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若干名は、他の言葉と混同されやすい表現の一つ。それほど多くはない人数のことを指すが、意味を勘違いし、少数などの似たような言葉と間違って使われることがある。
そこで本記事では、若干名とは何人かやそもそもの「若干」の使い方、弱冠・数名との違いを紹介する。また、企業が採用・求人数を「若干名」と掲載する理由も解説するので、この機会にぜひ確認してほしい。
若干名とは
まずは、若干名の意味や何名を指すのかを解説する。「若干」の使い方や弱冠・数名との違いとあわせて、ぜひ参考にしてほしい。
■それほど多くはない人数を意味する
「若干名」はあまり多くない人数を表現する際に使われる。読み方は「じゃっかんめい」。
若干名の「若干」の語源は「一の若く、十の若し(一のようであり、十のようでもあること)」で、1から10名程度を示す曖昧な表現だ。特に、企業の募集要項などで、具体的な採用人数を明確に示さず、幅を持たせたい場合に用いられる。
■「若干」の使い方
「若干名」に使われる「若干」は、ビジネスシーンだけでなく日常会話でも、ほんの少しの数量や程度を示す際に使われる。例えば、「こっちのケーキのほうが若干甘い」「この部屋は若干暑い」と言えば、わずかな違いを表現できる。
ビジネスシーンにおいては、「会議の開始時間が若干遅れる」といった表現も使える。「若干」を使うことで数分程度の遅れを示すと同時に、大幅な遅れではないことを伝えられる。このように「若干」は、微妙な差異や小さな変化を示す言葉として、状況に応じて柔軟に活用できる。
【例文】
「この部屋は若干寒いから、もう少し暖房を強くしよう」
「商品の価格が若干上がっているが、まだ手頃な範囲だ」
「彼の提案には若干の改善点があるが、基本的には賛成だ」
これらの例文からもわかるように、「若干」は多くはないが無視できない程度の変化や違いを表現するのに適している。言葉にしなやかさや微妙なニュアンスを加えられるだろう。
■弱冠・数名との違い
「若干」と「弱冠」はどちらも「じゃっかん」と読むが、意味はまったく異なる。「若干」は、あまり多くない数量や程度を示す際に使われる。
一方で、「弱冠」は若い年齢、特に10代から20代の若い年齢層を指す際に使用される。「弱冠20歳でギネス記録を樹立」など、若くして何かを成し遂げた場合に使われることが多い。そのため、「弱冠」は年齢に関する特定の言葉で、「若干」とは用途が明確に異なる。
また、「若干名」と「数名」は、いずれも企業の採用募集でよく見かける表現だが、指す人数に微妙な違いがある。「若干名」は1~10名程度の人数を意味し、1名を含む。「数名」は通常2名以上を示し、多くの場合、2~6名程度の人数を意味する。つまり、「若干名」は「数名」よりも少ない人数を指す場合が多い。
企業が求人・採用数を「若干名」と掲載する理由
企業が求人や採用数を「若干名」と掲載するのはなぜだろう。自社で求人媒体に採用人数を掲載することを検討している場合は、どのような場合に「若干名」と示すのかを確認しておこう。
■採用人数が確定していない
採用人数が確定していない場合、「若干名」がよく用いられる。例えば、現場の業務状況や人員構成が流動的で、企業側がある程度の幅を持たせたいと考えているケースに使用されることがある。
■応募人数によって採用人数を決めている
企業によっては、応募者数に応じて採用人数を決定する場合がある。特に募集時期や状況により、予想以上に応募が集まるケースであれば、その人数によって採用枠を増やすこともある。
このように、応募人数によって採用人数を決めたい場合は、採用人数が事前に確定できないため、若干名と記載する場合がある。
■適した人が応募してきた場合に採用している
企業によっては、募集をかける際に「自社に適した人材がいれば採用する」という柔軟なスタンスを取る場合がある。
このような場合、優秀な応募者が多ければ採用人数を増やし、反対に適した人材が見つからなければ人数を絞ることもある。特に専門職やスキルが求められる職種では、こうした方針が取られることが多い。その際には、採用人数が「若干名」と伝えられる。
■応募者数の減少を防ぐため
企業が「若干名」と表記する理由の一つに、応募者数の減少を防ぐ目的がある。例えば、欠員補充で一名のみを募集したい場合でも「一名募集」と明記すると、応募者が「競争率が高い」と感じて応募を諦めてしまう可能性がある。
そのため、応募のハードルを下げて広く応募者を集める工夫として、具体的な人数を示さず「若干名」と掲載することもある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部