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ビジネスシーンで扱う頻度が高い書類でも、正しい取り扱いや注意点を理解できていないこともある。請求書もそんな書類の一つだ。書類の電子化が進んでいるが、請求書に印鑑は必要ないのだろうか、請求書の印鑑を押す場所はどこなのかなど、ルールに不安を抱く人もいるのではないだろうか。
そこで本記事では、請求書に関して、印鑑は必要か否かや、役割、記載が必要な情報のほか、請求書に使用する印鑑の種類を解説する。印鑑を押す際の注意点も、この機会に押さえておこう。
請求書に印鑑は必要か?
まずは、請求書に印鑑は必要か否か、確認していこう。請求書の役割と記載が必要な情報もぜひチェックしてほしい。
■法律では義務づけられてはいない
請求書に印鑑を押すことは法律で義務づけられていないため、押印のない請求書でも問題はない。請求書の発行自体、法的に必須ではなく、厳密な形式や記載事項も定められていない。
口頭で取引の授受をすることもあるが、口頭だけでは取引内容の証明が難しく、トラブルの原因となる可能性がある。そのため、企業間の取引では請求書を発行することが多い。特に、印鑑が押された請求書は偽造が困難なため、請求書の信頼性を高められる。
■請求書の役割と記載が必要な情報
請求書は、取引先に対して支払額や支払条件などの情報を明示し、支払いを促す役割を持つ書類だ。特に消費税の仕入税額控除において重要であり、適切な項目が記載されていなければならない。
具体的には、取引先の宛名や発行者の名称、取引年月日、商品やサービスの内容、請求金額などが必要となる。これらの情報を適切に記載することで、取引の透明性が確保され、税務上の証拠書類としても取り扱われる。
請求書に使用する印鑑の種類
次に、請求書に使用する印鑑の種類を紹介する。印鑑の違いを認識した上で正しい使い方ができるよう、特徴を押さえておこう。
■実印・丸印
実印・丸印は、会社設立時に法務局に登録する重要な印鑑で、代表印とも呼ばれる。主に契約書や重要な文書など、会社が正式に作成した文書に使用される。偽造を防ぐために複雑な印影にすることが多い。
■銀行印
銀行印は、銀行口座の開設や重要な金融取引に使用される印鑑。実印と同じものを使用することも可能だが、摩耗や紛失のリスクを避けるため、通常は別の印鑑を用意する。銀行印は、承認意思を示すために使う認印より大きく、実印より小さいサイズで作られることが多い。
■角印
角印は四角い形状をした印鑑で、主に請求書や見積書に使用される。企業名や屋号が彫られていることが多く、書類の正式な発行元を示すのに役立つ。届け出の必要はないが、読みやすい印影が特徴で多くの企業で一般的に使われている。法人設立や開業時に準備されることが多く、実印や銀行印とともに、企業印鑑の基本的なセットとして販売されることもある。
請求書に印鑑を押す際の注意点
最後に、請求書に印鑑を押す際の注意点を紹介する。誤った方法で請求書を発行しないよう、ぜひ覚えておこう。
■適切な位置に押す
請求書に印鑑を押す際、捺印欄がある場合はその中央の位置に押そう。捺印欄がない場合は、社名や住所が記載されている箇所の右側に押印するのが一般的だ。また、印影が社名や住所などの文字にかかるように押すことで、コピーや偽造を防ぐ効果も期待できる。
■印影がはっきりとわかるように押す
請求書に押印する際は、印影がはっきりと残るように注意する必要がある。かすれやずれがあると、印鑑の効果が薄れて書類の信頼性が低下するためだ。特に角印は印面が大きいため、きれいに押すのが難しい場合がある。しかし、しっかりとした印影を残すことで、請求書の見た目が整い、取引先に与える印象も良くなる効果が期待できる。
■訂正印は押さない
請求書での訂正印の使用は避けよう。記載内容に誤りがあった場合は、訂正印や二重線で修正するのではなく、正しい内容で再発行するのが一般的だ。取引先に失礼がないよう、修正テープや修正液の使用も控えよう。手書きで発行した請求書のミスはすべて書き直す必要があるため、パソコンや請求書発行システムを活用して手間を減らすのがおすすめだ。これにより、取引先に対する信頼を損なうことなく、正確な書類を提供できる。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部