとCIOのような仕事をしているので、情報システムを見れば仕事のプロセスや会社のカルチャーがすぐわかるんですよ。結果としてパナソニックISの社長を兼務してすごく良かったと思います」

──玉置さんの着任時は、グループ全体に古い体質や硬直化した組織が残っていたそうですね。

「言葉を選ばずに言うと『昭和な感じの組織構造』でした。役員との会議の時には必ずネクタイをしなきゃいけない、課長や部長には必ず◯◯課長、◯◯部長と呼ばなきゃいけない、役員会議はどこに誰が座るという席次表が必ずあった……これ30年前じゃないですよ、5年前までこうしたレガシーがあったんです。レガシーにはいい意味もありますけど、ここでは負の遺産。これを払拭しなければ、パナソニックグループを軽やかに、また成長軌道に乗せていくことができないんです」

──パナソニックISの状況はどうでしたか?

「私が着任した時、パナソニックISはまだすごく古いカルチャーで、グループ全体が変革しているのに、完全に取り残されていたんです。皆さん夏なのにネクタイして……暑いのにね。真面目なんですよ。だけど僕がTシャツで出社すると、変わる。もうね、すぐみんなTシャツを着る(笑)。そうすると不思議と全体のスピードが速くなる。そして『失敗してもいいよ』という雰囲気にしました。僕がずっと言っているのは、多様性を強みに変えるということ。個人が持つポテンシャルを解き放って、それを最大限に発揮できるような職場にする。そしてオープンでフラットなコミュニケーションをする。役員がいるからといって萎縮せず、言うべきことは言う。そういうカルチャーにしたいんです」

パナソニックグループを変える「PX」

PXはIT、オペレーティング・モデル、カルチャーを変えるパナソニックグループ横断の取り組みだ。理念を徹底するためロゴやポスターも制作した。

PX-AIはわずか2週間でパナソニックグループ全社向けにカスタマイズ

──昨年、社内用AIアシスタントサービス「PX-AI」がリリースされ、パナソニックグループの全社員約9万人(国内のみ)が利用できるようになりましたが、これはもともとパナソニック コネクト株式会社が開発したものを、たった2週間で全社向けにカスタマイズしたのだそうですね?

「ええ、僕がそう指示しました。以前だったらおそらく数ヶ月、下手したら1年かかったと思います。それは技術的なものではなくて、リスクですよ。セキュリティのリスクをどうするのか、従業員がChatGPTに向かって変なプロンプトを入れたら誰が責任取るのかをずっと考えていたと思います。でも、もうそれを言わなくなったんですよ、カルチャーが変わったので。PXが始まって3年目でしたから、もうさすがに『すぐやるんですよね?』『そりゃそうでしょ』という感じでした(笑)。社員たちがすごくスピード感を持ってやってくれたのは、PXによるカルチャー変革があったからだと、僕は強く信じています」

──体感としてはパナソニックISでPXや企業改革の進捗度合いは?

「デジタル化は進んでいません。パナソニックISの社員はグループの他の事業体のDXを推進するあまり、自分たちは後回しで、これは完全に“紺屋の白袴”ですね。社内システムが非常に古いので、昨年から少しずつ手を入れています。また社内の御用聞き部隊という子会社の立場から、IT事業会社として脱却することに関しては10%ぐらいまでは来ていて、20%、30%も見えてきたので、いずれIT事業会社として独り立ちできる日が来ると思っています。そして企業的なカルチャーの変革に関しては5%ぐらいですね。まだまだ社員の会社への肯定的な意見の比率が低いので、今後はその数字をもっと上げていきたい。いくら洋服を変えても、エンゲージメントレベルが低いと職場が活性化しないんです。パナソニックISはITの会社だし、若い人も多く入ってきたので、もっと活性化させたい。だから変革の手は緩めません」

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