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全社員が利用可能なAIを2週間で導入、パナソニックグループの変革を支えるPX推進チームの存在

2024.09.03

現在パナソニックグループ全体で、ITのシステム面だけではなく、経営基盤強化のために様々な面で変革を行う重要戦略であるPX(パナソニック・トランスフォーメーション)が推進中だ。そのPX推進に関わる、パナソニックグループのインフラを支えるパナソニック インフォメーションシステムズ株式会社の社員4名にお集まりいただき、取組みについてお話を伺った。

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 ※写真右から
事業開発・R&D本部 R&Dセンター システム技術チーム 先行技術企画 ユニット ユニットリーダー 福田将之
「PX-AIにも使われている生成AIを始め、社内に導入されてない新しい技術やサービスをキャッチアップして、どういうものかを検証し、実際の業務に適用するための支援などを担当しています」
事業開発・R&D本部 R&Dセンター 統括担当 永井文浩
「PXを支えるマルチクラウドプラットフォーム、ゲストハイブリッドプラットフォームなど、主にインフラを担当しています。PX-AIの責任者を務めています」
データ&アナリティクス事業本部 IoT・DXソリューションセンター IoTソリューション部 IIoTプラットフォーム チームリーダー 鬼頭宏和
「IoTソリューション部のIIoTプラットフォームチームに所属しています。PX-AIに関してはAIをいろいろな事業部門でどう業務に適用してもらうかを推進しています」
データ&アナリティクス事業本部 IoT・DXソリューションセンター IoTソリューション部 IIoTプラットフォーム 主務 濱本真由美
「パナソニックグループの事業会社からの問い合わせを受け、お客さんと開発側を繋いだり、お客さんのサポートさせていただく役割を担っています」

PX‐AIとは?

全社員が使用可能なPX‐AIは、ChatGPTはもちろん、RAG(Retrieval-Augmented Generation=検索拡張生成)によって社内データを活用し、これまで蓄えられた膨大な社内情報から回答を得られる。Teams上にはグループ内の垣根を超えてコミュニティやチームが作られ、チャット形式で使用方法について質問をしたり、意見交換をすることも可能だ。パナソニックホールディングス 代表取締役 社長執行役員 グループCEO 楠見雄規氏が自らPX-AIをレクチャーする動画を配信するなど、全社を挙げて業務効率化に取り組んでいる。

──パナソニックグループ全体でPXが始まって現在4年目ということですが、会社の雰囲気は変わってきていますか?

永井大きく変わったと思います。全体的にスピード感が上がりましたね。以前とは比べ物にならないくらいの速さでプロジェクトが立ち上がったりしています。

鬼頭物事が早く進むようになって、IT部門として洗練されてきた。新しい技術を積極的に使っていくとか、そういうところとかも出てきたかなと思います。

濱本パナソニックグループには、いろんな部署や事業会社があるんですが、幅広くいろんなところからお問い合わせをいただくので、期待されてるのを感じます。

福田私は社内文化が変わってきたのを肌で感じています。これまでは外向けに発信することってあまりなかったんですが、外部の技術セミナーやイベントで導入事例の発表をしたり、他社と交流を持つ機会が増えたりなど、外向きに変わってきたなと感じます。あと以前は外に情報を出すごとにいろんな承認を得ないと出せなかったものが、結構フランクに出せるようになったり、社内の面白いイベントがあったりなど、雰囲気が柔らかくなってきてますね。

2週間でサービス提供、大企業とは思えないスピード感

──昨年はPX-AIというパナソニックグループ独自の生成AIもリリースされました。いつ頃から開発が始まったんですか?

永井生成AIはもともと事業会社のパナソニック コネクト株式会社が最初に立ち上げたんです。それを全社に向けて作りたいという話が玉置肇社長から23年の3月末ぐらいに出て、2週間ぐらいでサービス提供まで持っていきました。

──2週間!? そんなにすぐできるものなんですか?

永井できるもんですね……でもめちゃめちゃ大変でした(笑)。

福田現場は大変だったんですよ! 全社に展開するようカスタマイズかけないといけないので、ソースコードを読んで理解をするところから始めました。それを立ち上げるアプリケーションがいるんですけど、クラウドの環境に精通している人間がいなくて、それもいろいろと調べながらでしたね。それからセキュリティについての問題もあって、社内の利用許可が降りていなかったのでその承認も得ながら、ものすごい短時間で仕上げました。

永井最初は不完全な状態でしたけど、第1弾ということで公開して、今も徐々に徐々にアップデートをかけていくような形でサービスを公開してます。生成AIの技術は業務を効率化するだけでなく、0を1にしてくれたり、そこから3くらいまでポンと行ったり、3を与えたら7まで進めてくれたりなど、自分にないところを埋め合わせてくれる技術です。いろんな可能性を秘めているので、それをパナソニックグループ全社に展開すると、いろんな分野で役に立つと思います。

──PX-AI、どんな受け止め方をされていますか?

鬼頭期待値を高く持ってる方が非常に多いですね。ただ夢物語的な万能機が出てきて、入れたらなんでもできるんじゃないか、みたいなトーンで来られることが多いので、まず最初に「出来の悪い部下が1人増えたと思ってください」と十分期待値を下げた上で話をする機会が多いですね(笑)。本格的な業務改革までやろうとすると、各種チューニングであったり、活用するデータの整備やクレンジングなど結構泥臭い作業が多いので、そういうところを経ないと上手くいかないんです。

濱本私は元々使う側だったんですが、プログラミングが書けない人でも普通に日本語で打てば求めていることが得られるのはすごくありがたかったですね。初心者でも使いやすいツールです。アイデア出しだったり、お客さんに提案する内容が正しいかどうか、また要約だったりなどで使っていますけど、作業効率は全然違いますね。

永井これからもどんどんPX-AIは進化していきますので、その進化を皆さんで共有して、使えるようなところには持っていきたいなとは思ってます。これまで我々R&Dセンターって、PX-AIのように目に見えて使ってもらうもの、ユーザーインターフェースとして使っていただくっていうことはなくて、裏のインフラ部門、基盤部門ですので、その上でアプリが動いて、それを皆さんに提供してるみたいなところだったんですけど、今回はダイレクトに皆さんが使っていただけるものを展開したので、ダイレクトに「使って楽しいね」とか「便利だ」という声が聞こえてくるのは、嬉しかったですし、やりがいも感じます。

福田「PX-AIをやっている」と言うと、認知度が高いので「やられてたんですか」「普段の業務で使ってます」と言ってもらえるので、嬉しいですよね。去年仕事でアメリカに行ってグローバルのメンバーと会ってPX-AIの話をしたんですけど、そこでも使ってる方がいて、国内だけじゃなくて国外も含めて利用されてるっていうのが実感できて、広がりを感じました。

──PX-AIは普段どのように使われているのでしょう?

鬼頭簡単な運用ツールをプログラミングするよう指示すると作ってくれたりするので、業務効率化にも役立ち、プロジェクトの前例や過去の事例などを参照することもできます。業務系でいくとCSマーケ的な使い方、問い合わせの要約などもできますね。もう一方ではRAGと呼ばれている検索、拡張で社内データをうまく活用して、開発や設計など弊社の過去のノウハウや、高年齢化している職人技といった設計ノウハウや、過去の品質問題などを共有する名目でAIを活用したりなどにも活用されています。

AIの活用をどう促進するには横のつながりが重要

──今後PX-AIはどうなっていくでしょう?

永井全社に向けたPX-AIですけど、もっと個人に向けて付加価値を高めるため、その人専用のチューニングができたらなということは考えています。使う人にはもっと使えるものとして、また使わない人にはもっと簡単に使ってもらえるような機能が必要でしょうね。

福田AIはちょっと癖があるというか、いろんなことを一気に聞いちゃダメとか、質問は細かいところまで指定するというルールがあるんですけど、そういうことについて利用者へ教育することも徹底していかないと、社内のAI活用って進んでいかないのかなと思います。またパナソニックグループ内でいろんな事業があるので、いざ蓋を開けてみたら同じことで悩んでいたりする、ということもあるので、コミュニティが活発になって、横のつながりが広がっていくといいなと思います。

濱本そうですよね。PX-AIにこういう機能をつけてほしいといったコメントは結構いただくので、それを反映させるかどうかを内部で協議したりもしています。そうしたことをパナソニックグループ全体でできればいいのかなと思いますね。またトップダウンで業務に適用しろと言われるけど、どこの業務に適用すればいいのかわからないとかいう意見もあるので、そこからご一緒させていただけたらなと思います。

鬼頭結構同じ問い合わせが来たり、ということはありますね。また生成AIって、なんか昔のちょっとRPAのような、最終的に「野良AI」みたいなものができかねないかなっていうところもあるため、我々としてはちゃんと面倒見なきゃいけないので、モデルケースを作って横へ展開できたらいいかなと。生成AIはある程度賢いですけれど、ちゃんと質問しないと回答してくれないので、うまくUIを制御したりとか、画面で誘発できるよう促す工夫をしたり、社内データをうまく整備するといったところが大事かなと思いますね。

日々ものすごいスピードで進化しているAIだが、その実装はどの企業でも課題となっている。特にパナソニックグループのような大きな会社になればなおさらだ。パナソニックグループの変革をリードするパナソニック ホールディングス 執行役員 グループCIOであり、パナソニック インフォメーションシステムズ 代表取締役社長の玉置氏への取材記事と合わせてチェックしてほしい。

大企業は変われるか?「PX」で停滞の打破に挑むパナソニックグループの変革者

パナソニックグループが業務プロセスや企業カルチャーを変革するプロジェクト「PX」に取り組んでいる。プロジェクトオーナーの楠見CEOと共に旗を振っているのが、パナ...

取材・文/成田全(ナリタタモツ) 撮影/干川修

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