元AKB48の小嶋陽菜さんが展開するアパレルブランド「Her lip to」の運営会社heart relationを、アパレル会社yutoriが連結子会社化すると発表しました。
株式の取得額はおよそ17億円。芸能人がアパレルブランドを展開することは珍しくありませんが、10億円を超えるM&Aにまで至った例は極めて稀。女性に支持されるブランドを展開するその熱意もさることながら、小嶋陽菜さんの華麗な経営手腕を垣間見ることができます。
※画像は株式会社heart relationリリース「小嶋陽菜がプロデュースするライフスタイルブランド「Her lip to」を運営するheartrelation、株式会社yutoriと資本業務提携の締結に合意」より引用
D2Cから実店舗展開へと飛躍
heart relationは小嶋陽菜さんが79.50%の株式を保有しています。yutoriが取得したのは、小嶋陽菜さんを含む個人9名の株式51.0%。取得価額はアドバイザリー費用を除くと16億8300万円。すなわち、企業価値は30億円と算出されたことになります。小嶋陽菜さんの持分だけで、資産価値は26億2400万円。ブランドスタートから6年ほどで、巨万の富を築きました。
heart relationの2023年12月期の売上高は、前期比2.3%増の29億3100万円でした。2022年12月期は売上高が1.3倍に急増。そこから更に増収を重ねました。
※「株式会社heart relationの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」より筆者作成
営業利益率は10.5%。実は営業利益率は年々下がっています。2021年12月期は26.5%という、アパレル企業としては異例の高さを誇っていました。なお、heart relationを買収したyutoriの同時期の営業利益率は13.9%でした。
「Her lip to」はもともと、実店舗を持たないD2Cブランド。また、2021年はコロナ禍でEC取引が活発になりました。その恩恵を大いに受けたのでしょう。
しかし、2022年に初の常設店舗となる「House of Herme(ハウスオブエルメ)」を表参道にオープン。化粧品などを取り扱う「Her lip to BEAUTY」の旗艦店であるルクアイーレ店が、2023年からスタートしています。販売戦略を大きく変えました。
利益率は下がってはいるものの、上場するアパレル企業の平均値である6%と比較すればまだ十分に高い水準。店舗展開によって更なる規模拡大も望めます。