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【ヒット商品開発秘話】味の素「極麻辣麻婆豆腐用」の売れ行きが好調な3つの理由

2024.08.28

■連載/ヒット商品開発秘話

 味の素の『Cook Do』といえば1978年の発売以来、本格中華が簡単につくれる合わせ調味料として広く親しまれてきた。家族のみんなが食べられる本格中華にこだわってきたが、いま大人を満足させる高級四川料理の味わいが簡単に楽しめるプレミアム麻婆豆腐の素が売れている。2023年8月に発売された『極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用』(以下、極麻辣麻婆豆腐用)のことである。発売から最初の1年間の売上目標である6億円(消費者購入ベース)を達成した。

『極麻辣麻婆豆腐用』は『Cook Do』が長年培ってきた原料・製法の知見・技術を結集して開発。四川料理の特徴である花椒(ホアジャオ)由来のしびれる辛さの麻(マー)と唐辛子由来のヒリヒリする辛さの辣(ラー)を極め、中華調味料や香辛料などにとことんこだわり絶妙なバランスで配合した。

『極麻辣麻婆豆腐用』のパッケージ。現在販売中の『Cook Do』の各製品とは違い黒地に金文字と、従来品とは味わいが明らかに異なることを視覚的に示した

高級四川料理ならではの味わいを極める

 同社によれば麻婆豆腐用合わせ調味料の市場規模は約150億円。これまでは大人から子どもまで家族が同じ味わいを楽しめるものが主流だったが、近年は若い夫婦や子育てが終わったプレシニア世代の夫婦といった自分たちの好みの味を追求できる世代に向けた高価格で尖った味わいのものが受け入れられつつあった。

 市場のこうした変化に同社は注目。食品事本部コンシューマーフーズ事業部メニュー食品グループの浅生博信氏は「『Cook Do』はこれまで家族のみんなにウケる万人向けの味をつくってきたのですが、市場の変化に対応して一度“麻婆豆腐好きにとっての本格的なおいしさ”だけを考えて麻婆豆腐の素をつくってみることにしました」と話す。

味の素
食品事本部コンシューマーフーズ事業部
メニュー食品グループ
浅生博信氏

 企画されたのはコロナ禍の2022年。家で過ごす時間が長くなり普段なかなか味わうことがないプレミアムな味わいにお金を使う傾向が見られた時だった。

 麻婆豆腐は中華料理の中でも四川料理の代表ともいえるものなので、『極麻辣麻婆豆腐用』の開発に当たっては四川料理ならではの味わいを極めることにした。

ラー油や花椒油を独自につくる

 開発ではメンバーが実際に高級四川料理の麻婆豆腐の味わいを確認。評価の高い店舗など数十店を食べ歩き、花椒のしびれる辛さ、唐辛子のヒリヒリする辛さを舌で感じ取り、目指すしび辛の味わいのイメージを固めた。

 一体、どのようなイメージを固めたのか? 浅生氏は次のように話す。

「おいしいものって深いコクが瞬間的に感じられることがありますが、本場四川の高級麻婆豆腐は味や香り、辛さの感じられ方が食べた時と食べ終わった時で異なるんです。時間の経過とともにこれらが変わっていくところがあります」

 味わいのイメージを固めたところで課題として認識されたのが、既存の原料では実現が難しいこと。そのためラー油や花椒油を独自につくった。ラー油は2種類の唐辛子と花椒をじっくり炒めて香ばしい香りと厚みを実現。花椒油は挽きたての花椒を使いさわやかな香りを実現した。中華醤(熟成豆板醤やラージャン、そら豆味噌など)についてはベストな配合を研究し、先味の辣を立たせつつ中味・後味まで厚みの感じられるものにした。

どうしたら味わいの波が感じられるようになるか?

 調味料以外でカギを握っていたのは、味と香りのまとまりを崩しつつコクを感じさせるバランスにあった。

「コク深さの要素はいろんな味が混ざって実現する複雑味、香り、油によって実現する伸びの3点になります。油の中にいろんな調味料が混ざり香りがプラスされると、食べた瞬間に混ざり合った味と香りが均一に伸びます。これはこれでおいしいのですが、変化は起きません。かといって複数の味と香りが混ざった状態を崩すとコクは減ります。そこで複数の味と香りのまとまりを崩しつつコクを感じさせるバランスを追求することにしました」

 具体的には製造時にラー油など各種調味料を一気に合わせるのではなく時間差をつけて投入したり最後に混ぜ合わせたりすることをした。こうすることで、最初に唐辛子の辛味が感じられ最後のほうでしびれるような辛さがジワっとくるような味わいの波が感じられるものを実現した。

 ただ、合わせ調味料使って食べ始めと食べ終わりで味わいが変わるものをつくるのは、そもそもかなり困難なこと。味わいの波が感じられるバランスが簡単に見つかるはずはなく、数十回の試作を重ねてベストなバランスを見出した。

 辛さについては『Cook Do』で最高のレベル7になっている。もともと『Cook Do』の辛さはレベル5までしか設定がなかったが、最高のレベル5を超える辛さになったことから辛さレベルを引き上げている。

パッケージの辛さ表示。2024年2月に発売された『Cook Do』の『ひき肉入り麻婆豆腐用 大人の辛口』(上)が辛さレベル5なのに対し『極麻辣麻婆豆腐用』は辛さレベル7と表示されている

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